注目される剤形

フォーム(薬泡)固化薬泥

 戦後の薬剤大量散布の典型的薬剤といえばディルドリン、クロルデンといった有機塩素系薬剤ですが、これが使用禁止になってからの薬剤開発のテーマは長い間 有機塩素系薬剤の代替物の追求でした。すなわち、数値上の毒性が低く、変化しにくく、効果が安定で扱いが容易というものです。しかし、近年にはいると薬剤 そのものの性質ではなく、どのような処理に適するかということからいくつかの特殊な薬剤の形ができています。
 高度なマイクロカプセル技術によって普通の殺虫剤が駆除に適したものになったり(フェノブカルブMCなど)、水に溶けやすい顆粒によって作業性が大きく改善された薬剤(チアメトキサムなど)もありますが、ここではフォーム剤と固化薬泥を紹介します。

フォーム剤(薬泡)
 文字通り薬剤を泡にして使用するものです。
 従来「泡による処理」といえば、大量散布の代替として狭い床下全体に泡を充満させる方法を意味していましたが、ここでいうフォーム処理とは大量散布の代替でなく、ピンポイントで駆除する場合に用いられるものです。
 泡は大量散布で使われた荒い泡でなく、手洗い洗剤の泡のようなムース状の泡で、シロアリの生息部位に穿孔して注入します。
 これだと薬剤の飛散や臭いがほとんどなく、目標以外への汚染も管理しやすいものです。しかも、薬剤の原体使用量は大きく削減可能です。
 しかしなによりも、駆除への適性が非常に高いのが特徴です。液剤だと穿孔注入しても重力に反して注入できるのはまれで、高圧なため手前に穴でもあるとそ こから吹き出てしまいますが、新しいフォームでは被害部の空間を縦にも横にも拡がりやすく、シロアリ生息部位に到達した場合は大量にシロアリを押し出しま すので効果の確認もしやすいのです。

窓枠の被害部に注入した薬泡により押し出されたヤマトシロアリ
 泡は注入直後はしっかりとしたムース状ですが、しばらくするとこうしたまばらな泡になり、1時間もすれば消えてしまいます。
固化薬泥
 これは水で練ってから乾燥すると固まる土にクロチアニジンのマイクロカプセル剤を混入したものです。臭いはほとんど感じられません。
 固化後は雨で洗われても陽に当たっても効果が落ちず、これに接触したシロアリはゆっくりとまとまって死亡します。
 コンクリートの隙間や接合部、基礎断熱の接合部、断熱材の天端の処理に適しています。

新築現場で勝手口のコンクリートの接合部に流し込んだところ
 この上から仕上げのモルタルを流しても薬剤は移動しません。
 基礎断熱被害では蟻道が復活しやすい部分への処理に適しています。