他人名義の家屋に増改築する場合の住宅取得等特別控除の可否


 増改築の住宅ローン控除について、誤りやすい事項を紹介します。

1,他人名義の家屋に増改築する場合、ローン控除が適用できません。

 増築家屋について住宅ローン控除が受けられるのは、増築開始時点で自己所有の家屋が有る場合に限られ、この条件を逸脱した適用誤りが平成12年分の確定申告で数多く見られたという報告が一部税務関連団体からありました。平成11年の国税不服審判所の同様の裁決をふまえた発言でした。

 例えば親名義の家屋に子供が増築する場合は、増築部分については、住宅ローン控除が受けられません。

 では、1筆の土地が広く、その上に親の所有する家屋があり、同地所内の隣接地に子供夫婦が1軒家を新築する場合はどうでしょうか?

 この場合ローン控除を受けるには、税務上、増設部分を「単独新築物件」として証明することにより、控除を受ければ良いと考えます。(もちろん増設部分が母屋と明確に分離しており、単独で住居として使用できるものでなければなりませんが)。

 私見では、今後の権利関係を考慮して、建物保存登記上でも未登記物件とせずに、分筆などの手続きを経て、「新築」として登記する方がベターだと思われます。

 実際、公庫などの借入が必要な場合1筆の土地面積がさほど広くない場合でも、新築建物の敷地の地番を母屋とは分離しているケースが多いと思われます。測量等で、余分なお金がかかりますが、今後の種々の問題を考えると、「必要経費」と割り切るべきです。

 2,贈与税に注意

 余談ですが、一般に、他人名義の家屋に増築する場合、贈与税にも配慮する必要があります。

 増築資金が贈与とされる可能性があるからです。

 増築物件で、どうしても贈与という事態を避けたいのであれば、増築部分を増築者の持分として、家全体の持分割合の変更登記を行う必要があります。この場合の持分割合は、床面積で按分することとなるでしょう。200uの親の家に、100u分子供が増設する場合は、増築後は親2/3、子供1/3となります。

 なお「新築」の意味ですが、登記簿上「増築」となっていても、前の建物の多くを壊して増設する場合など、実質母屋の建て直しの場合は、税務上は「新築」となるでしょう。

3,住宅取得資金贈与の特例範囲の拡大

 平成13年度改正で、住宅取得資金贈与の特例範囲のなかに、増改築費用の贈与を受けた場合(工事費用1000万円以上もしくは工事後に50u以上床面積増加)が追加されました。


注:意見にわたる部分は、筆者の考えなので取り扱いには十分留意して下さい。

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