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大谷貴子氏講演Previous Page
 お二人の先生から、まさにもう一つの命の出会いを求めて、お話を頂きました。

せっかくでございますので、何かご質問等はございませんでしょうか。

はい、どうぞ。

「最近、新聞に記事が出たと思うんですけれど、きちんとした遺伝子のレベルで検査をした方が、あと、成功の確率があがると、そういう情報を得たんですけど、何か分かってる事があったら教えてください。」

「はい、DNAタイピングという言葉は聞かれた事あるでしょうか。
遺伝子レベルで調べるんですけども、もう既に、骨髄バンクでは3年くらい前からDNAタイピングに切り替えてるんですね。
切り替えているにもかかわらず、朝日新聞は、ああいう書き方をしてたんです。
けれども、私達もびっくりいたしました。
書き方のニュアンスが悪かったですよね。

いかにも骨髄バンクはまだああいう事をやっていて、“おまえらは人殺しだ”とか書いちゃってますけど、でも実際にはもう既にDNAタイピングに切り替えています。

その前の段階、日本骨髄バンクができて、1年目くらいの間は、そういう検査方法がなかったんですね。

それで、表現形の一致した人から骨髄移植をして、やっていました。ただその時の、血液は残してあるんです。

全部の血液が標本になっています。
それを新しい方法が出来たので再検査をしてみたら、一部の血液が合っていなかった人がいました。
やっぱりその人達は、移植をしてもうまくいかなかった。

私はちょっとそのことで呼び出されましてね、朝日新聞の事で、そこのコメントに書いてあった先生と話し合ったんですけど、それは、あまり実際には関係がないんだとおっしゃってました。

むしろ、移植がうまくいくか、いかないかは、患者さんが良い状態で骨髄移植を受けたかどうかによっていると。

ですから今度、新聞に反論する為には良い状態で骨髄移植をした人、その中でも年齢はどうだったか。そういった細分化したデータを発表するとおっしゃってました。

良い状態で骨髄移植をした人はやっぱりうまく行くんですね。
それは当然のことだと思います。
誰も状態が悪くなってからやっていいはずないんです。

待って待って、体が薬でボロボロになった後にやれば、骨髄移植そのものがうまくいったとしても他でダメージを受けています。
体の健康な間に移植を受けるとやはり、良いというデータは分かっているので、あの文に反論する為にもこれからは、きちんとしたデータを解析していきたいとおっしゃってました。

これからは、あの検査方法しかしませんので、今後はもっと成績は勿論よくなると思います。
ただ移植を受けて、私の状態で最初8割だと言われたわけですが、患者にとっては2割は死ぬわけですよね。
でもそうじゃないんですね。
さおりちゃんやさとる君はその8割の可能性に賭ける事も出来なかった。

しかし700例の患者さん達は8割の確率にかけて頑張ったわけですよね。
それで、最悪結果は亡くなるという不幸な転機をとった。

しかし、それは移植を受けなくても必ず死んでしまうわけですよね。
移植を受けた時に、結果は悪かったとしても、移植を受けるというチャンスは患者さんに与えられる。

これは骨髄バンクの使命だと思います。
ですから先ほどの長谷さんのように、移植を受けた患者さんがどうなったか、あんまり考えないんです。
必要だからその人にあげたんです。
これが骨髄バンクの神髄を現していると私は思います。宜しいでしょうか。」

「はい、ありがとうございました。」

「他には何か、ございますか?はい、どうぞ。」

「ドナーになられた方の、何かおきた場合の保障とか保険とかの事は、ちゃんとしてるんですか?」

「はい。勿論、命をお金で返す事はできないと思っておりますが。
ま、一番最悪の事故、死亡事故となった場合には1億円の保障がかけられています。

それから、その段階に応じて金額はいろいろですけれども、東京海上火災の保険に入っておりますし、ご本人が既に入っておられる生命保険も適用されます。

人に命をプレゼントする為に、自分が事故にあってしまう。麻酔事故や、挿入事故で、1億円は安いんじゃないかと、自動車事故のような、無制限でお金を払うべきじゃないかという話も出ています。

確かに提供する側から見ればそうかもしれないですが、実際にその保険金を払っているのが誰かと言えば、受け取る患者さんが払っているんです。

1回の移植をしていただく為に、保険料だけで18万5千円払っております。たった1回きりの為だけに、それが無制限になると、50万だか100万だか、とてつもない金額を払うんです。

保険会社としては、採算が合わないですから、今のところはそれが限界ですね。

お金の潤沢にある患者さんであれば、18万5千円なんて、命を引き換えれば安いものだと思います。
でも私は今、34才なんですけれども、最近ですが、私と同じ年の奥さん、そしてそのご主人も同じ年でした。
ご主人が亡くなられたんですが、それは、骨髄移植が出来なかったから死んじゃったんですけれど、4人のお子さんを残して亡くなられました。

もしこの人達が今後、骨髄移植を受ける事が出来たとしても、経済的には大変だろうなと思いました。

一家の大黒柱が白血病で4人の子ども、3才、4才、7才、8才の子ども抱えて生活して、そして骨髄バンクに払わなきゃいけないお金、治療費として払わなければいけないお金、保険金を払わなければならないお金で最後は亡くなった。

ちょっと暗い話で申し訳ないんですが、亡くなられた時に奥さんは涙を流しておられなかったんです。
忙しすぎて涙を流す間がないのかなと思ったら、悔しすぎてと、おっしゃっておりました。

“この4人の子を残して、なんで先に逝くの。これから4人残すわけにはいかんから、先に逝かんといてや、先に楽な方に行かんといてや。本当、腹が立つわ。”
とおっしゃってましたけど、そう言う経済的な状況から考えると、18万は限界かなと正直言って思うんですが。
本当は無制限で、一番いいのは事故のない事ですよね。

ですから、提供していただける病院、提供にお手伝い頂ける病院は、非常に限られています。
良いスタッフ、良い医療者、良い施設のある病院に入院して頂いて、提供して頂きます。

万全を尽くしますので、まず事故の心配はないと言えると思いますが、最悪事故があった場合には1億円の保障があるという事は伝えておきます。

ですから、私があえて登録して下さいと言わないのは、ぜひ、それを分かって頂いた上で、できる事を手伝って下されば、ありがたいと思っております。」

「どうぞ、そちらの方もお願いします。」

「ちょっと教えてほしいんですけど、実は私ドナー登録させて頂いてる者なんですけれども、登録するのに50才までという制限があると伺って、今なら間に合うと、ギリギリのところで走って行きました。
それで、今でも登録カードは携帯しているわけですが、残念ながら、2次検査までは進んでないんです。
登録期間というのが年齢で、ある程度、切られるのかってことを、ちょっと教えて頂きたいんですけども。」

「失礼ですけど、今おいくつですか?」

「実は52になりました。」

「そうですか。これはもう骨髄バンク側のお金がないという言い訳にはならないんですが、実は51才と11ヶ月までは、52才になる直前まではコンピューターに入ってるんですね。
それから後はコンピューターが当然落ちるようになってるんです。

その時に一筆ご挨拶、“どうもありがとうございました。年齢がこういうふうになってしまいましたので、骨髄バンクのコンピューターからデータは落ちますが、今後もご協力お願いします”という、一筆を全員に出すべきだと私は言ったんです。

ですが、お金の話になって申し訳ないんですが、本当に骨髄バンクはお金が無いんですね。
それで、100%骨髄バンクに必要なお金があるとしたら、半分が患者さんの負担なんです。
骨髄バンク全体の運営に関してですから、何億というお金です。
そして、後残りの50%のうちの30%は一般の皆さんからのご寄付なんです。
そして後の20%がようやく国家予算なんです。

その中で、手紙を出す事、それから、ドナー登録カードですけど、たぶんご経験あると思いますが、かなりしてから届きましたでしょ?
忘れた頃に何で来るのと。
あのカードを作るお金を捻出するだけでも何年もかかったんです。

そしてあのピンク色のカードは、全く独断と偏見で、私がピンク色の服が好きだから、これにするというだけだったんですが、そのデザイナーも全くボランティアでして頂いて。
後ろに印刷もしたいと思ったんです。
それぞれの名前の刻印を打ちたいとも個人的には思ったんです。
でも、そのお金も無くて、せいぜい、あれが関の山でした。

ここでいくら言い訳をしても、日本全国の人に聞きいれない訳ですから、誠に今お話しを聞いていて、恥ずかしい思いでした。

一言、ありがとうございました、という気持ちがあるんだったら、もしかしたら、コンピューターにもまだかかっていたんではないかと思うんですが、今日ここに足を運んで下さって、ご意見下さったこと、またもう一度、骨髄バンクの方にはいしまして、何とか何処かでお金を捻出して、そういった皆様に、ご挨拶状を差し上げるべきだという事をもう一度言ってみたいと思います。」

「でも、ドナー登録をするという事は、必ずどっかでドナーになりたいという気持ちがあるわけなんですね。それで、年齢で切られてしまうのは、非常に寂しいなという気がするので、もうちょっと、あの個人差もある事ですから、体力、体格のいい人はそこから外すとか、そう言うふうにして頂けると、非常に私も生きてる値打ちがあるかなという気もするんですね。 で、52才で切られちゃうと、ちょっと私は人よりも元気で頑張ってるんだから、もうちょっと別扱いしてほしいなあとどっかで思うのは、これ事実です。 これは半分冗談みたいに申しあげたんですが、それならば、それで違った応援の方法があるだろうと思いますので、また私なりに出来る事をさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございます。」

「他にはどうでしょうか。
ええー、お二人の講師の方をお迎えしまして、こうして、和やかなうちにお話が聞く事ができました。
ありがとうございました。

もう一度盛大な拍手をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
なお、今日三人の手話通訳の方が来て頂きました。
手話通訳の皆さん方にも、拍手をお願いします。
どうもありがとうございました。

では、これを持ちまして、本日の会を終わらせて頂きます。

ありがとうございました。

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