ヤマトシロアリ

⇐兵隊シロアリ(上)と働きシロアリ(下)

漢字表記・大和白蟻

中国名・黄胸散白蟻

Reticulitermes speratus

北海道の名寄付近を北限に、全国にあまねく生息する土木生息の土壌性シロアリ。

いわば土につき物のシロアリで、もともと家屋の床下に生息するのは当たり前、むしろ、いないほうが地面としては不健全とも言 えます。それでいて、古来から人間が管理する建物がこのシロアリの被害で倒れた試しがありません。

かつての日本人はこのシロアリとうまくやり取りしてきましたが、家屋の密閉化、複雑化、高温下で被害が目立つようになりまし た。

分散を生存戦略とし、同一地域で集団の分裂や融合が行われます。とくに民家では建物の建築に伴うヤマトシロアリの分断が出発 点となります。

羽アリから集団を創設した創始女王はそれほど大きくなりませんが、条件次第では多数の継承女王が生まれ、集団の拡大が一気に 加速されます。

一般的には、集団が大きくなりにくいことにより被害は割合地面近くが多いのですが、時として大集団になった場合は、被害が二 階まで及ぶこともあります。

しかし、イエシロアリほどではないので、建物の強度を直ちに低下させることはありません。

羽アリはツツジの咲くころ(4〜5月)の昼間、とくに雨上がりのやや汗ばむような日に集中します。室内では太陽光の方向に飛 び出します。

屋内の密閉環境で夕刻群飛することもありますが、その場合は照明器具の周りを群飛します。「灯火に集まる走光性はない」と書 かれた文書もありますが誤りです。

イエシロアリに比べて水を運ぶ能力に劣るというのは間違いで、活動範囲にはすべて水が運ばれています。

我が国に生息するヤマトシロアリの仲間としては、カンモンシロアリ、キアシシロアリ、アマミシロアリ、ミヤタケシロアリ、ヤ エヤマシロアリ、オキナワシロアリがあります。


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