ド素人・小説 想像“大ウソ”劇場『荒れるナゴヤドーム』
第四章 “大西”
翌日になって“大西”は、チョットだけ「しめた!」と思った。 “立浪”が“橘高”に掴みかかった時“大西”は出遅れてあせっていた。 「“立浪”さんの退場には間に合えへん、けど“監督”だけは守らなかん」 そう思って走ったが、いかな快足を持ってしても間に合わないほど、その出遅れは大きかった。 既に『子供の喧嘩』と化していたが乱闘になるのだけは避けて欲しい。 すかさず“星野”と“橘高”の間に割って入りなだめにかかる。 ただ立場上“監督”を抑えつける事は出来ない。当然“橘高”を抑えつける。 しかし“種田”“立浪”の1連の出来事を『根に持ち、ムキになって』しまった “血気盛んな主審・橘高”は、罵声と伴にそれを振り払った。 その手が“大西”への先制パンチとなってしまった事は、不幸な事故だったのか 半分以上故意だったのかは判らない。 しかし彼の言い放った罵声の数々は、明らかに『悪意』に満ち溢れていた。 ドラゴンズきっての『浪花節男』である“大西”は、仲間のピンチには激高するが 自分が攻められている時は意外なほど冷静である事が多い。 この時も“橘高”が自分を見失うのを冷静に見ていた、いや冷静過ぎた。 “橘高”の罵声はドラゴンズの選手全員に向けられていたし もはや1選手個人の問題ではなくなっている。 そんな時に“大西”は“橘高”の後ろを通ろうとした。 彼にそんな気が無くてもまわりは「おっ“大西”が“橘高”の後ろから何かするゾ」と勘違いし、 数人が付いて行き蹴りを入れてしまった。 「ウッ・・・」苦悶の表情で振り返る“橘高”と目が合ってしまった。 とりあえず鬼の形相でにらみつけ「やんのかコラッ!」と言い残し、トットとその場から去ってしまった。 数分後ほとんどの罪を自分がかぶった事に気が付いたが せっかく同点に追いついたのにあえて退場者を増やす事は無い。 翌日事件の裁定が出た時にもその感は強まった。 「3人が5日間出れんくなるより、オレ1人が10日間の方がエエわ。 まぁメシおごって貰って、チャラやな」 そう言い残して“大西”は打撃練習場へと向かった。 本当の意味でドラゴンズがスパートするのは“大西”がベンチに戻る日からかもしれない。 |
| 目 次 | ![]() 苦情等はこちらまで |
![]() |