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現代日本税制の評価と課題21世紀を間近に控えた日本財政の現状は、税制のあり方に次の二つの問題を投げかけている。第一は、2025年をピークとする高齢化、少子社会への移行にあたり、予測される社会保障費中心の経費膨張にどう対応するかの問題である。
これについては、高い税負担が経済力を衰退させてはならないということ、そのためには、税負担水準は社会保障負担を含めて、50%がギリギリの限界ではないかということである。国民所得に対する租税及び社会保障負担の比率でみれば、日本は37から38%(1992年度以後。地方税を含む)であり、アメリカ(36.5%1989年)とならんで、低負担国である。イギリスは50.2%(1990年)、ドイツ51.3%(1990年)、フランス62,1%(1988年)の中負担国である。スェーデンは77.4%と高負担国である(1993年11月税制調査会資料)。但し、日本の総負担は1970、1980年代に約10ポイント急速に上昇している。スウェーデンは、超重税だが、生活大国指向の優等生であり、日本は経済大国指向の優等生といわれている。日本の場合も急速な高齢化社会への移行にあたり、将来的には豊かな福祉国家への転換が必然である。避けられない経費の増加により、ネットの増税の選択を余儀なくされる場合もある。しかし、スウェーデン型の重税社会に移行するのであれば、当面の経済活力を維持することができない。日本の場合、スリムな財政を求めるとともに、受益に見合う最小限の税負担に近づけることが現実的だと考えられる。
第二は、その負担あるいは負担増のあり方を、どういう税の組み合わせ(税負担構造)で達成するかが問われねばならないことである。現在所得課税54%、消費課税26%、資産課税20%(1992年度。資産所得課税を資産課税としている)の税収構造のうち、消費課税と資産課税のウエイトを高めるべきではないかということである。消費課税を推奨する最大の理由は、消費課税が所得税と比較して成長面での阻害要因がより小さいということである。所得税では、貯蓄(投資)が所得からの支出とみなされ、利子などの貯蓄収益とともに課税される。したがって、貯蓄(投資)を課税ベースから除外するタイプの税金(例えば直接税としての支出税、間接税としての消費税)と比較して、所得税は税制の経済成長面でのマイナスがより大きいであろう。成長を阻害しないという観点からは、明らかに支出税や間接消費税が所得税に優っている。消費課税を推奨する別の理由は、所得課税においては、未実現のキャピタル・ゲイン課税の実行不可能なことなど、包括的所得課税の実行上の難点が将来的にも克服されないものとして残ることである。所得税の実行上のもう一つの難点は、事業者、個人間での所得捕捉率の違いである。これに対しては消費課税のウエイトを高めることにより、捕捉面での負担の実質的公平を図ることができる。しかし消費課税には、低所得者ほど税負担を高めるという垂直的公平負担面での弱点もある。
そこでこの第二の問題を考えるために、戦後の税構造の特徴を簡単に総括しておくことにしよう。
戦後においては、高度経済成長期以後現在まで、直接税としての所得税、法人税が高い比重を占めてきた。すなわち高度成長期以後、直接税が税収全体の70%前後の高い割合を占めて現在に至っているが、直接税のほとんどは所得税、法人税であった。その背景には企業社会の定着、強化という現実があろう。残りの部分は伝統的な間接税(酒税、たばこ税、個別物品税など)あるいは1989年から導入された一般消費税で補完されるという形であった。
このように税の中心をなしてきた所得税、法人税についてみると、所得税の場合は、強度の累進制が導入されて垂直的公平負担が相当に実現されたこと、また法人税の場合は、国際的にも高い税率が設定されてきたし、大企業と中小企業では異なった税率が設定されることによって、負担の公平性がそれなりに図られきたことは確かである。しかし反面において、所得税の場合は事業者、個人間で捕捉率の不平等性(水平的不公平)が大きいし、法人税の場合は、各種特別の軽課措置が設定されたり、赤字法人では法人税負担を一切免れるなどの不公平性を内包してきた。
そればかりか、両税とも資産性所得部分すなわち利子・配当、株式譲渡益、土地保有・譲渡益などについては、優遇(軽課)措置が講ぜられ、大企業、高額所得者が有利になってきたこと、こうして課税ベースが縮小され、また所得間、資本間の不公平性が温存され、拡大されてきたのが実態であった。
この不公平性は、1980年代からの民活的経済自由化、あるいは80年代半ば以後のバブル経済化の中で大きくなったが、とくに土地、株保有者とそうでない者との格差拡大が目立つようになったのである。
このような不公平化を是正するうえでカギの一つとなるのは、課税ベースを狭めてきた資産性所得の扱いであろう。いま一つは、間接税としての消費課税である。消費課税についてみるなら、二度の石油危機以後、世界最大の債権大国となった日本では、国民の所得水準が世界でトップクラスに上昇し、また国民の「総中流化」も手伝って諸種の選択の幅が以前よりも広がってきたことは確かであり、そのさい国民の全体的消費力に対する課税を強める方向が考えられる、ということである。
以上から今後は、日本の目指す福祉社会の路線と増税の種類と程度が、現状には一切手をつけないことも含めて、国民に客観的に選択されるようにしなければならない。財政支出面では、徹底した経費の絞り込みが常に必要である。スリムな行政運営が増税の前提条件である。戦後日本税制の吟味からいえば、今後の税制改革にあたっては、けちな大金持ちが大した税負担もせず、子孫に財産を継承するようなことは拒否されなければならない。消費課税の増加の場合は、資産所得課税の増加をセットにすることも考えられる。税制改革にあたっては、個人所得税の課税ベースを拡大することが先決だと思われる。法人、個人所得税率はともに低下させることが必要である。法人税制については各国で所得計算の方法が異なる。日本の法人税の課税ベースは、イギリス、アメリカに比較して広く、実効税率は先進諸国では、ドイツとならんで最も高い水準である。次に日本では、消費課税の拡大の余地がある。消費税については、1997年4月1日から税率の5%(4%の消費税、別に1%の地方消費税、計5%)へのアップとインボイス型への移行が決まっている(1994年11月25日税制改革法案成立)。そこで、今後の消費税の改革にあたっては、徹底した行財政改革の進行と、資産所得課税を含めて所得課税の課税ベース拡大が条件である。消費税の税率については、複数化(課税対象によって税率を変える)することも考えられる。単一税率の場合は、個人所得税とリンクさせることにより、低所得者に対して消費税相当分の税額還付制度の導入も考えられる。
また、開発利益の還元、地方財源充実の観点から土地税制については、保有課税、譲渡課税を中心として、地方財源を拡充することも考えられる。
U 租税原則と日本における租税体系、租税負担率
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租税原則租税のあり方は、資本主義の経済、国家のあり方により決定される。豊かな福祉社会を目指すというなかでの租税のあり方も、租税原則にしたがうものである。資本主義勃興期の国家の租税原則としてアダム・スミス(
A.Smith )は、租税一般について四つの一般原則を述べている(第3章参照)。一つは、公平であること。あらゆる国家の臣民は、各人の能力にできるだけ比例して、国家の保護のもとに享受する収入に比例して貢納すべきである。二つめは、各個人が支払う義務を負う租税は、確実でなければならず、支払時期、支払方法、支払金額は誰にとっても明白で容易でなければならない。三つめは、納税者にとってもっとも多くの便宜がある時期と方法により徴収することである。四つめは、徴収費がすくなくてすむこと
(1)である。スミスの租税原則は、十九世紀半ばの産業資本の利益を代弁する主張である。旧来の恣意的で腐敗した徴収制度を排除し、個人の自由を尊重し、経済に与える租税の影響を極力押さえるという、現在を含めて資本主義の全時代を通じる基本的な租税原則である。スミスの場合特徴的なことは、租税が国家の保護のもとに享受する収入に比例して、政府を維持するのに要する対価であるとされることである。また、四原則のかかわり合いからして、自分だけではなく他人から見ても明白な課税物件に対して、その大小に比例して課税するということになろう。租税利益説、収入比例説の主張、を見ることができる。また、ある税が必ずしも意図された所得からは払われないことを説き、生産、流通をスム−ズにする視点から必需品に対する内国消費税が賃金引き上げをまねくものとし、排除されている。
スミスの利益説的租税観に対して、19世紀のドイツの財政学者アドルフ・ワーグナーの社会政策的な租税原則がある。資本主義の矛盾を隠蔽するための軍事政策と、労働者階級に対する社会政策を実施する必要に迫られ、それらの膨張する経費をまかなうための租税観を代表するものとされている。その内容は次のとおりである。
@財政政策上の原則A国民経済上の原則B公正の原則あるいは公正な租税配分の原則C税務行政上の原則。以上に見られるように、ワグナーの原則は、国家政策の視点の租税原則である。国家収入を確保するために、各人の負担能力に応じた犠牲、即ち累進課税を当然のものとしていることは、比例税的思考の強いスミスとは大きく異なる。
上記の租税原則は、租税がいかにあるべきかの基本理念を集約したものである。したがって、個々の税制改革に直接応用できるものではない。結果としての公平・平等を他の価値理念にどの程度優先させるのかは、その社会の経済の発展段階と社会の成熟度により決まる。
1980年代以後の世界及び日本の税制改革の流れでいえば、公平、簡素、中立の視点に従って、改革が進行している。その場合の「公平」というのは、比較的所得分配が公平化した社会では、等しい人々が等しく取り扱われるのが当然であるという水平的公平のことであり、現行所得課税の課税ベースの狭さと累進課税をともに否定する考え方である。その場合の税の「公平」化とは、課税ベースを拡大して税率を「フラット化」(最高税率の引き下げ、及び刻み数の減少)することである。また「中立」というのは、現行所得課税が消費を促進し、貯蓄(投資)を抑制する非中立的なものだとして、貯蓄(投資)を抑制しない税制を望ましいとする場合の経済的中立のことである。したがって税の中立性の観点からは、付加価値税などの導入、強化は望ましいものである。
確かに現代では、低成長下にあって、比較的少ない所得を分け合うのであるから、税制は第一に、公正なルールの下での自由な競争を阻害するのであってはならないと思われる。しかし、競争から脱落する者もある。したがって税制では、一定の累進課税性の温存など、低所得者に対する配慮もあわせて考慮されなければならない。
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日本の租税体系と租税負担1)日本の租税体系
税源が所得であるにしても、
所得税のみで膨張する経費をまかなうには足りない。 また、租税種類を多様化することにより、所得把握を容易にする側面もある。日本の現行租税体系では、所得の入りだけでなく、所得の支出(消費)、また、過去の所得の継承である財産の取得、保有などに対して、それぞれ国と地方とが、それぞれ課税客体・課税物件を特定して課税している。現行税制のなかで主要なものは、貨幣の流入を捉えて課税する収得税である。このうち、所得そのものの発生額に対して課税するのが所得税である。これには、個人所得税、法人所得税がある。また上記二税には、付随の地方税があり、都道府県及び市町村の基本的な税源となっている。収得税には、このほか収益が生ずるとみなされる源泉(工場、事務所の規模等)にたいして課税する収益税がある。収益税の代表的なものは事業税であり、都道府県が課税権限を有している。本来は収益税であるにもかかわらず、現行の事業税では収入金額課税法人(電気・ガス供給業、生命・損害保険業)を除いて企業あるいは個人の所得が課税標準である。売上、資本、床面積、従業員数、賃貸価格など、事業税の課税標準となりうるもので所得以外のものが「外形標準」である。電気・ガス供給業については、大きな固定設備を有し、その属する地方団体から有形無形の多大な便益を受けており、その便益に見合う相当程度の税負担に任ずべきこと、またこれらの事業は公益事業等の理由から収益が低く抑えられていることなどの理由から収入金額が課税標準とされている。現在、事業税の改革の方向については、本来の収益税の観点から、所得を課税標準とする事業についても、収入金額などの外形標準を導入することが議論されている。
所得が消費(支出)されたとき、所得の存在をみなして課税するのが、消費(支出)課税である。財産の所有に基づいて課されるのが、財産税である。
ところで税の分類としては、上述の収入の流入・支出による分類よりもポピュラーなのが、直接税、間接税の分類である。税務当局が、納税者イコール担税者と期待するのが直接税である。他方、税負担の消費者への転嫁を想定するものが間接税である。間接税は、税収の期待効果から、生活必需品を含めて課税せざるをえず、低所得者ほど程税負担が高く(逆累進性)なる。
所得税などの直接税は、累進負担を組み込むことが可能となる。しかし、50%を越える税率では、労働意欲を損ない、日本の現在の所得税率の最高税率は50%まで引き下げられている。各所得階層の適用税率も、各月所得の上昇により、中堅所得層で急激に上昇する税率が適用される仕組みである。少なくとも物価の上昇に見合った減税が継続して実施されなければ、中堅所得階層の税負担は実質的に重くなる。またドイツとならんで高い法人税の負担は、租税の国際関係の強まりのなかで、企業の行動に大きく足かせとなり、経済の活力を減退させるという企業サイドの議論がある。また小規模法人や赤字法人の課税の問題であるが、小規模法人に大企業と同じ課税所得算定システムを認めつつ、他方で二段階法人税率(1990年4月以後、中小法人の800万円超の所得部分については大企業と同じ37.5%、800万円以下の部分については28%)を適用するのは妥当かという問題がある。アメリカでは、小規模法人、組合(
Partnership)、 ドイツでは合資会社、合名会社等の人的会社は、事業体レベルでは法人所得税は課されず、利益持分が個人段階で事業所得として所得税が課される。法人税については、企業規模などの企業の実態に沿った法人税制の再構築も考えられる。日本では敗戦後、「税制の近代化、徴税事務の改善」を旗印に、シャウプ博士の勧告による税制改革がドッジ・ラインの一環として実施された。勧告は、所得税を中心とする総合課税の実施、法人と個人間の税負担の二重保税の排除、地方財源の充実、青色申告納税制の導入により、資本蓄積の納税環境を整備するものであった。勧告はまた、課税の基準を総合的な経済支配力に置き、所得を包括的にとらえたうえで累進税率を適用する考え方(包括的所得税)にもとづいている。所得税を中心に総合課税による公平負担をめざし、また地方財源の強化を盛り込むなど、筋の通った勧告であった。しかし、その後の高度成長の過程で、勧告の体系は徐々に崩れていったといえる。
1953年には、シャウプ勧告が主張していた株式のキャピタル・ゲイン課税と富裕税が廃止されたのを始め、利子所得の分離課税が復活した。その後も各種特別措置が拡大し、資本に有利な納税環境へ傾斜していった。とくに、高度成長期は意図的に租税特別措置を通じて経済成長を刺激する政策がとられたといえる。
また高度成長期には、課税最低限の引き上げによる物価調整減税が特徴である。1970年代後半以後の低成長期にあっては、特別的な優遇策は廃止傾向であり、財源難から物価調整的減税も控えられがちであった。1980年代後半以後、所得水準の一定の上昇と所得分配の平準化を前提に、税率の引き下げなど数年ごとの所得課税の減税により、景気の一般的な底上げを図るという図式のなかで、「消費税」が導入され現在に至っている。
納税者にとって消費税の申告事務は大変やっかいであり、今後消費税のウエイトが高まるにつれ、税体系のなかでの課税ベースの理論的統一性も必ず問われる。投資初年度の減価償却費枠の拡大などにより、所得課税の課税ベースを消費税の課税ベースに近づけることが将来必至であろう。
2)日本の租税の負担率
明治期以後の日本の租税負担について概観すると、国民所得との比較でいえば、昭和初期までは15%以下で推移した。戦後は、社会保険料を含めた総負担率でみると、高度成長期は20%台で推移していたのが、1980年代後半では、35%を越え、現在は40%弱である。負担率の中身で問題なのは、租税負担率の伸びより社会保険料の負担率の伸びが目立って大きいことである。年金、医療などの社会保障関係費の増大をまかなうのに、社会保険料の増大が避けられなかったことによる。租税をみる場合、社会保険料を含めて考察する必要がある。
次に、税収の構成比で税負担の状況を見る。明治初期には、地租の比率が高かったのが、商品流通の発達とともに酒税等間接税の割合が高くなった(明治後期には、地租の割合が20%程度、他方間接税の割合は50%強)。大正期以後も、間接税優位は変わらなかったが、資本主義の急速な発達を背景に、昭和初期には、所得税の割合が20パーセント程度に上昇し、税制の柱の一つとなった。戦費調達の為、1940年(昭和15年)には税制の大改正があり、所得税の強化、法人税の所得税からの独立、間接税の増税により、戦後税制の基盤を形成した。
戦後日本では、特徴が二つある。第一に、消費課税の割合が1955年から1975年の20年間に、急速に減少したことである。1955年度では消費課税のウエイトは46%であったのが、1975年度には26.8%になった。消費課税の減少した分は所得課税と資産課税がほぼ半分の割合でウエイトを高めたのである。第二に、その後の消費課税のウエイトは安定的である。消費税導入前は、日本の間接消費税が従量課税、製造課税の個別消費税を主体としていたので、高度成長期には、消費課税の伸びが所得の上昇には追いつかなかったのである。(表1参照)
表1 日本の国税収入の構成比の推移(資産所得分を資産課税に含め た場合)
(単位:%)
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年度 所得課税 消費課税 資産課税 合計所得税、法人税、計 資産所得 資産移転 計 課税 課税 |
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1870 ・ 0・ 0・ 0 ・ 11.1 ・0 ・ 88.9 ・ 88.9 ・100 |
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1910 ・ 7.6・ 2.2・ 9.8・ 53.8 ・ 36.4 ・100 |
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1945 ・ 7.0・11.2・48.2・ 29.9 ・ 21.9 ・100 |
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1950 ・38.3・15.6・54.0・ 43.4 ・0.5・ 2.2 ・ 2.6 ・100 |
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1955 ・28.3・20.8・49.1・ 46.0 1.6 ・ 3.3 ・ 4.9 ・100 |
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1960 ・28.0・21.9・49.9・ 42.2 3.8 ・ 4.2 ・ 7.9 ・100 |
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1970 ・23.4・33.0・56.4・ 30.9 7.8 ・ 4.9 ・ 12.7 ・100 |
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1975 ・26.3・29.4・55.7・ 26.8 11.5 ・ 6.0 ・ 17.5 ・100 |
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1980 ・29.2・31.5・50.7・ 25.2 8.9 ・ 5.3 ・ 14.2 ・100 |
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1985 ・30.8・30.7・61.5・ 21.8 8.6 ・ 8.1 ・ 16.7 ・100 |
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1988 ・25.2・35.3・60.5・ 18.9 9.2 ・ 11.4 ・ 20.6 ・100 |
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1989 ・25.1・33.2・58.3・ 20.1 12.4 ・ 9.2 ・ 21.6 ・100 |
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1992 ・29.5・24.5・54.0・ 26.0 11.0 ・ 9.0 ・ 20.0 ・100 |
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1993 ・31.0・21.7・52.7・ 26.9 10.5 ・ 9.9 ・ 20.4 ・100 |
(資料):1870−1945年の数値については、武田隆夫・林健久・今井勝人編『日本財政要覧第3版』、東京大学出版会、1990年、72−73頁の直間比率を引用。1910−1945年度の資産課税の内訳は未算出。1950−1992年度の数値については、税制調査会編『平成5年11月 今後の税制のあり方についての答申』、附属資料2頁より引用。1993年度の数値は、筆者の推計である。利子・配当及び土地譲渡(1989年度以後については有価証券譲渡を含む)に係わる所得税額(税制調査会の推計)を資産所得課税として、資産課税等に含めて試算したものである。OECDの歳入統計の区分基準では、それらは所得課税である。なお資産所得分を所得課税に含めると、1993年度は、所得課税63.2%、資産課税等9.9%となる。資産移転課税等の範囲は、相続税、地価税、有価証券取引税、取引所税、印紙収入である。
世界的にみれば、日本の社会保障制度が西欧諸国ほどには成熟しておらず、その分租税も社会保障負担も軽くて済んでいる。諸外国の直間比率との比較からいえば、日本が消費税を持つに至ったとはいえ、旧物品税との入れ替えの性格を残している。国税収入に占める間接税の割合は30%弱(流通税など間接資産課税を含む数値)である。消費税は国税の10.5%程度である(1995年当初予算)。付加価値税を有する西欧諸国では、近年、間接税の割合が高く、イギリス46、ドイツ52、フランス60%程度で推移している。いずれもそのなかで付加価値税が太宗を占めている
アメリカは、国税としての付加価値税を欠いているが、州レベルでは小売売上税がある。国税収入の構成比でみるなら間接税の割合は極端に低い(9%程度)が、地方税を含めればアメリカの間接税の割合は23.4%(1990年)である。日本の18.6%(1990年。資産所得分を所得課税に含めた場合の消費課税のウエイト。地方税を含む)と比較しても高くなっている。ちなみに、OECD24カ国の国税及び地方税の消費課税の国税及び地方税の全税収に占める割合は40%(1990年)である(3)。 税収構成比の推移で見れば、日本の場合、消費課税の拡大という選択が妥当である。
注
(1)
アダム・スミス著大内兵衛・松川七郎訳『諸国民の富』、岩波文庫版第五分冊、1966年、240−242頁参照。
(2)
大蔵省『財政金融統計月報』、第516号、1995年、18−19頁参照。
(3)
地方税を含めた税収構成比の国際比較の数値については、尾崎護『G7の税制』、ダイヤモンド社、1993年、13頁を引用。
〔参考文献〕
和田八束『日本の税制〔増補版〕』、有斐閣選書、1990年。
宮島洋編著『消費課税の理論と課題』、税務経理協会、1995年。
遠藤三郎『公共の財政理論』、昭和堂、1992年。
_上記は松井吉三「税制と税制改革」柿本国弘他著『日本財政の動向と課題』、八千代出販、1996年、207-217頁所収分である。