大いなる勘違い、枕木の再利用
廃棄された枕木が民家でよく使用されている。何か特別な意味があって使用されているかといえばそうでもなく、装飾や雰囲気作りが目的であるようだ。
使用のされ方を良く見ると、ガーデニングの補助材料であったり、木造家屋の周囲に敷かれていたりする。たぶん枕木を使用している本人は庭木や鉢植、あるい は自然素材を生かした家屋に合うと思って設置したのだろう。しかし、防腐剤漬けの枕木が周囲の自然に合うなどと考えるとしたら、本当に恥ずかしいことであ る。
以前どこかで聞いた話に、廃棄された電柱でログハウスを建てたら臭くて困ったというのがあるが、まさに愚の骨頂である。
とくに目立つのは、家屋内の化学物質を嫌って自然素材で家を作ったり、「省エネ」のために太陽熱利用の家を作るような人ほど好んで枕木を使用していることである。
家の中は自然素材、家の周囲は化学物質ということか。まだまだコンクリートのほうがどれほどか自然物に近い。また自然物にこだわるなら飛び石にすべきだ。どうして日本人は石を使わなくなったのだろう。
とにかく薬剤だらけの枕木の下の土壌やそこに住む土壌生物の身になっていただきたい。そもそも土壌を嫌って枕木などで土壌を覆うこと自体がどれほど不健全 なことか考えるべきだし、家屋周囲の自然を台無しにしておいて、「自然にマッチした」などと思い込む人間がどれほど愚かしいものか考えていただきたいので ある。
ついでにいうと、シロアリにとってはこれほど薬剤漬けの枕木でも生息するのにやぶさかでなく、枕木から出た羽アリが隣家との間でトラブルの元になったりしている。
2001/8