形式を問わず、書類作成者の氏名又は名称、課税資産の譲渡年月日、課税資産の譲渡等の対象とされた資産または役務の内容、課税資産の譲渡等の対価の額、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称の5項目が充足されていればよい。
記載例1
平成9年5月31日
(株)佐藤工業様 東京都新宿区小川町1−5−6
小山一雄
下記のとおりご請求申し上げます。
税込合計金額105,000円 税率5% 消費税額5,000円
納品月日 品名 数量 単価 金額
5/16 デジタルカメラ 1 100,000円 100,000円
合計
100,000円日税連の「見解(国税庁の了解を受けている)」によると、「工事の進捗状況に応じた支払通知書に下請業者の確認を受けることを条件に、その支払通知書を請求書等とすることができる。……支払案内書に外注先の確認を受けることを条件に、その支払案内書を請求書等とすることができる。」。
この場合の確認は、確認印を受ける方法のほか、「〇〇日以内に誤りのある旨の連絡がない場合には、記載内容のとおり確認があったものとする。」という旨の文言を「支払通知書」の「摘要」欄などに記載する方法などがあるものとされている。 (注1)
記載例2
支払通知書の摘要欄に下記の文言を記載する。
「30日以内に誤りのある旨の連絡がない場合には、記載内容のとおり確認があったものとさせていただきます。」
請求書等の必要記載事項が記載してあれば、「領収書」でも、「請求書等」とすることができます。(注2)
記載例3
株式会社松井建設様
金126,000円
但し5/1-5/31塗装代
平成9年6月30日上記正に領収いたしました。
内訳
税抜金額120,000円
消費税5% 6,000円
東京都新宿区5-9-8
佐藤一郎
出張旅費精算書を綴り合わせたものを、出張旅費の支出に関する内容を記載(数人分をまとめて支払った場合には、まとめて記載しても差し支えない。)した帳簿とあわせて保存することにより、仕入税額控除の要件を満たすものとして取り扱われる。
高速道路を回数券やプリペイドカードで利用している場合には、回数券等を購入した日に当該回数券等の購入金額分の課税仕入れがあったものとすることが認められる。(以上日税連の「見解」を引用)。
リース契約の時点で作成されたリース料金支払予定表を「請求書等」として取り扱うことができる。最終支払期日に属する課税期間の末日の翌日の日から7年間保存することが要件である。(日税連の「見解」を引用)。
請求書等の記載要件についての解釈が税務当局と日税連の間で決着した。しかし、改正法では、仕入税額控除の要件として、請求書等だけではなく、課税仕入の事実を記載した帳簿等の保存をあわせて要求している。このことによって、原則として、請求書等の内容をそのまま帳簿にも転記しなければならなくなり、事業者の能率的な記帳処理を阻害することとなっている。制度の信頼性を高めることが改正の趣旨であるが、それならば、請求書等をメインとして、帳簿記入は補完的なものに位置づけることで、目的は達成される。なにより、帳簿は作成者が事業の経営の必要性から記帳を行っているもので、帳簿の記入がなければ税金をとるということは、国民主権、租税民主主義の立場から断じて許されるものではない。改正の余地が大いに残されているといえる。
注記
(1)日本税理士会連合会調査研究部「仕入税額控除の要件における「帳簿の記載内容に関する見解」、1997年3月。
(2)山本守之「帳簿書類種類別のフォーマットと記載事例研究」(『税経通信』、1997年5月号、98頁参照)
Saturday, August 30, 1997