つい先ごろ静岡県浜松市でアメリカカンザイシロアリが発見されたという知らせがあり、わくわくして現地に行ったらヤマトシロアリだったということがあったが、今度は新聞に載るくらいだから本物らしい。 アメリカカンザイシロアリは家具など小型の木製品に生息する場合は、その所有者が異常に気づきやすいのだが、家屋の土台や梁などではなかなか気づかずに、かなり広がってからでないとわからないことが多い。 とくに、一度羽アリを出してしまうと、その高い生息率(ヤマトシロアリとは比較にならない)によって隣近所に広がる可能性があるから厄介だ。 今回は家具とベッドで発見されたというから、ただちにそれを家屋から隔離して処理すべきである。 もちろん、アメリカカンザイシロアリは直ちに大きな被害を与えるものではないし、きちっとした対応をすればそれほど大きな問題にならない。 しかしその分散性は警戒しなければならない。とくに羽アリがもぐりこんだ穴の跡はほとんどわからなくなっているので、コロニーの位置の特定が困難となる。とくに、初期コロニーではたった1対の生殖虫のままでいることがあるので、糞が落ちるまでにはかなりの時間がかかる。 ところで、新聞報道に出ていた「シロアリの生態を研究」しているという地元の大学の研究者は、アメリカカンザイシロアリと温暖化を結び付けて説明したよう だが、アメリカカンザイシロアリは、そもそも寒さに強い虫であって南方系の虫ではない。南方系のダイコクシロアリと間違ってもらっては困る。 だから、このシロアリの場合はその生息の経緯と家屋の構造や温暖化には何も関係ないのだ。 とにかく持ち込まないこと。この一言に尽きる。そしていったん生息したら長い付き合いを覚悟しなければならない。 ただ、ちょっと気になるのは新聞の記事でやたらと「白い粉」と書かれていることだ。写真のような被害ならもう少し糞粒が協調されてもよかろうに。また、新聞コピーの被害写真のものがもしアメリカカンザイシロアリなら、なかリ珍しい被害の形だとも言える。 さらに気になるのは、あれだけの被害材のなかからシロアリの個体が採取されたのなら、どうして採取されたシロアリ個体の写真が新聞に載らないのだろう。紙面上の兵蟻の写真は、見る人が見ればすぐにわかる猛烈に古い写真なのだ。 2001/3
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