コロナ対策規制下の

羽アリ・シロアリ対策の考え方

 コロナウイルスへの対応で全国的な行動自粛が望まれる中、例年の羽アリシーズンがやってきます。
 ツツジの花の咲く昼間に出るのがヤマトシロアリ、アジサイの花の咲く夕方以降に出るのがイエシロアリの羽アリです。
 行動の自粛が求められ、経済的な不安が増大する状況下で、羽アリ・シロアリ対策はどのように考えるべきかまとめてみます。

多くの地域では、直ちに駆除する必要はありません

 ヤマトシロアリのみの地域(全国の約8割)では、羽アリが出ても直ちに建物が倒壊したり、強度低下が進むわけではありません。駆除時点で見つかる被害は羽アリが出たときにできた被害ではありません。
 羽アリが大量に出ると、パニックとなって、すぐになにかしないといけないように思えますが、仮にある程度の被害があったとしても、それなりの時間をかけて被害が出たのですから、これから先の被害の進行にも時間がかかります。
 シロアリの羽アリは、アリと異なり毎年羽アリが出るわけではアリません。シロアリがその場所ので拡大に限界を感じるようになってはじめで羽アリが出るのです。したがって昨日今日発生したのでなく、以前からそこにいたのです。
 羽アリが飛び出すときには小さな穴が増えたりして被害が一気に進むようにも思えますが、それは表面に見えているだけで、その内部はすでに以前から被害があるのです。
 だから、羽アリが出ても冷静に対応し、計画的に駆除(必要なら修理も含めて)を準備することが肝要です。数ヶ月(場合によっては1年)駆除が遅れてもヤマトシロアリの被害規模に大きな変化はありません。
 また、床下などの湿気もシロアリの生息とは基本的に関係ないものですので、慌てて対策する必要もありません。

羽アリが出たら…

 羽アリの数は毎年決まっていて途中で増えることはアリません。全量が出尽くせば今年はそれで終わりです。
 スプレー剤をかけるとベタついて羽アリの死体が付近にへばりつきますが、掃除機で丹念に吸いまくるほうが周囲がが汚れません。フィルターの取り替え時に一部が飛び出してもまず生きられないし、衛生上の問題もありません。
 どうしてもスプレー剤が必要な場合は、ごく普通のハエ・カ用やゴキブリ用、あるいは園芸用のスプレー剤で十分です。わざわざ「シロアリ用」スプレーを買いに走る必要はありません。直接かけるのならどんなスプレー剤でも同じ効果だし、洗剤をスプレーしてもOKです。
 ただ、羽アリが出なくなっても必ずその根拠となるシロアリ集団は生息し続けますのでいずれ駆除は必要です。
 なお、ヤマトシロアリ地域では、庭先の杭など建物の外に羽アリが出ても問題ないし、それらが建物に向かって移動することもありません。

シーズン以降に駆除を適切に行うために

 羽アリが出てすぐに駆除する場合は、羽が落ちていたり、蟻土が残っていたりして、投薬点を判断しやすいのですが、時間が経過してしまうと居住者からの説明だけでは判断しにくくなりがちです。
 そこで、できるだけ羽アリが出たときの状況を写真、動画、図面で記録しておくと、駆除の際に余計な穴を開けてしまうとか、薬剤が適切に処理できない、ということが避けられます。
 また羽アリのシーズンには、似たような形の羽のある別の虫も出ますので、念のために、羽アリ(またはシロアリ)は干からびてもいいので何匹か保管しておけば、他の昆虫と間違うことがありません。

シロアリのいる部分とその周囲だけの対策で十分

 シロアリがそこにいたのは、その土地の歴史の結果です。床下全体にまんべんなく生息することはごくごくまれです。シロアリは非常に弱い生き物で、思い通りに生息できるのでなく、多くの仲間が生息に失敗する中でたまたま運良くそこに生息できたのです。
 したがって、駆除は生息部分を中心にした範囲で十分です。ウイルスのようにあちこちに伝染することはありません。必要最低限の対策に心がけましょう。

イエシロアリ地域では調査が優先

 太平洋側の沿海部などイエシロアリ地域では、シロアリ被害や羽アリを放置するわけにはいけません。数ヶ月でも結構大きな被害が進行することもあります。
 ただ、シロアリ集団の規模や被害の様相は多様で、必ずしも急いで駆除する必要がないこともあります。各家庭の事情を考慮した技術者の判断があれば、計画的な対策ができるはずです。
 したがって大切なのは、まず調査、そして対策の計画です。