シロアリ探知のための機器



AEセンサー

AEセンサーというのはシロアリが木材をかじり取るときの微細な振動音をキャッチして数値にする機械です。 うまく使うとシロアリとのやりとりにおいてきわめて大きな効用のある道具となるものです。

パソコンなどに接続する端子もついている

AEセンサーの原理
(京都大学大学院農学科の簗瀬さんのページ)
シロアリ用のセンサーは、これまでも開発されています。
それは音を増幅する装置のついた金属の棒であり、イエシロアリの生息部へ差し込むと、シロアリ個体がこれを異物としてアタックするので、音として探知できるのです。しかし、アタック性の弱いヤマトシロアリにはほとんど使用できなかったのです。
ところが、AEセンサーではヤマトシロアリやアメリカカンザイシロアリなどアタック性が弱い、小規模分散型のシロアリにも適用できるので、駆除の現場では結構重宝しています。もちろん、金属棒を使えばイエシロアリの巣の探知にも使用できます。
とくに、製品化されたものはかなり小型で、床下にでも持ち込むことが可能なため、工夫次第でさまざまに利用できます。

薬剤やシステムに頼り切った「防除」の立場から見ると、AEセンサーを評価できない。

このセンサーの学会発表の時には、必ず数人の人から効用を疑問視する意見が出され、なかに は「おもちゃだ」と断言する研究者すらいます。しかし、よく聞いていると、そうした意見の人たちはAEセンサーに人間の技術以上のものを要求しているよう であり、これを使うことで人間以上にシロアリの生息分布がわかることを要求しているようです。
AEセンサーはあくまで道具であって、人間の技術にとって代わるものではありません。シロ アリを知らない人が使用してもシロアリの駆除には結びつきません。これは医者の聴診器が医者によって使用されてこそ効用があるのと同じです。そして、こう いうことを理解できないことから、これまでシロアリ対策の分野でのシステムや薬剤開発においては、人間不在の「防除」「撲滅」が基本思想となってきたので す。
では、実際の駆除現場でどのように使われているかというと、ヤマトシロアリなど分散型のコ ロニーでは、個体の密集部分の探知で大きな成果を上げています。もちろん、ノイズも拾います。微妙な数値も出ます。それはあくまで機械だからです。そこか ら判断するのは技術者なのです。何度かこの機械を使っていると、シロアリの種類によって数値の出方に特徴があることがわかります。また、コロニーの状態も おおむね判断できます。
マニュアル式でない正統な駆除処理では、ドリルで穿孔するかどうか迷うこともあるし、処理部分によっては処理する方向を判断しなければならないこともあります。そうしたときに、この道具が生きてくるのです。
AEセンサーをおもちゃだといった研究者は、おそらくほとんど現場でのシロアリ対策を知らないのでしょう。また、いつも決まって的外れな批判をする人も、おそらくは毎日マニュアル式の「防除」を行っているのでしょう。
技術者のかかわりを無視し、道具やシステムに頼り切るこれまでの延長線の上に、撲滅型のアメリカ式ベイトシステムもあるし、それと同じようなものでないと理解できない思想こそが、いま克服されなければならなくなっているのです。

AEによるシロアリ調査の実例

密度の差ははっきりと数値に反映する
和歌山県のアメリカカンザイシロアリ駆除におけるAE調査
超分散型のアメリカカンザイシロアリでも、比較的密度の濃い場所があり、その中の個体の密度の多い場所を特定して薬剤処理しました。
(京都大学農学部/山根白蟻研究所/東海白蟻研究所/岡崎シロアリ技研)1999/7
協力・丸和バイオケミカル㈱

腐りもかなりあるが、シロアリの棲息は確実にキャッチできる
静岡県・掛川城のAE調査
蟻道や泥被があるところに必ずしもシロアリが棲息しているわけではありません。すでに現場が放棄されていたり、外敵に駆逐されていたりします。
腐り、外敵、材の固さなどから薬剤処理の必要性を判断しますが、シロアリの活動がある部分は確実にAEにキャッチできました。
(岡崎シロアリ技研)2000/9
腐りもかなりあるが、シロアリの棲息は確実にキャッチできる
愛知県・足助城のAE調査
シロアリの活動がある部分は確実にAEにキャッチできるので、薬剤処理の目安ができました。
(岡崎シロアリ技研)2000/9



ターマトラック

ターマトラックはオーストラリアで開発されたシロアリ探知機で、電磁波を照射していわば魚群探知機のように生き物の動きをとらえるものです。
優れた点としては、木材やプラ板などを透過して非破壊的に生き物(動くもの)を検知できることや時間経過を必要とせず設置直後に結果がわかることです。
ただ、注意が必要なのは機器の設置が確実に固定されていて、かつ静止状態であることが条件です。手に持ったままや地面の振動などがあるとノイズに支配されます。
したがって、設置についてはそれぞれ各自が工夫しなければなりません。
これもAEセンサーと同じで、機械に頼るのでなく技術者の判断で使用されるなら優れた機器となります。
充電式電池で駆動

環境機器(株)
(詳しい説明はこちらで)