世界でも日本でも様々なロボットが開発され急速に発達しているが、床下点検ロボットというものもある。これについては以前から幾度か開発され、ご存知の方も多いと思うが、近頃発表されたものは従来の有線操作でなく無線で走り、障害物を自動的に避けて動くそうだ。 しかも、PC画面にリアルタイムの床下画像を映し出し、しかも建物の図面を把握して位置関係、立ち位置や方向、対象物の大きさなどを記録し、直ちに写真入り報告書が出力できるというすぐれもの。 当然ながらあれば使ってみたいものである。 我々が今考えている駆除方法なら、あと少し改良されれば無線ロボットによる駆除作業(もちろん部分的だが)も夢ではない。 そういうわけで、ロボット自体についていえば、よくもまあここまで進んだものだなあと感心している。 ただし、これが使用できるのはおそらく一定の家屋構造に限られると思う。 強いていえば、本当にロボットがほしいと思われる床下や天井裏の空間では現状では多分使えないだろう。 例えば、最狭部の高さが20センチ以下、根がらみや配管が多い、炭などが大量に設置してある、木材が散乱、二重基礎、密閉などのある床下である。またイエシロアリや乾材シロアリ対策では必須である天井裏や壁内部の点検もほとんど不可能である。 発表された写真から推測される構造としては、どちらかといえば「お宅の床下は数年に一度点検すればいいですよ」ということが多いヤマトシロアリ地域の割合新しい建物である。高い金額をつぎ込むような現場ではない。 しかも、万が一被害があるならロボットでなく人間がもぐらなければならないので、最初から人間がもぐった方が手っ取り早い。 近年の家屋では上がりカマチの接合部などの点検では触診なども含めた判断が必要であって、これらはロボット操作ではできない。その他の検知機器が搭載されたとしても同じである。データ的に読み取れない部分があるからだ。 もちろんのことだが、基礎断熱などの構造にも対応できない。 「シロアリ対策専用ロボットではない」といわれるかもしれないが、どの分野でも正確に点検するつもりなら同じことである。 そして決定的に問題とされなければならないのは、どのような人間が使用するかということである。 仕事欲しさに居住者を脅すために使用されるようになると、せっかくのロボットが胡散臭いものになってしまう。 また、居住者との信頼関係ができていないと映像すら信用されないし、定期的な点検そのものもうっとうしく思われてしまう。 さらにいえば、信頼関係ができていると、提出書類はごく単純なものか、あるいはなくてもすむ。書類の完璧さで居住者の信頼が得られると思うのは大間違いである。なんとなくではあるが、提出書類や取り決めにこだわる定期点検ほどトラブルが多いと感じられる。 また、他のところでも強調しているところだが、シロアリの予防でも点検でも、およそシロアリにかかわる行為では駆除経験が基本であって、駆除がわかっていないと的外れのことに労力をそがれることになる。 それならロボットに将来性がなくなってしまいそうだが、そうではない。 オールマイティーを目指せば無理がでてしまうので、むしろ一定の環境に特化する(あるいは環境を生み出す)方がよい。 たとえば、PCのマウスで操作で操作できてしまうのなら、なにもシロアリ技術者が使う必要はなく、居住者が使えばよいではないか。失礼を承知で言えば、素 人的な点検しかできないものなら、素人が使うのが道理であろう。どこかのCMではないが「素人の得意は素人に任せろ!」である。 そろそろネタに乏しくなってきた建築業界と提携して、最初から他の電化製品と同様に建物の付属設備に組み込み、居住者が自由に点検すればよい。「隅から隅まであなたが主人公、床下はロボットにお任せ」こんなキャッチフレーズの家はどうだろう。 これなら設計時点でロボットの通り道も確保できる。場合によってはキャタピラ駆動でなくても上または下のレール方式(これだと電源も取れるかも)も採用で きるではないか。そのうえ、天井裏などにも特化できるし、ロボット自体ももっと単純化できよう。規格さえ統一すれば取替え(買い替え)も楽。居住者は自分 のPCに専用アプリケーションを入れるだけで動くし、報告書の出力も必要なく、データとして保存するだけでいい。 そして、判断不可能な事象が床下に発生した時だけ専門の技術者に有料診断してもらえばいい。 一方、ゴキブリの群れを臭いと動きでコントロールするロボットがベルギー、フランス、スイスの共同で開発されたという。つまり、ゴキブリの親分格として群れの行動を左右し、ゴキブリ駆除に利用できるかもしれないそうだ。 もともと昆虫の体の構造はロボットにしやすい機能的な形だから、親分ロボットも最終的にはそれに似たような形になろう。 となると、未来の住まいではゴキブリが増えだすたびに人間の意志を代表するゴキブリ型の親分ロボット(いわば善玉ゴキブリ)が家中を走り回るのかもしれない。 同様にシロアリでも、ムカデでも、ナメクジでも、ダニでも、クモでもそれぞれ親分ロボットが開発されてホームセンターなどで売られる。従来は薬剤が並んで いた「害虫駆除コーナー」はあたかも「害虫展示コーナー」のようになる。各家庭の押入れの中には様々な虫ロボットが犇めき、虫が動き出す季節になるたび に、ぞろぞろシャカシャカ動き出す。 やがて薬剤抵抗性に似たロボット抵抗性をもつ個体が生まれ、善玉親分に従わないものが優性個体として増え、家のあちこちで善玉悪玉が同居するようになる。 そうでなくとも家屋の温暖化が進んでいるので増殖にも拍車がかかり、たくさん走り回っているもののうちどれが善玉か悪玉かわからなくなる。 ごろ寝していた旦那がまちがって善玉を叩き潰そうものなら奥方から「せっかく買ったのに、なによ!」と大目玉を食らうこと請け合いである。 考えただけでもワクワクする光景である。 2007/12
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