ド素人・小説 想像“大ウソ”劇場『荒れるナゴヤドーム』


第三章 “星野”



「しまった!」“星野”は走りながら舌打ちをした。

ストライク・ボールの判定は覆らない。
主審“橘高”の「バッターアウト!」のコールで、逆転のチャンスは潰えた。

しかし、このままでは腹の虫が収まらない。
だいたい、あんなのストライクに取られたらたまらない。
“種田”の球と違い、今度はベースの手前で沈んでいる。明らかなボールだ!
1言くらいじゃ済まさんゾ!!返答次第では1〜2発ブン殴ってやる。
指揮官たるものそれくらいやらなきゃ、選手はついて来ん!!!


ダッシュで駆け寄る“星野”の目に信じられない光景が飛び込んできた。
“立浪”が“橘高”に掴みかかっている。
彼ほど、どんな時も冷静でチームの事を思いやれる男はいない。
だから自分の調子が悪くてもチャンスで打つんだ。

その男が「退場」を覚悟で掴みかかっている。
ストライク・ボールだけじゃ無い事は明白だ。
“星野”は「ヤツはそんな事をしない男だ」とタカをくくってしまった事を悔やみ
ダッシュの速度を速めた。


突き飛ばしたかに見えるが、あれは“橘高”が振り払っただけだ、まだ間に合う。
“橘高”が「退場」をコールする前に体当たりを食らわし
オレ1人が全責任を取る形で退場という事に出来るかもしれない!
絶対に“立浪”を守るんだ!!


しかし、1歩いや半歩の差で“橘高”は「退場」をコールしてしまった。

後は『絶望』の中で『怒り』に身を任せた男達の「ヤケクソの怒号」が飛び交うのみであった。
それはもはや『子供の喧嘩』と化していた。



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