シンプル・柔軟・多様、そして必
要最低限の 対策
|
シロアリ対策の具体的な方法はあくまで調査に基づく判断から生まれるものであって、しかも居住者の様々な事情に合わせて多様に変化させるべきものです。
以下に掲げた各種対策は「お客様に選んでいただくコースメニュー」ではなく、技術者として提案すべき方法の事例に
過ぎません。場合によってはここに掲げたもの以外の方法やこれらの方法をさらに変化させたものとなるかもしれませ
ん。
すなわち正しいシロアリ対策は、すべてオーダーメードが基本で
す。 |
|
ピンポイント駆除と定期点検による対策
これは、「消毒」風の薬剤散布を行わず、必要な部分のみ薬剤などで駆除し、定期的に点検することによって予防に代えるというものです。
必要以外の場所には薬剤はまったく使用せず、場合によってはシロアリが床下にいても被害につながらないなら、あえて駆除しません。
必要に応じて床下などにシロアリの活動を監視するための特殊なボックス(誘殺にも転用可能)をいくつか埋めて、点検時の判断を補助する
こともあります。点検の間隔は現場の判断に基づき提案します。
「保証」というものはありません。
|
|
| 当社の監視・誘殺ボックス |
ボックスにヤマトシロアリが侵入したとこ
ろ
この状態で伝達性薬剤を投入すればシロアリの集団は死滅する |
基本的スタイル
・初回点検は
(基本料金)+(必要により部分的駆除料金)+(必要により床下全体を点検可能にするための費用)
・二回目以降は、とくにシロアリの動きがない場合は基本料金のみです。何らかの追加処置が必要な場合はその都度
相談します。
ただし、イエシロアリの駆除が伴なう場合(前調査)→(目標とするシロアリ集団の駆除)→(後調査・駆除確
認)までを駆除と考え、駆除効果確認後に点検を行います。また、点検範囲は必要に応じて天井裏や家屋の周囲も含
むことがあります。
もちろんイエシロアリの駆除でも消毒風の薬剤処理をするわけではなく(やっても無駄ですが)、伝統的な駆除思
想に基づき、最良で最低限の施薬を行います。
その他現地での状況判断によって様々な形となります。
基礎コンクリートは原則として割りません
もぐれない床下空間がある場合、当社では点検口を床に設置することを基本とし、基礎を割るという方法を極力避け
ます。なぜなら、床は何度でも張替え可能ですが、基礎は一度割ってしまったら二度ともとに戻らないからです。た
だし、建築士、工務店などの判断や居住者の要請によってはこの限りではありません。
|
定期点検の考え方 (いわゆる「維持管理型」ではありません)
定期点検の目的は、駆除後においては駆除の効果判定、残蟻の把握、床下全体のシロアリや生き物の動きの把握、
駆除のない場合は、新たなシロアリの動きの監視、床下全体の経年変化の把握などです。
湿気・腐り・カビなどの把握はこうした目的の一部であって、湿気などがあるからといって直ちに対策が必要かど
うかということとは次元が異なります。
床下をどうするのかという点でも主人公は居住者であって、一律の対応は行いません。
報告書類などもできるだけ簡素にし、居住者と技術者が概観において一致できるようにします。
一部で行われているような、形式的で過剰な書類提出や床下環境の数値化は床下産業的な営業にはつながります
が、むしろ状況の客観的な把握を阻害するものと考えます。
したがって、定期点検の形は初回訪問時(駆除時)の調査(見立て)に基づいて個別に提案します。「定期点検契
約」という形にはこだわりません。
なお、毎回の定期点検のさいにはシロアリ対策以外にも建物や生活など様々な「雑談」もお受けします。たとえば
生き物全般、リフォームやエクステリアの工夫、パソコンの使い方の工夫など何でもご質問ください。 |
必要最低限こそ対策の基本
アメリカ式ベイトシステムとの違い
|
責任保証による駆除
これは、薬剤などの駆除処理によって、ある一定期間、一定の範囲にシロアリの被害がないようにすることです。すなわち、薬剤などによる
駆除と予防です。
これには家屋全体を対象とするものと、シロアリの生息部分のみを対象とするものとがあり、居住者や建物所有者との協議でこれを決めま
す。
ただし、家屋全体を対象とする場合でも、床下のすべてに一律に薬剤処理することを
意味しません。生息状況によっては薬剤処理の必要でない場所もあり、いわゆる「消毒」風の処理は行いませ
ん。
また、シロアリ以外の昆虫類に影響のないように行うのであって、シロアリの駆除によってゴキブリなどが駆除できるわけでもありません。
ゴキブリの駆除は専用の処理によって駆除すべきなのです。
|
新築時に行うのは、「防腐防蟻処理」ではありません。
工務店の事情によっては新築時に「防蟻防腐処理」風のシロアリ予防処理をお引き受けすることがあります。新築時に適切な薬剤でシロアリ
の侵入経路を遮断することには意義があります。とくに新築後5年前後まではシロアリを含む生き物全体が大きく動く時期であり、シロアリの
この時期の動きを止めることは明らかに予防としての意味があるのです。
しかしこれは防腐にも配慮したシロアリの予防処理であって、いわゆる「防
腐防蟻処理」ではありません。防腐というのはおもに設計・施工によって実現すべきものであって、薬剤の使用はあくまで補助
的手段です。
既存の「防腐防蟻処理」仕様書は、シロアリの生態からいうと明らかに不適切です。イエシロアリでは屋根まで薬剤処理しても数年で被害の
出ることもあるし、ヤマトシロアリには明らかな過剰処理です。それはイエシロアリとヤマトシロアリというまったく異なるシロアリに対して
同じ仕様が適用されていることが原因です。
だいたい「防腐防蟻処理」というのは、シロアリの生態に基づいて生まれたものではなく、建設分野に市場を見出そうとした業界の都合にあ
わせて生まれたものです。
当社では、その土地の条件や家屋の構造、そして地域のシロアリ密度などによって処理部分をその都度判断して行います。
設計段階で相談していただければ、構造上のシロアリ対策を立てることも可能であり、薬剤に頼らない構造的シロア
リ予防もお引き受けします。
また、イエシロアリの地域では近くにシロアリの巣がある場合、巣の駆除が予防の中心になる場合もあるし、新築家屋の設計や構造について
変更を強く要請することもあります。
|
シロアリの種類によってまったく異なります。
大規模集中型のイエシロアリの駆除では前調査から駆除、そして後調査まですべて一貫した流れであって、これによってシロアリの集団を死
滅させるのです。
これは、シロアリ集団が対象であって家屋の範囲が対象ではありません。「坪いくらだ」と聞かれても困ります。「巣ひとついくら」という
なら見積もりできます。
また、アメリカカンザイシロアリなど乾材シロアリでは、ガス燻蒸処理を必要な範囲で行えない場合は、一度の処理によって全滅することは
まったくなく、定期的な駆除の繰り返しであって、居住者の協力の下に長期間シロアリとやりとりすることになります。
ヤマトシロアリ属でも一度に全滅を目指すことによって過剰処理になる傾向もありますので、場合によっては翌年の動きを見て処理すること
もあります。
|
薬剤やシステムに頼りません。
方法やシステムが先行するのはシロアリ対策ではありません。
どのような形のシロアリ対策を行うかは、なによりもまずシロアリの生息の仕方、そしてその家の特殊性や居住者の状態によって決まるので
す。技術者による正確な診断に基づいて最適な手段が採用されるのであって、あらかじめ「やり方」が決められるものではあり
ません。
たとえいかに安全な薬剤やシステムであっても、マニュアルに頼った過剰な処理は家屋や敷地、あるいは家屋内外の生態系に影響します。
薬剤の安全性や危険性は常に相対的なものであって、安全だからといって大量使用すれば危険だし、ポイントを絞って適切に使用するなら、
化学殺虫剤でもなんら危険性はありません。
すなわち、「いないところに撒かない」「余
計なことはしない」。これが最も安全であり、生態系との整合性のあるものです。
|
化学物質に過敏な方、化学物質が心配な方へ
シロアリ対策は居住者の状況・条件にあわせて提案します。
シロアリの生息の仕方によっては、居住者の家で日常的に使用しているものやそれと同等のものでも駆除できることがあります。
生息状況から将来の被害や駆除の見通しさえたてられればどんなシロアリ被害にも対応できます。
単純な被害には単純に対処するのがもっとも正しい対策であって、それをいかに成し遂げるかという具体的な判断がもっとも大切です。
|
「床下環境対策」なるものは提案しません。
床下換気扇、調湿材、炭など床下に設置する機材が出回っていますが、これらの設置はシロアリ対策とは基本的に異なるものであって、こう
したものを設置したからといってシロアリ対策が一歩でも進むというわけではありません。
また、訪販業者などのいう「床下環境対策」なるものはそもそも住環境維持分野の一部を営業の具にするための特殊な用語です。建物の維持
は建物全体のバランスや居住者の事情との関係を考慮した判断が必要であり、かりに改善が必要であっても一概にこうした機材に頼るのでなく
工務店・建築士といっしょになって風
の流通を考えたり、あるいは材料の変更によって、湿気があっても問題の起きない工夫をすることが大切です。
とくに、日本の家屋は、もともとその材質や構造からいって湿気に強くできているので、合板やコンクリートを多用するのでなければ、ある
程度の湿気は許容できるはずです。むしろ近年では過乾燥のほうが問題でさえあります。
床下にガビがあってもそれで問題が起きるわけではなく、直ちに何かしなければならないと考える必要はありません。
さらにいうなら、本当の意味での床下環境対策は住まいにおける生物的なバランスの
維持であって、乾燥や通風は目的ではなく、その手段に過ぎません。
|