Linuxの主なディストリビーション

Linuxは本来その中心部分であるカーネルにつけられた名前ですが、一般にはカーネルと ともに多くのアプリケーションやXwindow systemなどがセットで配布され、その配布形態をディストリビーションといいます。各ディストリビーションはそれぞれ特徴があ り、さらにそこからいく つかのディストリが枝分かれしてできていて、WindowsやMACと比べて非常に多様です。創始者のリーナス・トーバルズは、この 多様性こそがLinux の最も優れた特徴であるといっています。
デイストリビーションは各サイトで紹介されていますので、ここではごくごく一部を紹介します。
(なおライブCDのものはすべてWindows機で起動しても既存システムに影響なく使用で きます)

Debian系
Debian GNU Linux
世界規模のコミュニティであるDebianプロジェクトによって開発・無償配布されているディストリビーション。
最もLinuxらしいLinuxといわれ、100パーセントフリーソフト(公開と配布の自由)であることをコンセプトとし、全世界の ボランティアによって維持されています。HDにインストールするタイプ。
MozillaプロジェクトとトラブルがあったらしくFirefoxやThunderbirdの表記ができないので、それぞれ Iceweasel/Icedoveと表記しています。もちろん呼び名が違うだけでFirefox/Thunderbirdそのも の。拡張機能やテーマなど もFirefoxのサイトからダウンロードでき、アップグレードされればMozillaから更新が届きます。
Debianには4つのタイプがあります。
・安定版 (stable)…厳密に安定性を検証したリリースで、これが公式のリリースです。アップデートはセキュリティ面を除いて緩慢で、最新の機能を求めるユーザーでは物足りな さを感じます。
・テスト版 (testing)…安定版となるべく公開テスト中の版です。下記の不安定版で一定期間致命的なバグが発見されなかったパッケージが自動的にテスト版に組み入れられます。
・不安定版 (unstable)…開発者向けの版で、コードネームは不変で「sid」と呼ばれます。「不安定」といってもそこそこ安定で、このsidをベースにしたディストリも結構 見受けられます。
・実験版 (experimental)…影響が大きなパッケージ群が不安定版に入れる前に一時的に置かれて、不安定版との組合せによりしばらく実験が行われるものです。
Ubuntu
Debianのテスト版をベースにしたディストリ。Debian系のディストリでは最も多く使われているようですが、近年では LinuxMintがそれを上回ることもあるようです。
半年ごとにバージョンアップするものと5年間の長期サポートのものと2種類あります。最新のアプリやシステムを取り入れた使いやすさ が特徴。
デスクトップ環境(操作画面の形式)ごとにUbuntu(Gnome)/Kubuntu(KDE)/Xubuntu(Xfce) /Lubuntu(LXDE)など多様に別れ、一部は3Dデスクトップも搭載。
Ubuntu系の各ディストリは総じて素人に親切です。
PC初心者による PC初心者のためのUbuntuLinux入門
Linux Mint (日本語)
Linux Mint (本家)

UbuntuをベースにしたWindows7風ディストリ。ハードディスクへのインストール時に日本語を選べば全体が日本語になりま す。バージョンアップもUbuntuに合わせ、デスクトップ環境ごとに種類があります。アップデートマネージャーやパッケージ管理な どはUbuntuよりもさらに素人に優しい雰囲気。
本家Ubuntuが賛否両論ありながらもUnityという特殊な操作環境を採用したのに対して、従来のデスクトップの形を維持しなが ら改良してきたせいか、最近ではUbuntuをシェアで上回ったようです。
Windows7までのWindowsに似た雰囲気で、Windowsからの移行もさほど抵抗がない作りです。
また、本家Ubuntuではなく直接総本家のDebianをベースにした「Linux Mint Debian Edition」はUbuntuよりもメモリー消費が少ないので一部の人達に人気がありましたが、LinuxMintプロジェクトで開発されなくなったので、これをThe SolydXK Teamが引き継いでいます。
ちなみに、LInuxMintにあえてKDE-Plasmaデスクトップをインストールしても軽快で、Mintの豊富な壁紙や親切な アップデートマネージャーなど各種システムもそのまま使えます。
SolydXK
Ubuntuではなく直接総本家のDebianをベースにした「Linux Mint Debian Edition」から派生して独自路線を歩み始めたディストリ。
デスクトップ環境がKDEのSolydKとXfceのSolydXの2種類からなります。
Debianをベースにするとメモリ消費が少ないので、同じKDEでもKubuntuあたりと比べてかなり軽く感じられます。
MX Linux
Debianベースの非常に軽快なantiXに xfceという軽快で比較的多機能なデスクトップ環境を導入したもの。Linuxの中でもトップクラスの人気。
LinuxMintのxfceと比べて明らかに軽さを感じます。
xfceだから、仮想デスクトップごとに壁紙の設定ができます。
ただ、インストール後に日本語関係のパッケージをインストールしないと日本語入力ができません。
Zorin OS
壁紙やメニューなどをWindows7、XP、Vista、Ubuntu、MAC OS X風などにカスタマイズできるUbuntuベースのLinux。割合軽快に動き、各種Linuxのいいとこ取りをしたような風情。もちろんLinuxですから Windowsのアプリは動きません。
非力なPCのためにLite版もあります。
Kona linux
非常に軽いものから高機能なものまで多彩なラインナップを持つLinux。
日本語を基本に開発されているのでインストール直後から日本語入力可能。
多様な中古PCに対応できます。
音質にこだわりがあるようで、PC付属のスピーカーでもいい音が出るように作られています。
基本はDebianベースですが、Ubuntuベースのものもできました。
Bodhi Linux
軽量なUbuntuベースのLinux。Enlightenmentという独特な美しいデスクトップ環境で人気。古いPCでもふわっ と現れる3D風なウインドウの動きや仮想デスクトップごとの壁紙の設定などが楽しめます。
メニューなどが特殊で馴れるまでは違和感がありまが、馴れれば結構使いやすいデスクトップです。
NetRunner
Debianペースの2種とManjaroベースの1種の3種からなるディストリ。
3種ともKDE-Plasmaをデスクトップに採用しているのが特徴。とかく重いと言われるKDEの中では比較的軽快に動きます。
KDEだから、仮想デスクトップだけでなく、複数のアクティビティーを設定でき、仮想デスクトップのように切り替えられます。
Q4 OS
Debianペースで、高機能なKDE-Plasmaと超軽量なTrinityの2種のデスクトップをもつディストリ。
KDE-Plasmaはかなり軽くなっているので比較的古いマシンでも軽快に動き、高機能な3D操作やカスタマイズなどが楽しめま す。
TrinityはWindowsXP以前のWindowsに似ていて、デスクトップアイコンが古風に並んでいます。極めてシンプルで 軽快。かなり古いマシンで動きます。
Red Hat系
Fedora
Red Hat Linux を引き継いだプロジェクトによる最先端のディストリ。HDインストールタイプ。
Red Hat Enterprise Linux
Fedoraをベースに安定性を高めた商用ディストリ。HDインストールタイプ。
CentOS
Red Hatが無償公開しているソースコードを用いて作られたLinux。近年サーバー用のOSとしても注目されています。
PCLinuxOS
Mandriva Linux をベースにしたデイストリ。ウインドウズ風の体裁が目立ちます。ライブCDあり。
Vine Linux
国産ディストリ。日本語の扱いに優れている。HDインストールタイプ。
Slackware系
Slackware
古くからのディストリ。
Slax
軽量軽快なディストリ。ライブCDタイプで、HDインストールも可能。
PuppyLinux
超軽量極小ディストリ。ライブCDタイプ。PCの主メモリに全体をコピーして駆動。メモリで動くから動作はいたって機敏。USBメモ リへのインストールも可能。
HDにインストールしても機敏で古いPCが最新のものに生まれ変わります。
本来Slackware系では.moという独自形式のアプリでないと追加インストールできないのですが、Puppyの最新版では Debian形式(.deb)などのアプリも直接インストールできるということです。
ただ、ファィラーなどがやや特殊で馴れるまでは違和感があります。
また、途上国で国際開発関係者が使用することを想定して、どんなマシンでもどんな言葉でも使用できるようにとPuppyを改良したTOPLinuxも あります。
その他
Arch Linux
ローリング・リリースと呼ばれる仕組みを採用しており、他のディストリで見られるような「バージョン番号」を持ちません。ソフトウェ アは日々新しいバージョンへと更新されており、定期的にアップデートを行うことで、システムを常に最新の状態に保ちます。
Manjaro Linux
Arch Linuxをベースに開発された、気軽に使えるLinuxディストリビューションです。
Gentoo Linux
Potageというパッケージ管理を特徴としています。
Turbolinux ターボリナックス社が開発している歴史ある有料ディストリ。
Tiny Core Linux 全体が10MBという軽量極小ディストリ。それでも見た目はちゃんとしたデスクトップ環境で、工夫すればOpenOfficeなども インストールできます。netbook用もあります。素人には向きません。
Tiny Core Plusという各言語も含んだ導入しやすいパッケージが日本語版は「ライブCDの部屋」にあります。ただし、容量は100MB弱となっています。

お勧めのディストリは‥

・Win7が普通に動くPCまたはそれ以上のPC
 ----- LinuxMint、MX Linux、ZorinOS、Ubuntu、Q4OS(KDE版)
・WinXPが普通に動いたPC
 ----- AntiX、Q4OS(Trinity版)、Kona Linux