ところで、床下の水がなかなか排出できない家がある。ベタ基礎で排水孔がないかあまり機能していない家だ。ポンプでくみ上げてもある程度は残ってしまう。これが土なら確実に水はなくなるのに。 とくに、高気密高断熱の家や空気循環式の家はどうなるのだろうか。通風孔も風窓も水抜きもまったくないので、水の逃げ場がないばかりか、場合によっては部 屋ごとに完全に区切られた床下になっているのでなんともならない。こうなったらもう床を壊すしかないのである。高度なシステムであるからこそ、これが機能 しなくなったら住むことすら不可能となる。 こうして最新の技術は一夜にして最悪な技術になるのだ。きっちりと断熱材の詰まった合板の壁には水が吸い上げられ、いったん内部から水に接した合板の壁は耐力壁として機能しなくなるかもしれない。 日本の家屋構造を無視して、あえて自然に逆らった設計を押し付けられた居住者としては、まともに人災を食らう結果となるのだ。 床下の換気扇や調湿材・炭、こうしたものはすべてだめになった。撤去するだけでも大変だ。「家に機械物は合わない」といった老職人の言葉が生きてくる。このさいこうしたものと縁を切ったらどうだろう。ちゃんとした日本の家屋ならこんなものはいらない。 床下にはすべてもぐることができる、床下は土、1階の床板に合板を使わない、こうしたごくあたりまえのことが「古いもの」とされ、「省エネ」を口実にしたくだらない機能に金をかける。 高温多湿の日本に北欧や北米の板で作る家を持ってきたり、「冬寒くなく、夏暑くない」などという自然を無視した家を建てることから、もうそろそろ卒業したらどうだろう。設計士の「北欧詣で」もやめるべきだ。 伝統的に床下の果たしている役割はいかなる理屈でも否定できないのだ。 2000/9
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