収用に伴う建物取壊し費用の取り扱いについて


Friday, November 21, 1997.                 松井

国等の公共団体が収用の対象とするのは、土地のみです。上に建物があろうとも、建物は撤去、除去すべき対象であり買い入れる対象ではありません。収用証明書をみても建物については、「撤去」とかの名目になっており、「対価」とはなっていない筈です。ただ収用される側にすれば、当該建物を取り壊して、別の場所に移転する必要があるものだから、税務当局が対価とみなしているにすぎません。

「収益補償金」、「移転補償金」、「経費補償金」等は、対価補償金には入りません。したがって、収用の特別控除の対象ではありません。

移転のためには、建物の取り壊し費用がかかりますが、収用の特別控除の適用の上では、対価補償金から控除することとされています。収益補償金他からは控除できませんので、注意が必要です。

措置法通達33-34によれば、「収用等をされた資産の譲渡に要した費用がある場合には、措置法33条第1項の規定により、当該費用の額が当該費用に充てるべきものとして交付を受けた金額を超えるときのその金額(交付を受けた金額が明らかでないときは当該費用の額)を、当該譲渡をした資産に係る対価補償金の額から控除する…」こととされています。   

この場合の譲渡経費には、

1、譲渡に要したあっせん手数料

2、立ち退き料

3、資産が取壊し又は除去を要するものであるときにおけるその取壊し又は除去の費用(発生資材の評価額又は処分価額に相当する金額を控除した金額とし、控除しきれない場合には当該費用はないものとする。)。

4、当該資産の譲渡に伴って支出しなければならないこととなった次の費用。

  建物等の移転費用、動産の移転費用、仮住居の使用に要する費用、立木の伐採又は移植に要する費用。

5、上記に準ずる費用。

の5つが例示されています。

上記譲渡経費がある場合、収用該当資産の譲渡差益がそれだけ少なくなり、したがって収用の特別控除の金額が減少することになります。