♪ トップ ♪“隊長”ご挨拶  ♪ ストーリー   創作話   観光案内  ロケ参加顛末記   わが町のお店   リンク 

松井かね役
戸田恵子さんインタビュー
夫亡き後、女手ひとつで「山長」の暖簾を守ってきたかね。辛い現実に直面しながらも気丈にふるまってきたかねが、先週、不治の病と診断されてしまいました。桜子の献身的な看病の元、残された時間を静かに送るかねについて、演じる戸田恵子さんにお話をうかがいました。
あの時代を懸命に生きた人

かねはプライドが高くて、とても気の強い人です。でも、それは老舗の女将として、あの時代を生き抜くために必要なことだったんだと思います。単なるわがままとかいじわるではないんですよ。最初にお話をいただいたときから、かねを“彼女なりの方法で色んな選択しながら一生懸命に生きた女性”という風に演じたいなと思っていたんです。彼女は、厳しいばかりの人物ではなく、憎めない部分もあり、楽しい部分もある。息子に対しても、彼女なりに一生懸命愛情を注いでいる。だけど、老舗を支える女将としての立場があるから、息子にもそれを前提として接するんです。そういう部分はちょっとかわいそうだと感じますね。おそらく、別な育て方もあっただろうし、思い入れもあったとは思います。でも、彼女なりに精一杯考えて、選んだ結果なんじゃないかな。
一見、強くてスキのない人物のように見えますが、実はかねは完成されていない人間なんです。だからその分、演じていてすごく親しみが沸きましたし、やりがいもありました。演じる私自身は、かねとはちょっと違って、結構クヨクヨしてるし、さっぱりもしていない。そんなに強くない…とも思っています(苦笑)。でも、これまでもかねのような気の強いタイプの役をいただくことが多かったので、周囲からはどう見えているのか分からないですね(笑)。

あれほど強くは生きられないかも…

ドラマで描かれているのは、戦争という大きな出来事を背負っている時代。共演者の方たちともよく話していたのですが、演じていて「あの時代に生きて行くということは並大抵じゃない」とつくづく感じていました。特に、物語のなかで赤紙が来たとき、みんなのセリフに「おめでとうございます」と書かれていたのは非常にショックでした。そうでなくても辛いこと、悲しいことが世の中にいっぱいあるのに、時代の流れでそういうことを万人が経験しなければならないっていうのは、嫌だなと思ったし、辛すぎますよね。
そんななかで、「純情きらり」に出て来る人たちはたくましく生きているなと思います。でも、もし私がその時代を生きるとしたら、果たしてそんなにたくましく生きていけるんだろうか。何度もそういうことを真剣に考えたんです。一人では当然無理で、誰か支えてくれる人たちと一緒に過ごせていれば、なんとか私もやっていけるかなと思ったのですが、かねが直面する出来事はやっぱり私には耐えられないだろうなと思う事ばかりでした。でも、経験していないから言えるのかもしれなませんが、こういう時代に生きた人たちのパワーというのは、やっぱり素晴らしいんだとも思います。以前読んだ本に「戦後、何もかも失ったときの日本が一番美しかった」という言われ方をしていたんですよ。戦争は良くないけれど、今みたいに飽和状態になっているのとは違って、何もない所からひとつひとつ作り上げていく人間の力や軌跡っていうのは、尊いものですよね。

 
次へ
トピックストップへ