シロアリにも「瞬間最大風速」はある
今年の台風は数も多く被害も広範囲に及んだが、被災された方々の早期の復興を願うものである。
台風にはかつては英語の女性の名前がつけられていたが、今では東南アジアから太平洋の国々の言葉でその国の自然や生き物などの名前がつけられている。今年の台風にはたしか「トカゲ」という日本名もあったはずだ。詳しくは気象庁のサイトで説明されている。
台風には個性があり大型だが並みのものもあれば、小型だが強烈なものもあり、今年の台風でもこうした個性がよく現れていた。とくに台風23号は多くの台風 が南東側で被害をおよぼすのに対して、北西側で大きな被害が出た。だから、台風を見る場合たんに風力や気圧だけでは実際の被害が予想できないことも多いよ うだ。
これはシロアリ被害にもいえることだ。範囲が広い割りに大した被害ではない場合もあれば、一点集中型で大きな構造的被害を与えることもある。また季節や行 動の契機によっても異なり、たとえば普段おとなしいヤマトシロアリでも、羽アリを群飛させる際には柔らかな材を一挙に天井付近まで食いあがることもある。
蟻道でも同様で、一旦壊すと放棄されてしまう弱々しいものもあれば、壊しても壊しても再生するものもある。
すなわち、シロアリコロニーは千差万別、千変万化であって、一つとしてモデルとなるような標準コロニーはありえない。
だから、材料や薬剤の防蟻試験もこうした点から見ると非常に一面的に見えてしまう。わずか五百や千の個体で、しかも、それらの勢いも確かめられずに試験さ せられている。試験結果から得られるものは一つの目安であるだけなのに、それが一般に通用してしまう。「毒性があるからシロアリが死ぬ」「忌避性があるか らシロアリが近寄らない」こうしたいいかたは、シロアリの「最大瞬間風速」を無視しているのだ。

台風といえば、今年も山の樹木が各地でなぎ倒された。とくに植林されながらも放置されているような山では根が張らず、表土とともに一挙に土砂に押し流されるようだ。
先日も三河地域の林業関係者と生協が一緒になって地元の山の木を使って家を建てるイベントが開かれたが、木材需要が低迷しているだけに、山を守る人々の置かれた厳しい環境がにじみ出ていた。
現在住宅用の材木の約8割が外国産だという。それも熱帯のように森林の再生が割合早い地域のものではなく、北米やニュージーラントというような森林の再生に時間のかかる地域のものが多くなってきたという。
外国材の輸入は、はるかかなたの国から持ってくるエネルギー消費、廃棄する時の非循環性(遠くの材を日本に捨てる)、日本と外国の森林の荒廃の促進などのことを考えれば問題が多い。
やはりその土地で育った木材を使い、長期間炭酸ガスをストックし、最後はその土地に廃棄する。これこそがやはり自然であろうし、生産的な資源の循環でもある。いかに自然住宅といっても、外国材の使用ではやはり不自然である。
地元の木を使えば遠くから運び込むためのエネルギーを消費しなくてすむし、山の活性化と維持に寄与できる。すなわち千代に八千代に国土を大切にするということである。
近年やたらと「国を愛する」ということが議論されているが、こういう点から「国を愛する」ことを考え直す必要があるのではなかろうか。すくなくとも外国材の輸入に頼った家を建てることが「愛国」でないことは確かだろうし、子どもに顔向けできない。
2004/11