Linuxで使われる主なア プリケーション

LInuxのほとんどのアプリケーションは個人または非営利的なプロジェクトが作っています。原則と してソースが公開され、誰でも無償で使え、配布もできます。
以下に主なアプリケーションを紹介します。これらの多くは主要なディストリビューションに最初から組み込まれていますし、後からイン ストールもできます。

インターネット関係
Firefox
ネットブラウザ
Mozillaのブラウザ部分が独立したもの。Windowsでも人気のタブブラウザ。拡張機能が豊富でYoutubeの動画のダウ ンロードや翻訳、PDF書き出しなど豊富な拡張機能が好みで簡単に組み込めます。また、本体も拡張機能もアップデートが自動的に送ら れてくるので常に最新のバージョンが維持できます。
Debian系ではIceweaselと表記。
Chromium
ネットブラウザ
GoogleChromeのオープンソース版。ただし、Flashのプラグインを別途に入れないとYoutubeは見られません。
一般的なGoogleChrome(Youtubeは見られます)はGoogleのサイトからLinux版をDLすればインストール できます。
Microsoftの最新ウエブブラウザEdgeはこのChromiumをベースにしているといいます。
Thunderbird
メーラー
Mozillaのメーラー部分が独立したもの。Windowsでも人気のメーラー。迷惑メール学習機能があり、自動的にゴミ箱に放り 込んでくれる。
Debian系ではIcedoveと表記。
Sylpheed
メーラー
国産できびきび動く軽量メーラー。x-faceという小さな自作シンボル画像を送付先のメーラーの枠に表示できます。Windows 版も人気があります。
最近では迷惑メール学習プラグインもあるのでThunderbirdが重いと感じる方にはおすすめ。
Sylpheedに発展的な変更を加えたものがClawsMailで す。
SeaMonkey
ネットブラウザ+メーラー+ホームページ作成
FirefoxやThunderbirdなどに分裂前のMozillaを継承した形の総合ウェブブラウザ。メーラー機能、ホームペー ジ作成機能なども付属しています。Windows版もあります。
BlueGriffon
ホームページ作成
ワープロ感覚でホームページが作れます。有料版と無料版。Windows版もあります。
Konqueror
ネットブラウザ+ファイルマネージャー+FTP転送
「コンカラー」と読みます。もともとKDEで使われてきました。Windowsのファィルマネージャー・ エクスプローラにブラウザ機能をつけたようなもの。ファイル操作をしながらネットもそのまま見られます。また、画像エディタ、FTP 転送ソフトにも変身します。
Konquerorのブラウザ部分を独立させたものがRekonqで すが、細かな部分でKonquerorと異なる動作をすると言われています。
Midori
ネットブラウザ
軽量なブラウザ。日本製ではありませんが日本語の名前が付いています。日本語で利用できるWindows用パッケージもあるようです が、不具合があるようです。
オフィス関係
LibreOffice
総合オフィスソフト
 ・ワープロ ・表計算 ・プレゼン ・ドロー ・データベース 他
非営利のTheDocumentFoundationが配布する無料のオフィスソフト。ワープロ、表計算、ドロー、数式、データベー スなどの機能が統合されています。
国際標準のオープンドキュメント形式のファイルを基本としますが、WordやExcel、PowerpointなどMS- Officeの各ファイルでの読み込み書き出しができます。
ただし、現在のところExcelのマクロはほとんど継承できません。関数はほぼ継承できます。
バージョン4.0からはPublisherも読み込めるようになり、4.2からはWordなどの読み込みでのレイアウトの崩れも目立 たなくなりました。動きも一段と機敏になりました。脱MS-Officeに着実に前進しています。
普通のPDFだけでなくあとから編集可能な「ハイブリットPDFファイル」の出力機能やベクター画像を扱う機能もあります。最新版で は電子署名にも対応したようです。
データベースも安定してきたので、顧客情報、名刺管理など実用性が高くなりました。
Windows版、MAC版もありますので、各OSにいれておけばファイルのやりとりに支障がありません。
日本も含む世界各地の自治体や団体が徐々にMS-OfficeからLibreOfficeへの移行を開始しているようです。
Androidのアプリにもオープンドキュメントを表示・編集、あるいは遠隔操作できるものも出てきました。スマホ(XperiaZ1)とタブレット (Nexus7)で動くのを確認しましたので、割合新しいアンドロイドのタブレットPCならこのアプリでLibreOfficeの表 計算や文書ファイルを外に持ち出せます。
なお、市販でマニュアル本もあるようですが、LibreOfficeに移行したJA福岡がここでマニュアルを配布しています。
当社の広報紙はこのワープロで作っています。
OpenOffice.org
総合オフィスソフト
 ・ワープロ ・表計算 ・プレゼン ・ドロー ・データベース 他
MS-Office互換のオフィスソフト。LibreOfficeの起源となったソフトです。
OpenOfficeもLibreOfficeも、同じような能力のPCならWindows上よりもLinux上のほうが機敏に動き ます。
Gnumeric
表計算
Excel互換の独立した表計算ソフト。軽量ディストリの方はこちらを。
Windows版もあります。
AbiWord
ワープロ
Word互換の独立したワープロソフト。軽量ディストリの方はこちらを。
Dolphin
ファイル管理
KDEでよく使われるファイラー。よく使うフォルダの登録や作業エリアの分割、写真・動画のサムネイル機能が標準装備。
すべてのファイルやフォルダのアイコンに選択マークがあるので、ランダムに複数のファイルを選択可能。アイコンを掴んで移動するとそ の都度コピーなのか移動なのかを聞いてくれるので分かりやすい。しかも、一度移動やコピーをすると、右クリックで出てくるメニューに コピーと移動の行き先が表示されるので、次回からは選択したアイコン上でそれを選ぶだけ。
アイコンやサムネイルはシームレスに拡大縮小可能です。「情報」領域を表示させれば、写真のプレビューや情報表示、音楽・動画ファイ ルの再生もできます。
だた、そのままではDropboxフォルダ内のアイコンに同期マークが表示されません。別途にkfileboxをインストールすれば 同期マークが表示されます。
Nautilus
ファイル管理 UbuntuなどGnome でよく使われるファイラー。よく使うフォルダの登録や作業エリアの分割、写真・動画のサムネイル機能が標準装備。mp3などの音楽ファイルでもアイコンに触れるだけで音が 出ます。アイコンの移動やコピーはWindowsと同じ。
LinuxMintのMATEエディションではNautilusを改造したCajaというファイルマネージャーが使われていて、直接 Dropboxが扱えます。
Scribus
チラシやパンフ
チラシやパンフを作るためのパプリッシングソフト。Windows版もあります。まだ発展途上。
ただ、商用印刷で使われるCMYKの色設定やPDF/xよる書き出しができるので、LibreOffice-Drawや Inkscapeなど他のソフトで作った.eps原稿をScribus経由でPDF印刷原稿にできます。
Windows版で上記機能を動作させるには、別途にネット上からGostscriptとAdobeのiccプロファイルのインス トール(無料)が必要です。
KOrganizer
予定表
カレンダー、タスク、予定表ソフト。
Evince
pdfファイル閲覧
AdobeReaderよりもすばやく立ち上がるPDFファイル表示ソフト。
Bluefish
プロジェクト管理もできるテキストエディタ、兼HTMLエディタ。
Leafpad
超軽量機敏なテキストエディタ。ShiftJIS、UTF、EUCなど幅広い文字コードに対応するので他OSとのテキストのやり取り で困りません。
IPAフォント
フリーな日本語フォント。フリーだからWindowsなどLinux以外にもインストールできるのは当然。各OSにいれておけばファ イルのやりとりで文字の変化がありません。
当社はWindwsのPCも含めて基本のフォントにしています。
グラフィック関係
GIMP
画像処理・描画
The GNU Image Manipulation Programの略。
Adobe Photoshopに相当する高機能描画ソフト。プラグインも豊富で影つきロゴや半透明ボタン、アニメの作成なども容易にできます。
PhotoShopとアイコンなどはほぼ同じですが、操作画面がやや異なるのでPhotoShopになれた人の場合は馴れるまでは一 定の時間が必要です。マニュアルは書店でも見つかります。
Windows版・MacOSX版もあります。
Pinta
画像処理・描画
Gimp並のことができる軽量グラフィックソフト。
Gimpの立ち上がりが遅いと感じる人にはお薦め。
KolourPaint
Windows付属のペイントにそっくりの描画ソフト。しかもペイントより高機能。
Inkscape
ベクター画像
Adobe Illustratorのようなベクトル画像(拡大縮小しても荒くならない画像)作成ソフト。
jpgやbmpなどのビットマップ画像を自動トレースしてベクトル画像に変換する機能もあります。
eps、pdf、svgなどで保存可能。トンボ(プリントマーク)などの機能もあり、印刷原稿の作成も可能です。Windows版も あります。
当社の広報紙のイラストや印刷用にページを並べたPDFファイルを作るのに使用しています。
Blender
3D画像作成ソフト。Windows版、Mac版もあります。
Gwenview
画像ビューア。
Shutter
今見えている画面を画像として切り取るソフト。
digiKam
写真管理ソフト。Googleが配布しているPicasaよりも軽快でタグ管理などが楽。
音楽・動画関係
Amarok
タグ編集機能やアマゾンからのカバーの自動ダウンロードなど多機能なオーディオプレーヤー兼管理ソフト。 iTunesのような体裁でiPodなどのデバイスにも対応します。
Audacity
曲のいらない部分を削除したり、音量やテンポなど様々に編集を行うソフト。最新版にはポーカルをカットするプラグインも入っていて、 かんたんにカラオケも作れます。あるいは、スクリーンキャプチャのように今聞いている音を録音することもできます。
Windows版もMac版もあります。
Grip
音楽CDから曲を取り出してmp3などに変換するソフト。
Audacious
Linuxでは昔から使われてきたオーディオプレーヤーXmmsを引き継ぐ軽量音楽プレーヤー。音楽ファイルをちょっと確認するのに 重宝します。
Streamtuner
世界のネットラジオを聞くソフト。キーワード検索で放送局一覧を表示、MP3として録音もできます。
SMPlayer
Mplayerをベースにした総合マルチメディアプレーヤー。最初から各種コーデックを搭載しているので市販DVDや mpeg,avi,wmv,rm,flvなどの動画が見られます。
インストールして立ち上げると自動的に日本語化されます。Windows版もあります。
Kaffeine
DVD動画プレーヤー。
WinFF
各種動画や音楽を他の形式に変換するソフト。一度に複数のファイルを変換できます。
YouTubeの動画を簡単にwmvやmp3に変換できます。
Avidemux
動画編集、変換ソフト。動画の不要部分を切り取ったり、複数の動画をつなげたり、音声だけ取り出して編集した後に再結合することもで きます。Windows版もあります。
Kdenlive
動画編集ソフト。動画に字幕を入れるのが直感的に行えます。テキスト形式の字幕ファイルを作らずに付属エディタで作る字幕・タイトル ファイルを動画のタイムラインに貼り付ける形。
OpenShot
シンプルなビデオ動画編集ソフト。Windows版やMAC版もあります。
VLC
多様な動画を再生できるので、WindowsやMacでもYoutubeの動画再生フリーソフトとして使 われています。DVDに焼き付けるための動画の.isoファイルをそのまま再生できるので、自作DVDなどは.isoファイルとして 保存しておけば、いちいちDVDを挿入しなくてもDVD動画を鑑賞できます。
LinuxでもDVDディスクから.isoファイルを抽出するソフト(k9copyやdvd::ripなど)があります。なお、市販 DVDからの.iso抽出は著作権に触れます。
その他
K3b
CD/DVD焼付けソフト。一般的な動画DVDなどの中身を取り出して保存、再焼込みもできます。
Gparted
ハードディスクのパーテション設定・切り直しソフト。
Synaptic
ネット上で公開されている2万以上のソフトの中から必要なものが簡単にインストールできるDebian系共通のパッケージ管理ソフ ト。Debian系に人々をひきつける主な要因の一つ。
簡単な操作でアプリを検索、ダウンロード、インストール、アップデート、管理がまとめてできます。
UbuntuやUbuntu系ディストリでは、スクリーンショットや日本語の説明を増やすなどしてこれをさらに使いやすくしたパッ ケージ管理ソフトも装備 されています。これだとどんなソフトが今インストールされていて、どんなソフトがさらにインストールできるのかということが非常に分 かりやすくなっていま す。
一旦これを使うとWindowsでのアプリのインストールが非常にうっとうしく感じられます。
Wine
WindowsのソフトをLinuxで走らせるソフト。まだ発展途上ですが、かなり良くなってきています。
設定フォルダのなかにCドライブやProgramFilesといったWindows風の環境を作り、Windowsソフトの Setup.exeを起動するとそこにインストール。各種ゲームやWin版PhotoShopのCSなどが動くといわれています。お なじみのNotepadとIE(英語版)が最初から入っているのがすごい。
私の環境(Wine1.6)では、AdobeのPhotoShopElements、 ファイル転送ソフトFFFTP、ラベルメーカーが配付している「ラヘル屋さん」などが普通に動いています。
簡単なソフト(.exe単独で動くもの)は、ダブルクリックだけでかなりの確率で動きます。
これまでの発展のあり方から次期バージョンに期待。
Qemu
Virtualbox
稼動しているLinux上に仮想的なハードディスクを作ってそこに別のディストリやOSをインストールして動かすソフト。HD内の isoイメージを指定すれば別ウインドウの中で他のOSが動きます。ただし、メモリーはその分消費しますので1GB以上のメモリーで ないと実用性はありません。
使っていないWindowsをインストールして動かすこともできます。ただし、使用中のWindowsのCDを別途に仮想PCにイン ストールするとライセンス違反となります。
Virtualboxの場合、マウスのポインターが仮想ドライブ上のOSのウインドウ内と背後の親OSのデスクトップとの間でシーム レスに操作できるなど使いやすくなってきています。
主なデスクトップ環境の種類
KDE-Plasma
K Desktop Environmentの略。Kの文字に意味はありません。
以前はKDEと呼ばれバージョン3までは画面左にアイコンが並び、画面下端には帯状のパネルがあるというように、Windowsの過去のデスクトップによ く似た構成でしたが、バージョン4からはWindows7を意識したような体裁となりました。
バージョン4が画期的な内容を持ちながらも重くて未完成な部分も多かったので安定性で定評のあるGNOMEに移行した人が多かったよ うです。しかし様々な要素がPlasmaというデスクトップに統合されてからは飛躍的に改善されたようで、今ではスムーズに動きま す。
とくに最近は軽量化が一層進んでいて、比較的軽量なLinuxも採用し始めています。
標準のファイルマネージャーであるDolphinは、カスタマイズしやすく、2画面操作もでき、Ctrlキーを押さなくてもファィル を飛び飛びに選択することもできます。アイコンもシームレスに大きさを変えられます。
以前は仮想デスクトップ(ワークスペース)ごとに壁紙が設定できたのですが、現在はできません。しかし、複数のアクティビティ(用途 別のデスクトップ)を設定でき、これらに別々の壁紙を表示できます。アクティビティの切り替えは仮想デスクトップと同じで、切替器を パネル(ツールバー)に表示させてクリックするとか、デスクトップ上のマウスのローラー操作でも切り替えられます。
3Dデスクトップ機能もあります。
GNOME
GNU Network Object Model Environmentの略。
「アプリケーション」とか「場所」といった日本語がパネルに並んでいて、非常に分かりやすくスッキリした構成。メニュー上のアプリ ケーションにも説明がつけられ初心者でも使いやすくなっています。
安定性が高く各種設定も分かりやすいので、KDEからGnomeに宗旨替えする人も多かったようです。
最近のGnomeはUbuntuのようにOSXを意識したような形になってきて、それを嫌う人の間では、LinuxMintに見られ る従来のGnomeを継承するMATEとかCinnamonといったGnome派生のデスクトップも人気が出ています。
仮想デスクトップも当然ありますが、壁紙は単一表示です。
標準のファイルマネージャーはディストリごとにいくつかありますが、多くは2画面分割でき、背景に画像を設定することもできます。
MATE
Gnome2から発展したデスクトップ環境。MATEはマテ茶のマテ。メイトではありません。
LinuxMintの最も一般的なデスクトップ環境ですが、Ubuntuも一部採用し、DebianやFedoraでも利用できま す。
仮想デスクトップも当然ありますが、壁紙は単一表示です。
標準のファイルマネージャーはCajaですが、2画面分割でき、背景に画像を設定することもできます。
Cinnamon
LinuxMint用に開発され、MATEと並んでLinuxMintの一般的なデスクトップ環境。
MATEよりもやや高度なグラフィック性能を有し、3Dデスクトップ機能もあります。
UbuntuやFedoraなど他のディストリでも利用できます。
Xfce
KDEやGnomeと比べて軽量なため低スペックPCにむいています。しかし機能は充実していて、GNOMEやKDEなどにひけをと りません。
UbuntuではXubuntu、LinuxMintではLinuxMint-xfceというように有名どころのLinuxも xfceタイプを配布しています。
標準のファイルマネージャーはThunar。2画面分割はできませんが、動画ファィルのサムネイル表示はできます。
軽量にもかかわらず、仮想デスクトップごとの壁紙設定が可能です。
LXDE
KDEやGnomeと比べて軽量なため低スペックPCにむいています。
UbuntuではLubuntuというタイプがありますが、Knoppixは標準でLXDEが採用されています。
仮想デスクトップは単一の壁紙。
Enlightenment
エンライトメント(啓蒙)の意味。
BodhiLinuxが採用しています。軽量でも本格的な3D風の動きのデスクトップ環境です。
かなり特徴的な環境ですので、はじめて操作する人は驚くかもしれません。
低スペックのPCでも、3D風の動きができ、仮想デスクトップごとの壁紙設定もできます。
上記のデスクトップ環境は、ウインドウマネージャー、ファイルマネージャーなどが統合された統合デスクトップとも呼ばれますが、これ 以外にも FluxboxIcewmな どウインドウマネージャーがデスクトップを構成している軽量軽快なデスクトップ環境もあります。
つまり、同じディストリビーションでもデスクトップ環境を換えることで手持ちのPCにあわせて使えるのです。この多様性がLinux の最も大きな長所です。