駆除現場における薬剤の忌避性・非忌避性とは |
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薬剤そのものの性質としての忌避性・非忌避性と駆除現場で利用するという範囲での忌避性・非忌避性とはやや異なります。 前者はシロアリ個体との関係で論じた場合の性格であり、割合固定的な性格ですが、駆除への利用となるとかなり流動的です。場合によっては一般的に忌避性を持つものを工夫して忌避性を低下させたり、あるいは忌避性が低いとされる薬剤が忌避性を持ってしまうこともあります。 非常に単純にいうなら、シロアリコロニー全体、すなわち統合生物としてのシロアリが薬剤処理への対応をする前に薬剤の効果がいきわたるなら、その薬剤は非忌避性とさえいえます。 もしもこうしたことを理解せずに処理すると、「非忌避性のはずなのにどうして駆除できないのか」ということになってしまいます。
一般に社会性昆虫の駆除は非忌避性で伝達性の高い薬剤が駆除剤として適しています。しかし、やはりこれも一般論であり、現場では様々な工夫が必要になります。 シロアリにはイエシロアリのような大きな社会を形成するものもあれば、それほど社会性が高度でなく、小さく分散しているシロアリもいます。こうした違いを無視してすべて非忌避性の薬剤でなければならないとするなら、それは現場の技術者の手足を縛るだけです。 たとえば、イエシロアリの駆除で大きな効果が得られるからといって、アメリカカンザイシロアリの駆除でも同じ傾向のものでなければならないかといえばそう ではありません。点在しているコロニーをひとつひとつ駆除するのですから、生息空間に的中すればどんな薬剤でもかまいません。場合によってはノズルの細い 家庭用殺虫スプレー(忌避剤)ですら有効なこともあります。 実際、アメリカカンザイシロアリの多いある部落の主婦は、全部とはいわないまでも被害の見える範囲では家庭用スプレーでうまく駆除するそうです。これなど 「駆除はすべからく非忌避剤でなければならない」とアメリカカンザイシロアリにベイト剤を主張する人よりもはるかに生態的な対応といえます。 |