世界のシロアリの大きな分類(科の分類)



昆虫という生き物のグループ(昆虫綱)は、いくつかの特徴によってクモやダニの仲間、あるいはムカデなどと区別されています。
昆虫のなかでは、さらにいくつかの特徴によってグループ(目=もく)に分けられ、アリやハチは膜翅目Hymenopteraに属しています。
シロアリは単独でシロアリ目(等翅目)Isopteraを形成し、以下のようないくつかの科に分けられています。
最近研究者の間でシロアリ目をゴキブリ目に含めるという流れが勢いを増しているようです。遺伝子的な距離をそのまま表現型として良いかどうかという点は意見がわかれるようですが、ひよっとしたら今後表現を変える必要があるかもしれません。その場合シロアリ目全体はゴキブリ目のシロアリ科となり、以下のシロアリ各科は亜科となります。


説明
代表種
レイビシロアリ科
kalotermitidae
・比較的下等なシロアリの仲間。
・土と関係をもたず、樹木や木材の中で暮らす。
・コロニーの規模は小さく、分散して生息する。
・一部のものが家屋の被害に関わる。
ダイコクシロアリ
アメリカカンザイシロアリ
カタンシロアリ
サツマシロアリなど
オオシロアリ科
Termopsidae
・比較的大きな木の中に生息する。
・シュウカクシロアリ科に近いとされるが、
生態としてはレイビシロアリ科に近く、土壌とほとんど関係しない。
・3つの亜科に分かれる。
・家屋の被害にはそれほど関わらないが、被害の記録はあり、
場合によってはある程度の被害も考えられる。
オオシロアリ
ネバダオオシロアリ
アメリカオオシロアリなど
ミゾガシラシロアリ科
Rhinotermitidae
・下等なシロアリだが、生態としては高度な社会性をもつものもいる。
・多くの場合土壌性で、巣は地上にも地下にもあり
一部を除き土木生息性シロアリである。
・家屋の被害に関わらないものもいるが、
一部のものは猛烈な建物被害を引き起こす。
・6つの亜科に分かれている。
ヤマトシロアリ
イエシロアリ
ミゾガシラシロアリ
Heterotermes
Stylotermes
など
シュウカクシロアリ科
Hodotermitidae
・すなわち収穫シロアリの仲間であり、
草類を採取しては巣や塚の中に蓄積する。
・牧草の害虫とされることもある。
・アフリカやインドに生息する。
Hodotermesなど
ノコギリシロアリ科
Serritermitidae
・ブラジルのムカシテングシロアリCornitermesの塚から発見された
ノコギリシロアリSerritermes serrifer1種のみである。
ノコギリシロアリのみ
ゲンシロアリ科
Mastotermitidae
・本科は現在ではオーストラリアにのみ生息する
ムカシシロアリMastotermes darwiniensis1種で構成する。
・卵を塊で産んだり、有翅虫の後翅に臀片があるなど、
いくつかの点でゴキブリとの共通点をもつ。
・建物や樹木を食害し、害虫扱いされている。
ムカシシロアリのみ
シロアリ科
Termitidae
・全シロアリの2/3を占めるといわれる。
・高等シロアリともいわれる。が、生態上の”高等”を意味しない。
・キノコを栽培するもの、食物貯蔵するもの、地衣類を食べるもの
土(ヒューマス)を食べるもの、塚を作るものなど多様である。
・いくつかの亜科に分けられるが、分け方では見解の相違もある。
・一部の種が家屋に侵入したり、農作物を食害する。
タカサゴシロアリ
タイワンシロアリ
キバネオオキノコシロアリ
ニトベシロアリ
ムシャシロアリなど

世界にシロアリの種は2000種以上生息するといわれますが、実際はかなりの数の同者異名が存在すると思われます。それはこれまで長い間外形の違いを根拠 にした分類により新種が記載されてきただけでなく、戦後一部の発展途上国では国や民族の威信をかけて新種を多量に記載する傾向があったからです。
現在様々な角度から分類の再検討がなされ、種だけでなく属や科の段階ですら整理されはじめ、すでにイエシロアリ属など一部は発表されています。


シロアリの生息範囲
生息地とは必ずしも一致しない