近頃天文界で注目を浴びているのが「ペテルギウス」だと知っている方は、どの位いらっしゃるでしょうか?
ペテルギウスは、オリオン座の左上に位置する、とてもも明るく目につく星(恒星)です。日本では「平家星(へいけぼし)」とも呼ばれるそうで古くからなじみ深い星のようです。といっても地球からは約642光年離れており、決して身近な星ではない。しかしその大きさは、ベテルギウスを太陽系の中心に置いたとすると、火星軌道を大きく超え、木星軌道の近くまで達するとされています。(水金地火木と数えると、地球はその中に含まれてしまう)
また、ベテルギウスは地球からの見かけの大きさが太陽を除いて全天で最も大きい恒星でもあります。
スケールで示してあるのは地球と木星の公転サイズです。いかに大きいか分かります。
このベテルギウスが超新星爆発するかもしれないと注目を浴びているのですね。
しかし、そう思われる原因が必ずしもそうではない可能性もあるというのが厄介なところです。
というのは、超新星爆発が起こる!?と言われる原因が、ペテルギウスの明るさが5カ月前の半分以下の明るさになったというのがきっかけなのですが、「いや、暗くなったのは宇宙塵のせいかもしれない」という説も同時に上がっているからなのです。
一般的に、ペテルギウスのような赤色超巨星は最終的には超新星爆発すると言われているのですが、この減光が超新星段階に入っているのかどうかは未だ断定されていないのです。ただ一般的に、超新星爆発は明るい赤色超巨星が一旦薄暗くなってから爆発して崩壊し、超新星になることは分かっています。
ここで難しいのが、暗くなっているという理由が宇宙の塵のせいでそう見えるだけかもしれない、と言うのと、元々ペテルギウスは、減光と増光のサイクルを繰り返す変光星としても有名なことが挙げられる。(ただこれほど劇的に暗くなったことは今までに観測されていないらしい)
ベテルギウスは超巨星なだけに自分の持つ物質の一部を宇宙空間に放出し、我々の視界を遮るような塵の雲を作り出している可能性もある。
これは昨年の変化度合いなのですが、1月と12月でこれだけ変化しているわけです。でもどうした訳か左上は明るさがほとんど変わってないように見えます。これが塵の悪戯なのかそうでないのか、観測を続けないと分かりませんね。
ここで主な超新星を挙げてみます。(ウィキペディアを参照させていただきました)
主な超新星
超新星 | 年 | 星 座 | 銀 河 | 距 離 | 光 度 | 残骸・別名 | 備 考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SN185 | 185 | ケンタウルス座 | 銀河系 | 3,300光年 | -8 | RCW86 | 最古の観測記録 |
SN393 | 393年 | さそり座 | 銀河系 | -1 | RX J1713.7-3946 | ||
SN1006 | 1006年 | おおかみ座 | 銀河系 | 7,200光年 | -9 | ||
SN1054 | 1054年 | おうし座 | 銀河系 | 7,000光年 | -6 | かに星雲 | |
SN1181 | 1181年 | カシオペア座 | 銀河系 | > 26,000光年 | 0 | 3C 58 | |
SN1572 | 1572年 | カシオペア座 | 銀河系 | 8,000~9,800光年 | -4 | ティコの星 | |
SN1604 | 1604年 | へびつかい座 | 銀河系 | 20,000光年以内 | -2.5 | ケプラーの星 | 銀河系で最後 |
SN1885A | 1885年 | アンドロメダ座 | アンドロメダ系 | 254万光年 | 5.8 | アンドロメダ座S星 | 他銀河で初の発見 |
SN1987A | 1987年 | かじき座 | 大マゼラン雲 | 157,000光年 | 2.9 | 肉眼で見えた最後 | |
SN2002bj | 2002年 | うさぎ座 | NGC182 | 1億5600万光年 | 2009年の解析により新型超新星と確認 | ||
SN2005ap | 2005年 | かみのけ座 | SDSS J130114+2743 | 47億光年 | 観測史上最大光度の超新星 | ||
SN2006gy | 2006年 | ペルセウス座 | NGC 1260 | 2億3800万光年 | 15.0 | 最大級の超新星 | |
SN2009dc | 2009年 | かんむり座 | UGC10064 | チャンドラセカール限界を超えた初の爆発 |
※年は地球における発見年(西暦)。したがって実際の爆発は距離(光年)前に発生したと考えてよい。
※光度は明るさを示し、数字が小さいほど明るい。1等星、2等星っていうのと同じですね。
超新星爆発が起こった時の想像図とそのスケール感を示した図です。
Sun 太陽の大きさと比較すると、如何に大きな爆発になるのかが分かり易いですね。
さらに上図のこれまで観測されてきた超新星爆発と比べて、すごく近距離での爆発(と言っても642光年)という事で、観測するには絶好のチャンスになり、観測データから新しい知見が生まれるのは間違いないでしょうね。
これだけ近くて大きな巨星ですから、昼間でも明るく肉眼でも見えるのではないでしょうか?!
とても楽しみです。
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