シロアリ termites と アリ ants の違い

シロアリ (等翅目 Isoptera)
アリ (膜翅目 Hymenoptera)
活動する個体
幼虫型 (幼虫状態のまま活動する)
成虫型 (幼虫はウジで活動できない)
変態
漸変態 (蛹の時期がない)
完全変態 (蛹により根本的な変化がある)
個体の外骨格
外界での活動に適さない柔らかな外骨格
外界での活動に適する強靭な外骨格
外界の活動
つねに蟻道などで覆われた状態で
そのまま歩き回る (必要に応じて蟻道を作る)
個体の動き
割合遅く、単独行動はほとんどない
割合俊敏で、単独行動風の活動もある
体形
胸部がやや幅が狭いが一体型
腹部の付け根が極端に細くくびれている

羽アリ以外に明確な眼をもつ種は少数
すべての成虫に眼がある
触角
数珠状
「く」の字状 (しかし、まっすぐ伸ばしていることもある)
羽アリ

羽根が4枚とも同じ大きさで、容易に脱落

前羽根が明確に大きく、容易に脱落しない
羽アリの羽根
網の目(翅脈)が細かい
ヤマトシロアリ属の学名 Reticulitermes とは
”網シロアリ”という意味です。
網の目(翅脈)が大まか
ハチ・アリ類の学名 Hymenoptera とは
”膜 Hymen のような羽根”という意味です。
羽アリの群飛
環境との矛盾で起きる (間引き・個体数調整)
基本的には毎年起きる (巣分かれと交尾)
集団の性
オスとメス
メスのみ (オスは季節的に出現)
生殖虫
王・女王・継承生殖虫・ニンフ・副蟻
原則として女王のみ
食性
主に植物の繊維質 (木質・草本・地衣類など)
動物質から植物質まで多様
兵蟻
専門で特殊化した体形の階級として存在
専門の体形をもつ兵蟻は存在しない

シロアリが蟻道から離れて外を歩く場合について

シロアリも場合によっては蟻道などの覆いから離れて裸であるくこともある。しかし、これは空気の動きが少なく外敵の気配もない特殊な環境のもとであって、多くの生き物が行き来する一般的状態ではほとんどない。
また、羽アリの群飛するときにも多くの兵蟻が群飛孔付近に裸で密集するが、これもこのときだけである。
外国の一部に生息する Hospitalitermes Drepanotermes といったシロアリのように、裸で列をなして採食活動するというのはきわめて特殊であり、一般には土壌性シロアリでは外を歩き回ることはほとんどない。

アリの階級と外形変化について

アリの仲間でも分業によって特殊な形に体が変化したものもいる。外国に住むヨコヅナアリは一部の個体が巨大化し、道路建設の重機のように働いているし、 オーストラリアのミツツボアリも一部の個体の腹部が肥大化し、蜜の貯蔵を行っている。しかし、こうした変化は基本的には成虫の体形の変化であって、シロア リのように他の個体とまったく別の形や部品を備えるものではない。
また、ごく特殊なアリでは職蟻がテングシロアリ亜科の兵蟻そっくりに擬態しているといわれるが、これについてはよくわかっていない。

キノコ栽培について

シロアリにもアリにもキノコを栽培するものがいる。シロアリではキノコシロアリ亜科のほとんどが巣の中でキノコや菌類を栽培し、植物を直接食べるのでなく、キノコに変化したものを食べている。
アリではハキリアリがキノコを栽培するものとして有名であるが、シロアリが植物を一旦体内に摂取して糞(擬糞)として積み上げたものに菌を植え付けているのに対して、ハキリアリでは切り取ってきた葉の砕片に直接菌を植え付けている。

塚について

シロアリはオーストラリアやアフリカなどかなり広い熱帯・亜熱帯地域で塚を作っている。これらはときとしてアリ塚と呼ばれるが、アリが内部に住み着くことはあってもアリが作ったものではない。
アリが作る正真正銘のアリ塚は北欧などの針葉樹林を中心に見られるもので、シロアリ塚のように土が材料ではなく、主に植物片が集積されて山となっている。