歩くと水の飛び出る床板
ある家の台所は、フローリングの上を歩くと継ぎ目から水がとび出る。よく見るとフローリングの接合部が部屋全体に変色し、軟化して水を含んでいる。
さっそく床下に潜ってみた。ところが、床下側から見た床板はまったく健全で、しかも乾いている。そして、部屋の辺縁部から水が垂れ下がり、ナメクジの住まいができていた。
よく構造を調べると、それは二重に板が貼られていて、無垢のフローリングの上に合板が貼ってあった。居住者によると、以前のフローリングが汚いので、ホームセンターで合板の床板を買ってきて貼ったという。
そういえば、ホームセンターなどではいかにも簡単に素人が床板を貼ることができるかのような説明がされている。また、テレビでもそうした「リフォーム番組」が多い。
しかし、床板は「貼れるから貼る」では困る。貼る上で考慮すべきことはかなり多い。素人が配慮しないことまで配慮するから職人さんの仕事は理にかなっているのだ。
この家の場合、床下は土であり、空気には一定の湿気がある。台所の床板が無垢の1枚貼りであった時は、床下と床上の空気は流通していた。ところが空気の流 通しない合板を貼ってしまったことにより、その直下、すなわち合板と無垢板の間に結露して水がたまったのである。床下の土の上にビニールを敷くと水がたま るのと同じ原理だ。
ようするに、床板一つ貼る上では家全体の環境とのバランスを考える必要があるということである。
だから、テレビ番組に影響されて、台所をやたら白くしたり、余裕のない家具配置などをすると、後で困ることになりかねない。
ああいう番組を真似するのはよした方がいいと思う。やはりリフォームは奇抜なことをいわない地元の専門家に頼むのが一番だ。
いわばテレビの「リフォーム」は、「○○マジック(たね、しかけ、チョコットある)」としてみるべきなのだ。
2002/12