コラム 『“隊長”の精神(病)野球』

隊員発行メールマガジン 【週刊・野球小僧の部屋】より抜粋



1999.09.26 : - 監督・長嶋 茂雄 -



『メイク・ドラマ&メイク・ミラクル』
監督・長嶋茂雄を語る上でこれほど雄弁な言葉は無い。

他チーム11人の監督が
「いかに失点を少なくし、いかに得点を重ね、いかに135試合を乗り切り、最終的に優勝を勝ち取る」
事を考えているのに対して、典型的な『B型人間』の彼は、
「ファンを喜ばせて、最終的に優勝を勝ち取る」事を考えている。

何かと誤解されやすい『B型人間』は性格の根本に【旺盛なサービス精神】を持っている。
例えば「おはよう」「おはようございます」で終わる朝の挨拶で
「あっ、あれってどうなってた?」と訊いておいて、
思い出してる間にいなくなってしまう『B型人間』があなたのまわりに居ないだろうか?
これは、「おはよう」だけで終わってしまうのは、お義理の人付き合い。
何でも良いからもうひとこと言っておかないとなんだか冷たい気がする。
と『B型人間』の【旺盛なサービス精神】が《意味の無いひとこと》を言わせる為である。
元々、本当に訊きたい事であった訳ではないので、
他に用事(興味)が現れればその事を忘れてどこかへ行ってしまう。

人にモノを聞いておきながら、返事の前に忘れて居なくなるなんて、最悪なのだが、
本人に悪意が無いどころか【サービス精神】でやった事なので、基本的には反省しない。
このような時は、「さ〜?」と聞き流すか、困った顔で「すぐ返事がいりますか?」と聞き
「いや、別にイイよ」(と答えたら、どうでも良い質問の証拠なので)後は、
嬉しそうに笑って「また(機会があったら)調べておきます」とか言っておけば
『B型人間』は大喜びで去って行くはずである。

話がそれてしまったが、その様な【旺盛なサービス精神】を持っている
監督・長嶋 茂雄の野球感は「ロケットスタートからブッちぎりの優勝なんかしてしまっては、
ファンに【安心】は与えられても【感動】は与えられない。
他チームのファンも面白く無いし、野球人気の妨げにもなる。
だから『メイクドラマ&メイク・ミラクル』なのだ!」と思っているに違いない。

ペナントレースにおいて長嶋は映画 『メジャーリーグ』や、
古くはフォークソング 『走れコータロー』 で使われている方式。『挫折』・『復活』・『勝利(優勝)』 の
シナリオでファンを感動させようと思っている。
そして、1試合単位では「野球で1番面白いゲームは、8−7」これを目指している。

その為に、まず大金を使って『8点取れる打撃陣』を作り上げた。
普通の監督なら『3点以内に抑えられる投手陣を含めた守り』を準備するのだが、
長嶋は『7点取られる投手陣』を用意してしまった。
それも「打つけど全然守れない選手」を追加注文してまで『7失点』にこだわったのである。

そしてペナントレースが開幕する。8点取れない試合に負け、7点以内に抑えきれない試合も負ける。
当然のように優勝戦線から脱落して行くが、夏場他球団の投手陣に疲れが見えてくると
『打撃のチーム』は打ち勝つようになり、元々のチーム力の高さもあって、優勝戦線に入り込んでくる。
『メイク・ミラクル』発動である。

この悪条件で、そしてこの展開で優勝したら・・・ファンはどれほど喜ぶだろう?
そう考えると、自分のチームの再建などそっちのけで、楽しくて夜も寝られなくなってしまうのが、
監督・長嶋 茂雄である。(想像だけど)

100試合過ぎてから「さぁ!本気を出して、優勝するぞ!」と巨人軍はガンバった。
多くの巨人ファンは本気で『メイク・ミラクル』を信じた。
そしてその物語の結末は・・・・・・・


巨人軍オーナーのナベツネ氏が「今世紀は長嶋と心中」と2000年長嶋監督続投を発表した日から4連敗。
たしか去年も続投発表から3連敗している。
優勝を強く望む選手たちの無言の抗議かもしれない。
もし、今年の巨人軍の指揮を予定通り“森”が執っていたら・・・

巷では、セ・リーグのMVPは“野口”か“関川”か、はたまた“上原”かと騒いでいるが
陰のMVPは去年の夏、安易に「スクープだぁ」とか言って新聞に発表してしまい
『森・新監督』案を破壊してしまった新聞記者なのかも知れない。
ドラゴンズファンにとっては長嶋続投を手助けし、与し易い監督が相手チームを指揮する事になったのだし、
反対にジャイアンツファンから見れば『メイク・ミラクル』を実現できるのは長嶋茂雄しか無く、
勝利を重ねても感動の薄い森監督を排除する結果になったのだから。

どちらにしても決着が付く。ゴールまであと少し。



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