実績主義給与システムへの移行


中村壽伸氏が論文「実績主義人事制度への転換コンサルティング」(月刊社会保険労務士1998年3月号、28-31頁)において、「職務技量等級制度における給与のイメージ」という興味ある給与制度表を提示しているので、紹介する。

中村氏は、職能給が年齢給、生活給の基本から抜けきれず、能力の主観的評価とも相まって、持続的な成長下でしか運用できず、激動期には対応できないと断言される。そこで、新しい資格制度の枠組み−「職務技量等級制度」が必要であるとされる。

「職務技量等級制度」の内容は、1,滞留年数を設定せず、実績で昇格する。2、年齢を昇格要件としない。3,職務基準で評価する。一般社員なら一般業務用の職務基準、管理職なら「マネージメント技量基準」で評価する。4,実績とは、「業績」「職務技量」「役割」の総合である。5,実績に応じた給与体系とする。それによれば、等級は掛け値なしの現在の実力である。昇級、降給がある。定期昇給はない。実績に見合った報酬がすぐに実現する。企業は業績以上の人件費を負担することはなくなる。

 

(図表は同、30頁より引用)

中村氏によれば、学卒入社から27才位までは、育成期であり、優秀な人材がやめないように給与は十分に支給して、「年更的」に上昇させてもよいとされる。又管理職層はプロとしての活用期であり、年俸制で実績に見合った処遇に徹するとする。育成期については、実績給の適用除外とするところが、他の著作と異なる点である。現在の若者のくい止め策としており、現実妥協案であるが、実行可能性を大いに高めている。V等級から上位等級で一般社員は成熟期。各等級のSからDまでの評価に応じた給与が支給される(増減する)。昇格降格により大きく給与が増減するとされている。(同30頁参照)。

これまでの職務給が給与の総額を押さえるのが、労働者側にも見え見えで、協力が得られないものとなっていたのに比べ、中村氏の案は現実妥協的で年齢給からの転換としては、実施可能性がつよいものとして評価できる。ただ適用にあたっては、他の職務給制度と同様、職務のマニュアル作成と運用について、いかに客観性を保持できるか否かにかかっている。