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FILE:17 - 走塁だけはプロ並みに - |
▽予見・状況判断 ───────── 野球は「間のスポーツ」と言われています。 一つ一つのプレーは分断されその間にプレーヤーは考える余裕を与えられます。 打席に入っているときにあまり考えすぎるのは、 思い切りを欠くことになり良くないかもしれませんが、走者になった場合は 状況判断という意味で考えねばならないことが山のようにあります。 イニング、得点差、打者、次打者、ボールカウント、アウトカウント、 相手の守備力、守備体型、風向き、グラウンド状態、 一番肝心な自分の脚力、前の走者の脚力などを的確に把握しておいてから、 実際の打球を見てどう走塁するべきか判断しなければならないのです。 1,3塁のコーチの指示に従う場合もありますが、基本的に判断すべきなのは走者自身です。 ▽マネをするなら女子プロ? ───────────── 「プロのマネをしようと思ってもそもそも基礎体力が違うから無駄だよ。 もしマネをしようと思うなら女子プロのテクニックを参考にすると良いよ。」 テニス、ゴルフなどをプレーする方は上記のような言葉を聞いたことがありませんか。 基礎体力が全然違う人間の動作を真似しても なかなか、テクニックを学び取ることが出来にくいという例えです。 まあ、野球の場合は女子プロの真似をすることは出来ませんが・・・。 野球の場合、素人とプロで一番近いのが走力です。 プロ野球選手は草野球をやっている、その辺のオッサンと大して変わらない鈍足でもOKです。 草野球選手は普段、運動不足だというだけで 基本的な走力は他の要素ほどはプロとの違いが無いと思われます。 しかし、TVの画面からでは「これぞ、プロの走塁」というのは、なかなか伝わってきません。 そこで、次号では状況を想定し、ルール上の問題も合わせて走塁について紹介します。 ▽野球を知っているってどういう事? ────────────────── 野球ファンの間で交わされる会話でよく出てくるのが 「あいつは野球をよく知っている」とか「あの監督は野球を知らないんじゃないか?」 といった内容です。これは、何を指して言っているのでしょう。 監督の場合は、選手起用を含め作戦面を批判される場合が多いと思います。 素人目にも「え〜」と声が上がるような作戦・用兵では 「野球を知らない」と指摘されるのも仕方がないでしょう。 では、一選手はどうでしょう。 捕手ならリードという野球に対する考えがよく見えてくる局面がありますが、 他の野手ではそれが如実に現れる場面は少ないでしょう。 少ない機会ながらそれがはっきり出てしまうのが、やはり走塁に関することです。 はじめにも書いたように状況判断の材料が山のようにあるのが走塁のテクニックで、 その判断を誤れば「あいつ、野球を知らないんじゃないの?」と批判されかねません。 ▽三重殺 ───── トリプルプレーというのは長く野球に携わっていても、 自分がその場に直面することは滅多にありません。 自分が参加した試合で三重殺が成立したという方は、あまり多くないでしょう。 それは、三重殺は偶然の産物で走者が注意を払えば、 そう簡単に達成されるのもではないからです。 前提条件として走者2名以上が必ず絡むのですから、 その走者がそろってマヌケでもなければ、可能性は本当に小さいのです。 先日のD−G戦での三重殺にしても、2,3塁の走者が そろって状況判断を誤った事により成立しました。 走者の大きな誤りとしては、どのような状況でも前のランナーを見なければ絶対に進めない はずの2塁走者大西が飛び出したことがまず一点。 そして、自分に3塁の占有権があるにもかかわらず塁を離れた鈴木のチョンボの二点です。 まず、大西選手に関しては、前走者をよく見てなかった単純なミスと言えるでしょう。 それ以上に責任が重いのが3塁走者だった鈴木選手です。 タッチアップで本塁を狙わなかったのはコーチの指示もあってのことですから、 仕方がありません。が、 2塁走者が挟殺され3塁に追われてくるときには 絶対に塁を離れてはいけないという絶対的なセオリーを忘れてしまいました。 挟殺プレーの間に走者が2塁方向に追われていけば、 自分が本塁へ向かうチャンスを伺うことは構いませんが、 3塁方向へ進んでいるときは、守備側からも自分の動きが丸見えですから、 絶対に塁を離れてはいけません。 万一、3塁上で走者が重なっても、3塁走者に塁の優先権があるのですから、 ルール上からも鈴木選手は塁を離れては、まずかったのです。 なぜ、このような分かり切ったことに対して判断ミスをしてしまったのでしょう。 この辺に「野球を知っている」かどうかの分かれ目があると言えるでしょう。 鈴木選手にしても自分がプレーから離れ(他人がやっていることなら) 状況だけ聞いて判断すればルール上のことも問題無く答えることができるはずです。 でも、自分のことになるとあわててしまい判断を誤る。 これは、走塁に対する判断力が身に付いてないからです。 いくらミーティングで、こういう場面では、こうなって、ああなってと 机上の勉強を繰り返しても、実戦ではなかなか上手くいかない。 野球に限らず人間は何かにつけすぐに忘れます。 いくら、学生時代数学が得意でも卒業して10年もたてば 、公式などすっかり忘れてしまいます。 同じ事が野球でも言えるでしょう。 毎日の試合の中で繰り返しやっている事は誰でもできます。 まさか、ボールの投げ方や打ち方を忘れる選手はいないでしょうが、 1年に一度あるか無いかの、難しい局面になると、とっさの判断ができません。 特に走塁に関してはそうなのです。 ▽プロ野球に望むこと ─────────── 疑問に思うのは今回のようなプレーを見ていると プロ野球では秋、春期のキャンプ、オープン戦の時期を利用して、 本当にこのような場面を想定しての走塁練習をやっているのか?ということです。 キャンプの時期にスポーツ紙を見ると、どのチームがどんな練習をしていると 評論家達がレポートしていますが、この辺のことは詳しく伝わってきません。 ごくタマに「ジャイアンツは走塁練習をろくすっぽやっていないし、 守備練習でも走者をつけないが、こんな練習で良いのか?」 等の苦言を目にするくらいです。 草野球のプレーヤーでは、反復練習をする機会はありませんが、 プロ野球選手は、それが職業なのですから、 練習の中からそれらを完璧に身につける必要があるのです。 繰り返しですが、反復練習からしか走塁は上達しません。 最近は大リーグ人気に押されがちな日本のプロ野球ですが 「大リーグはパワーが、日本のプロ野球は緻密さが売り」などと言っておきながら キャンプなどで走塁練習をおなざりにして今回のようなプレーをしていては、 益々ファンはそっぽを向いてしまう事でしょう。 我々素人からの失笑を買うようなプレーだけは勘弁して欲しいモノです。 草野球に関して言えば「走塁」くらい、工夫によって勝利に近づける要素は他にないでしょう。 走塁がきちんとできる選手、チームは 「野球をよく知っている」選手であり、チームであるということです。 |
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