慰安旅行の税務


1、現行通達によれば、4泊5日以内の日程で、且つ社員の50パーセント以上が参加すれば、1人当りの旅行費用が常識ラインの範囲であれば(著しく高額なものを除く-注1参照)、福利厚生費になる。

特定のものだけが参加するものであったり、贅沢な旅行は、福利厚生にはそぐわないということで、「賞与」と扱われるということである。したがって、特定の役員だけが参加する場合は「役員賞与」とされる。社員以外の、例えば取引先をつれていった場合の負担額は「交際費」となる。

2、問題は家族を同伴する場合である。慰安旅行に妻を同伴したいとする会社はかなり多いと思われる。しかし福利厚生費の要件が「全員参加」であることを斟酌すると、社員の妻の殆どが参加するということは実際困難である。運動会とは事情が違うということである。逆にいえば、妻の殆どが参加する場合は福利厚生費で良いのではないかということである。独身者との兼ね合いも、そのひとが偶然妻帯していないということに過ぎない。好ましい家族制度からいっても、妻の同伴は好ましい。ただし一部の社員の妻だけが参加する場合は福利厚生費の趣旨に反するので、賞与の認定が生ずるであろう。

3、子どもについては、親とは別と考える。運動会のように、子どもを含めて、家族の殆どが参加するような慰安旅行は実際考えられないからである。子どもの部分については個人負担となるであろう。

4、まとめると、本人以外については、事実認定上のリスクがある。したがって、一般人の実務では、本人以外の部分については個人負担とするのが賢明である。


注1:1人あたり旅費10万円が上限という実務的な一般慣行である。

以上、筆者の意見である。