複数のメディアで報じられている情報として「オーストラリアが戦争準備を急ピッチで進めている」というニュースだ。
まだ大手メディアでは報じられてないかもしれなので、下に引用を掲載します。
台湾有事に備え戦争準備を進めるオーストラリア、在日米軍基地へのF/A-18E/F派遣も視野に
航空万能論
台湾有事に備え前例ないスピードで戦争準備を進めるオーストラリア
豪メディア「Australian Financial Review(オーストラリアン・ファイナンシャル・レヴュー)」は16日、政府内部では台湾を巡って米中が武力衝突した際にオーストラリアが取るべき行動の規模と範囲について急速に議論が進んでおり、コリンズ級潜水艦、対潜哨戒機P-8A、空中給油機 A330MRTTの派遣やグアムや日本の米軍基地に豪空軍のF/A-18E/F部隊を展開させることを検討中で、さらにオプションとして最も政治的リスクが高い米空母打撃群へのホバート級駆逐艦派遣も浮上しているらしい。
この様な政府の動きについてAFRは「台湾を巡って米中が武力衝突すれば必ずオーストラリアは貢献を求められる」と説明しており、政府内部では懸案だった太平洋安全保障条約(アンザス条約)の取り扱いについての議論も進められているとAFRは報告している。
1951年に締結されたアンザス条約の第4条は太平洋上の脅威に加盟国(米国、豪州、ニュージーランド)が共同対処することを義務付けており、これが台湾有事の際にも自動的に適用され政府が軍を派遣するための法的根拠になり得るのかについて議論が進められており、過去20年間で最大の貿易相手に浮上した中国に対するオーストラリアの立場が決定的に転換されたことを示す事例だ。
中国を2004年に訪問したオーストラリアのダウナー外相は「アンザス条約は象徴的なもの」と語り当時のブッシュ政権から説明を求められ「台湾を巡る米中の武力衝突が発生しても米国を自動的に支持しない」と言って米豪間で摩擦を引き起こしたアンザス条約を再び持ち出してきたこと事態が皮肉なのだが、反戦を掲げる野党の労働党や支持基盤である豪労働組合がこれに同意するかは謎だ。
ただAFRは普段は反戦を支持する労働党や労働組合も大規模な戦争や紛争が発生する度、現実的な対処(反戦感情を抑えて脅威に対する対処を支持するという意味)を支持してきた実績があるので現・自由党政権は労働党からの支持が得られると踏んで台湾有事へのアンザス条約自動適用を持ち出してきたのだろうと指摘しているのが興味深い。
どちらにせよオーストラリア政府が前例ないスピードで戦争準備を進めているのは中国による台湾の武力統一が今後6年以内、あるいはもっと早く実行に移される可能性を米軍上層部が公に示唆しているためで日本も政府や防衛省が安全保障関連法に基づく支援を水面下で検討中らしいが、果たして日本はオーストラリアのように野党の強力を得て具体的な対応策や法的根拠等の整備が素早く整うだろうか?
個人的には日本周辺の「現実的」な危機に最大野党の立憲民主党がどのように向き合うのか注目している。
先日の日米両首脳会談では、ここまでの発表はなかったように思うが、見えないところでこうした協議が行われていても全く不思議ではない。むしろ尖閣沖への中国漁船を模した中国船が大量に進出してきていることを思えば、こうした準備は当然と思われる。戦争はない方が良いのは当然だが、既に物理的なものではなく情報戦は始まっていることを考えれば何時、物理的な開戦が起こらないとも限らない訳だ。
それにしても安倍前総理大臣のアイデアから始まったクアッド構想が、こうして防衛の核となることは胸をなでおろすような事柄だ。もし日米の同盟国だけで中国(CCP)と戦う事を考えると、CCPも戦略としてロシアとの共謀を図ってくるのは明白で、そうすれば米国の軍事は分割され、対CCPの意味から危険度が大きく膨らむ。
クアッドを含め日米側にもっと幅広い同盟国があって、CCPに「これでは簡単に開戦はできないぞ!」と思わせることが大切だ。そういう意味では、日本政府の表立った行動は頼りなく、オーストラリアの迅速な準備はありがたく思う。