それみたことか、基礎断熱のシロアリ被害
基礎断熱によってついに本格的なシロアリ被害が出始めた。
建築関係の業界誌『日経ホームビルダー』(2001/5)は、首都圏で発生した基礎断熱を起因とするシロアリ被害について報じた。
内容は、首都圏のある建築会社が2年前に引き渡した高気密・高断熱住宅で、基礎コンクリートに設置された発泡ポリスチレンフォームを食いあがったシロアリによって壁の中が食害されたというもの。
発見のいきさつとしては、居住者が車庫入れに失敗して出窓を壊したというので壁の修理をしたことだ。
シロアリは断熱材を食い登り、土台のヒバを通過し、アンカーボルトの穴から壁の中に侵入している。これまで多くのシロアリ技術者の警告していたとおりと なってしまったのだ。これから全国的にこうした被害が増えると思われるし、同時に駆除が非常に困難となることは目に見えている。
建築関係者の多くは、「木材の含水率が低いとシロアリは生息できない」とか「床下が乾燥状態なら大丈夫」という根拠のない信仰によりすがり、シロアリ対策を真剣に考えてこなかった。
また、こうした間違った結論を平気で発表して本に書いてきた一部の専門機関の研究者の責任も問われなければならない。
ただ、この記事自体もまだまだシロアリへの認識に問題が多く、断熱材が食害される原因を「シロアリが気流や光を嫌う」ことに求めたり、イエシロアリにのみに水を運ぶ能力があると書いたり、あるいはシロアリ対策を薬剤処理とのかかわりでしか理解できていない部分もある。
なにか一つや二つのシステムや対処法の採用でシロアリ対策ができると思ってしまうことは、また別の盲点を生み出すのだ。
シロアリ対策というものが、家の構造や居住者の住まい方や生き方など、人の暮らし方全体にかかわるものであることがまだ理解されていないのだ。
2001/5