床下という構造は必要不可欠だ
当社のホームページを見て質問してくる人の中で目立つのは特殊構造の家屋での羽アリ対策だ。
高気密・高断熱の家で、床下がなく、コンクリートに直張りしたフローリングの隙間から羽アリが出たというもの。
はっきりいってこれは欠陥住宅だ。それは生き物とのやりとりができない構造だからだ。
床下という構造は飾りではない。そこは生き物や自然との間の緩衝地帯であり、一方的に人間のわがままを通す場所ではないのだ。
人間から見て不快な生き物がいてもいいし、人間から見て「汚い」状態でもいいのだ。
床下には実に多くの生き物が生息し、あるものは不用な植物を分解し、あるものは化学物質を分解している。
生き物が住めなくなったコンクリートの床下にもぐると、作業服にはきわめて多くのゴミが付着するが、土の床下では土以外のゴミはあまり付着しない。分解者がいるからだ。
コンクリートの床下でもし生き物が死んだら誰が分解するのだろうか。干からびて粉塵に紛れ込むまで分解できないのだ。
床下がなく床下に生き物がいない構造の家はどんなに自然の材料を使用しても、自然住宅とか環境共生住宅などとは呼べないのだ。
床下にはある程度の湿気があり、カビもある程度は生え、微生物から爬虫類までの多くの生き物の住むところであり、人間は彼らとうまくやり取りして生きるべきなのだ。
今年も私の住む地域で太陽熱利用の空気循環式家屋から大量の羽アリが出た。床下にもぐれないばかりでなく、空気が循環しているので羽アリの飛び出し口すら特定できない。客には気の毒だが「自然を拒否した欠陥住宅ですねぇ、これは」といわざるを得なかった。
設計に関わる人々に強く警告したい。知ったかぶりして、理屈をこねまわし、客のわがままに屈服して、勝手に日本の家屋をねじまげるようなことはすべきでない。
ついでにいうなら、設計士、とくに自分を建築家などと呼ぶ人は自分の本でシロアリについて書くのはやめてもらいたい。今まで一つとして正しい記述にお目にかかったことがないからだ。
2000/7