今年2016年のF1(フォーミュラ・ワン)の年間チャンピオンを獲得したメルセデスAMGのドライバー、ニコ・ロズベルグが、タイトル獲得の翌日に現役引退することを表明した。
2006年、20歳の時にウィリアムズからF1ドライバーとしてデビューしたが、その後2010年にメルセデスAMGに移籍して現在に至る。
出場は206戦。その内、23勝(歴代12位)、30回のポールポジション(歴代8位)、57回の表彰台を獲得したが、残念ながらこれまでチャンピオンシップの頂点に立つことはできなかった。
あの有名なミハエル・シューマッハーのチームメイトになったこともあるが、ルイス・ハミルトンがチームメイトになってからは二人でチャンピオンシップを争ってきた。13歳ころからカートを始めたこの二人は、「いつかF1チャンピオンになるんだ!」という夢を語り合ってきた仲だったという。
しかしF1チャンピオン争いでは、これまでルイスの後塵をはいしてきた感は拭えない。そこには、ニコの生い立ちがあったのではないかと想像する人が多かったと思う。
ニコの父親は「ケケ・ロズベルグ」といい、元F1チャンピオンである。
その元F1チャンピオンを父に持つニコは、生まれながらにセレブともいえ、モナコに住み、庶民から見れば何不自由ない人生を送ってきたと言える。
その為に、なにかと「ハングリーさが足りない」印象が拭えなかった。
ライバルであるルイスは、黒人のルーツを持ち、ニコと比べれば恵まれない境遇の中でF1チャンピオンを目指してきた。(それでも庶民から見れば、ずっと恵まれているように見える・・・(^_^;)・・・)
ルイスのハングリーさは、レースの中でいかんなく発揮され、しばしばそのアグレッシブさが非難される事もあったが、ニコは逆に「優等生」的なレースが多く見られ、そこにルイスとの差が生まれていたように思う。
しかし今年のニコは、レーサーとしては「ひ弱」に見られているにも関わらず、家庭では徹底したこだわりを持ってレースに臨んでいたようである。(妻・ビビアンと子供が一人いる)
鈴鹿での日本グランプリで優勝したニコは、これでF1チャンピオンになる圧倒的な優位を築いた。この時点で、チャンピオンシップ2位のルイスには、自力でのチャンピオン獲得の目は無くなった。
ニコの手にチャンピオンシップの行方は握られたのである。
これはニコにとって人生最大のプレッシャーとして、その後のレースに影響したと思われるが、ニコは見事にそのプレッシャーを跳ね除け、連続して2位を確保し、最終戦アブダビ・グランプリでは、ルイスから「そこまでやるか?!」という、ちょっと意地悪にも見える戦略にも打ち勝ち、年間ポイントをリードしたままチェッカーフラグを受けたのである。
これ以上、家族に犠牲を払わすことはできないと覚悟したニコは、その翌日に引退を発表。
絶頂期での現役引退というのは、僕らには想像できない勇気が必要だったと思います。
しかし、そんな決断をするほどの覚悟を持って、すべてを賭けて戦った1年だったのだろう。
近頃、日本人ドライバーがいない事も有り、日本でのF1人気はいま一つです。
でも、こうしたドラマを見られるという点でも、もっと多くの人に関心を持ってもらいたいと思うのは僕だけではないでしょう。
ホンダがエンジン・サプライヤーとして参戦していることも有り、来年も楽しみなF1グランプリです。
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