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コンクリートとシロアリと土と


通常シロアリは個体が裸で活動することはなく、蟻道や泥線を集団的「外骨格」のように利用し、それをアメーバのように変形させて活動する統合生物です。そして、彼らは人間から与えられたコンクリートの環境にうまく適応しているのです。
ここではヤマトシロアリとコンクリートの関係について明らかにします。

コンクリートは、シロアリに活動エリアと密閉度を提供した

自然界でのシロアリは地表での活動をほとんど行いません。それは、地表というものが蟻道を構築するにはあまりに柔らかで不確かだからです。
雨が降れば流されるし、外気の動きはあまりに強烈だからです。そのうえ、アリやムカデといった徘徊性の天敵があまりに多いことも上げられます。
多くの場合自然界のシロアリは大きな石や倒木の裏側、あるいは木の根や固さの異なる土の境目などにそってトンネルや蟻道を作って活動します。蟻道を柔らか な地表に構築するにはかなり壁の厚いものでなければだめで、そうなるとかなりの時間と労力が必要です。ところが、硬いものに沿って蟻道を作れば、蟻道自体 は柔らかでも安定するし、活動も速くなります。
人間が作った平らなコンクリートは、蟻道を作る上で必要な硬さと密閉性をシロアリに与えてしまったのです。こうしてシロアリは風雨や外敵から守られるだけでなく、コンクリートの板の裏側に沿っていけば、自由に活動できる環境を手にしたのです。

コンクリートは有益な生物活動をシャットアウトした

地表には独特の生態系が存在し、昆虫などの小動物や微生物が入り乱れて生息しています。昆虫などの土中活動は地下に外気をもたらして好気性の微生物の活性化を促し、微生物の活動は土壌成分に影響を与え、多くの植物や動物に生育環境を提供しています。
家屋の床下も独自の生態系がありますが、野外と比べて栄養の消費が非常に少ない場所です。
それでも、生き物の死骸だけでなく小さな木片も含むすべての生物遺体は他の生物の栄養として利用されています。
地表と地下は自然の状態では常につながりあって生物の活動の場となり、それはやがて人間にもかかわってきます。
土壌に住む微生物や木材を腐らせる菌類が化学物質をうまく分解することは多くの研究者によって明らかにされているし、人間の体の内外の微生物ともつながり あっているのです。だから、土壌を身近にひきつけて暮らすことは人間が自然の中で暮らす上ではきわめて重要な要素なのです。
家屋の床下や家屋の周囲をコンクリートで封殺してしまうのは、土中と地表のつながりを断ち切り、人間にとっても有益な生物活動を消滅させることを意味するのです。

生きた床下
分解されるゴキブリの死骸
生き物の死骸は
微生物が分解する
シロアリによって分解される木切れ
小さな木切れも
床下では貴重な栄養源
死んだ床下
カマドウマの死骸
分解者のいない床下では
死骸はいつまでも残る
家が建ってからのゴミが結構多い
ゴミも永遠にゴミのまま
そして増えつづけるのみ
そして極端に乾燥した床下は
ハウスダストの生産工場となる
自然環境の維持は自分の足元から!
床下にこそビオトープを!

床下でもこういうのは珍しい
特別に壁厚の硬い蟻道なしには
地表活動はできない

裏面がでこぼこの犬走りではシロアリはなお住みやすい
野外のコンクリート板を撤去すると
その直下にはシロアリの蟻道が

周囲が土であったころは被害はなかった
土間コンクリートは
シロアリの生息域を上昇させ
木材と近づけた

シロアリはぶつかったから素直に上ってきた
コンクリートの裏側は
シロアリにとって好環境
もし、ここに断熱材があったなら

蟻道の太さは地下の活動量の大きさを示している
鉄筋コンクリート建物のシロアリ被害も
コンクリートの形が原因

鉄骨造の家屋によくある構造
ほとんど人災だ
こんな構造は
シロアリに餌を与えるのと同じ

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