平成15年度税制、社会保険料改正のあらまし

                                                  Wednesday, April 02, 2003

平成15年度の税制、社会保険料が15年4月以後、大幅に変わります。中小企業にとくに関係のある改正の内容と施行年月を下記に抜粋します。改正のメインは、取得価額30万円未満資産の一括損金算入制度の開始(時限立法。償却資産税は課税)と、賞与からも1割強の社会保険料を徴収するように変更されまたことです。改正税制の内容については、平成15年1月に閣議決定、15年3月に国会で成立した15年度税制改正案によります。

 

T、社会保険料の大幅改訂

 1,15年4月分の健康保険料、厚生年金保険料の料率が改正されるとともに、賞与からも給料と同率の保険料を徴収するものとされました。

   @健康保険料については、一般被保険者は現在の標準報酬1000分の41。第2号被保険者(40歳以上65歳未満)は介護保険料込みで、1000分の45.45となりました。支払給料ではなく、現在の標準報酬に掛けて下さい。

   A政府管掌の厚生年金保険料については、標準報酬の1000分の67.9となり

 B賞与からは、賞与の支給額に上記の率を掛けて、健康保険料と厚生年金保険料を差し引いて下さい。

 2,健康保険、厚生年金とも、以上と同額の会社負担があります。

3,給料から差し引くにあたっては、改訂の料額表を参考にして下さい。

4,平成15年4月分の社会保険料は5月末に会社が支払います。社員から4月分の社会保険料を4月分に引いている場合は、4月に支払う給料から適用して下さい。

  同上の場合、4月25日締めで4月30日に給料を支払う場合、4月の給料から標準報酬に見合った社会保険料を差し引いて下さい。

 

U、中小企業支援

1,同族会社の留保金課税

 資本金1億円以下、自己資本50%以下の中小法人について、留保金課税を不課税。

平成1541日から18331日までに開始する事業年度について適用。

2,交際費

   資本金1億円以下の企業について400万円定額控除を拡大

   損金不算入割合の20%から10%への縮小

3,少額資産即時償却制度の新設

   平成1541日から18331日までの間、中小企業等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した時、選択により取得時に全額損金、必要経費に算入。ただし、地方税の改正はないので、20万円以上の資産取得については、償却資産税がかかります。

 

 

 

V、消費税

1,免税店の1000万円への引き下げ

   平成1641日以後開始事業年度(法人)から適用

   17年分(個人)から適用

2,簡易課税適用上限の5000万円への引き下げ

   適用開始期間は、上記1と同様

3、総額表示の義務付け

   適用開始期間は、法人、個人とも1641日より適用(個人は15年分の課税売上1000万円超、法人は16331日現在で直近事業年度の課税売上1000万円超の事業者について)

4,4800万円超の事業者の毎月申告納付制度の新設

   適用開始期間は、個人は、17年分より。法人は1641日より適用。

個人は16年分の年税額1000万円超、法人は1641日現在で直近事業年度の年税額1000万円超の事業者について適用。

 

W、個人所得税

配偶者特別控除の一部廃止

平成16年分の所得税から適用。

 

X、相続税、贈与税の改正

1,相続時精算課税制度の新設

   65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、贈与時に税を軽減します。贈与時の非課税枠は2500万円です。相続時に、過去の贈与を相続財産とみなして、一体で課税します。

 

2,住宅取得資金贈与に係る相続時精算課税制度の新設

 住宅取得資金の贈与に限り、上記の2500万円の非課税枠を3500円まで拡大します。15年1月1日から17年12月31日までの間に贈与により取得した住宅取得資金が対象です。

    上記1と同様、相続時相続時精算課税制度ですので、あくまでも最終的に相続税がかからなければというのが、非課税の大前提です。

 

3,住宅取得資金等の贈与の特例

    現行の5分5乗の制度(550万円まで申告により0円の贈与税の制度。特例適用範囲は1500万円まで)は、平成17年12月31日まで存置となりました。

    相続・贈与税の上の方のラインの税率が改正されたことにより、1000万円の贈与で45万円(14年まで:45万円)、1500万円の贈与で95万円(14年まで105万円)の贈与税となります。

 

4,相続・贈与税の税率の改正

    贈与税では、200万円以上の課税財産で平均5%ポイントの減少。1000万円超について70%が50%に減少。

    相続税では、3000万円超5000万円以下で5%ポイントの減少。3億円超で一律50%の税率とされました(従前は、5億円超60%、20億円超70%)。

 

 

松井吉三