Goto Angel HomePage
大谷貴子氏講演Previous PageNext Page
 一人になって病気の事を勉強したいですし、何よりも死について勉強したかったんです。
親の前では病気の事について勉強するだけでも悲しい顔をするのに、ましてや死については勉強できません。
巷には「死ぬ瞬間」や「死への助走」、「死への回廊」、「死への準備日記」と、たくさん本が出ていました。

 片っ端から読み始めたんです。10冊か15冊か読み始めた時に、私はこんな事に気がついたんです。
「これを書いている人は生きている人やなあ。何が分かるんだろうこの人達に。死にゆくガン患者の気持ちを誰が分かるんだろうか。」そう思いました。

500人のガン患者にアンケ−トを取ったという本もありました。
そういう患者さんは最初は、怒り、嘆き、苦しんだけれど、最終的には平安が訪れ、心の中で平安に死を受け入れて死んでゆく。
「そんなん死んだ後に聞いてよ。」と思うんです。
最後はただ単に、諦めただけかもしれない。

そんなふうに斜に構えて読んでいたものですから、私はもうそういった本を読むのをやめる事にしました。
だいたい人間、死ぬ瞬間は分からないという事もいつの間にか知っていたからです。

30階建のビルから自殺をするなら、「あー、死んでいく、死んでいく」と思うのかも知れませんが、病気で死んでいく人はだいたい、すーと眠るごとく意識が無くなる、天国に行ってしまうという事を知りましたから、これは毎日意識がなくなる瞬間が有るなあと思ったんです。

私なんかは、電車の中でもしょっちゅう意識がなくなります。
すぐ寝れるタイプなんですね。
お休みと言って横になったらもう本当3秒ぐらいで寝てしまいます。
私の友人はそれで目が覚めたらもう天国だったんです。
だったらあんまり死ぬ事を考えないで、今日を本当に楽しく生きる。
一瞬一瞬を大切に生きるという事を原点に返って考えてみたら、もう死ぬ事は考えないで、生きる事を考えようと思いました。

これは丁度発病して10ヶ月ぐらいたった頃、ようやくそういう事が考えられ始めたんです。

大谷貴子氏講演Previous PageNext Page