アメリカ式ベイトシステムとは
基本的な立場がまったく異なります

当社などが推進する定期点検方式は、監視ボックスを使用することから、しばしばアメリカ式のベイトシステムと同じであるかのように言われますが、その立場の上でも考え方でもまったく異なるもの、いや、対極をなすものです。以下にその主な部分を比べてみます。

ポイント駆除と定期点検
アメリカ式ベイトシステム
駆除対象
目前で家屋に被害を与えているシロアリ
あるいは羽アリの原因となるシロアリ集団
庭に住むヤマトシロアリは駆除対象ではない
駆除目標の限定
(被害がなければ監視するのみの共生型
ベイト(誘殺)ボックスに侵入する
すべてのシロアリ
敷地外のシロアリの死滅はやむをえない
駆除目標を限定しない
(殺しつくすまで行う全滅型
種の違いと対処
ヤマトシロアリ、イエシロアリ、乾材シロアリなど
生態の違いで駆除や点検の仕方は異なる
すべて同じマニュアル
乾材シロアリには適用できない
薬剤の使用法
状況にあわせて柔軟に施薬
技術者の判断により薬剤の選択も可能
必要がなければ使用しない
マニュアルに基づき処理
薬剤は一定
薬剤の性質が決定的
監視ボックス等
監視ボックスは必要により使用
誘殺への転用も可能
場所や場合によって形も様々
ベイト(誘殺)ボックスは必ず使用
一部に特殊形態はあるが既存のもの
目前のシロアリ
目前のシロアリにすばやく対応
目前のシロアリには対応できない
柔軟性
諸条件によって多様
すべてオーダーメイド
シロアリが少なければ当然コストも安い
どこでもいつでもだいたい同じ
「隣の家にタクシーで乗りつける」ような
過剰コストの可能性もあり

性格
薬剤やシステムに頼らない
従来のマニュアル式大量散布ときっぱり決別
シロアリを区別しない、マニュアル主義、
全滅志向など
従来の薬剤大量散布思想をしっかり踏襲

有機塩素系殺虫剤DDTは、開発された当初は、人間に対して直接的な毒性が低く、効果はきわめて長期に安定するもので、まさに「夢の殺虫剤」「最後の殺虫剤」とまでいわれました。しかし今ではDDTを含むすべての有機塩素剤は、環境や生体への蓄積、あるいは「環境ホルモン」としての作用など当時考えもつかなかった問題が指摘され、使用できなくなっています。
もはやどんな薬剤でもかつてのように「安全だから大量使用していもいい」という時代ではありません。また化審法という化学物質を管理する法律にも人間だけでなく「生態系への安全」が書き加えられたように、「人間にだけ安全なら他の生物を根絶やしにしてもいい」と考える時代ではなくなりました。
アメリカ式のベイトシステム、およびそれに類したターゲットを限定しない”遠隔操作的なシロアリ対策”は、いかに効果があろうとも、それを商業ベースで安易に使用するとなれば第二のDDTになるのではないでしょうか。
しかも、「地球に優しい」をうたい文句にするある種の建物がこれを標準で採用するとか、素人が勝手に使用できる毒餌剤を生協が販売するなら、時代逆行のそしりは免れません。