基礎巾木は塗らない方がいい


 基礎には多くの場合基礎巾木(きそはばき)と呼ばれる仕上げのコンクリートが塗られています。今日の基礎巾木の歴史は浅く、古民家のような石の基礎には塗られていないし、戦後のコンクリート基礎にもほとんど塗られていませんでした。それがいつの間にか塗られるようになったのです。 一部には「基礎を保護するため」という言い方もされますが根拠はないように思えます。今でも塗らない家は塗らないし、地域によってはほとんど塗られていないところもあります。 そして見栄えをいうなら、10年も経てば基礎巾木のある家もそうでない家も同じように汚れてきて、見た目で判別しにくくなってしまうのです。
 そしてこの基礎巾木、シロアリ対策上では少々厄介な存在となっています。


 この家は2階付近まで被害があって羽アリも出ましたが、その原因となる蟻道が見つかりませんでした。そしてよく調べると基礎本体と基礎巾木のわずかな隙間を利用してヤマトシロアリが入り込んでいたことがわかりました。
 この基礎巾木がなかったなら、かりに蟻道が基礎外周にできても風雨にさらされたり日常的な掃除などで容易に壊されていたはずです。
(松本市)
 この家は店舗ですが土台から出窓まで散々な被害を受けましたが、やはり床下には蟻道はありませんでした。
 ところが基礎巾木を撤去すると写真のような太い蟻道が3本見つかりました。
 やはりここも基礎巾木さえなければ、たとえ被害があってもこれほどまでに大きな被害にはならなかったはずです。
 つまり、基礎巾木はシロアリの侵入を保護する役目を果たしていたといえるのです。
(豊田市)
 この家は割合新しくて基礎巾木がそれほど浮き上がってはいなかったのですが、基礎巾木を塗る際に基礎の角に取り付ける樹脂製のゲージのようなものの隙間からシロアリが侵入しました。
 そうして一旦シロアリが入ると隙間は拡大され、その後を追うようにアリなども入ってきます。
(国立市)
 この家も割合新しいのですが、羽アリが基礎巾木の隙間から出ています。
 こうしてみると、基礎巾木は必ずしも古くなってから剥がれるとは限らないといえます。
(岡崎市)

基礎巾木を塗ってある家での増築について
 基礎を付け足す場合、必ず基礎巾木を撤去してから新しい基礎を設置するべきです。その場合基礎同士の接合部は次のうちのどちらかの配慮が必要です。
 すなわち、(1)既設の基礎面に水平方向(縦方向は絶対ダメ)にサンダーなどで刻みを入れ接着性を高めるか、(2)接合部をわずかに離して隙間を開けるか、どちらかです。中途半端に接着するのが一番いけないことです。

基礎巾木を塗らないと安心なことも
 多くの工務店はしっかりと工事すると思いますが、一部の工務店では基礎のコンクリートの打ち方が粗雑で空疎な部分があっても基礎巾木を塗ることでそれを隠してしまうのです。基礎巾木を塗らないと言えばコンクリートの打設もしっかりやってくれるはずです。

どうしても仕上げが必要な場合は
 ペイント仕上げをしましょう。塗料の厚みならシロアリが体を入れることができないので、かりに蟻道ができてもすぐに発見できます。
 コンクリートの基礎巾木や石板仕上げでなければ嫌だという人は、たとえば道路側だけというように設置する方面を限定しましょう。
 訪問者は他人の家の基礎周りにはそれほど興味はないはずです。