携帯電話をドコモの「らくらくホン」に代えた。今売り出し中のやつである。今までのやつは字が小さくて読めなかったが、今度はやたらに字がでかくて由緒正しい教科書体だ。メニューも設定画面も眼鏡なしで楽に読める。おまけに万歩計までついている。私も歳をとったものだ。 さらにこの機種、防水だけでなく防塵機能もあって、汚れたら軽く洗えばいいとパンフレットには書いてある。これなら床下にももって行けるし、土のついた軍手のままで電話に出られると喜んだ。 しかし、契約時に柳原可奈子風のオネイサンが「ウン、やっぱりねぇー、万が一のこともありますしねー、ウンウン、入っておかれた方がぁー」と、さかんに 勧める故障対応の保険では、「ぅ申し訳ありませんー、水での故障はですねぇー、ウン、実費となっておりまーす、ウンウン」とのこと。「だけどこれは防水だ から問題ないよね、ドコモ提供の旅番組でも川面に触れるほどの使い方をしていたよ」と聞くと、完全防水ではないとのこと。防塵機能も同様だという。 またGPSでカーナビのように街中で使えるといううたい文句にも惹かれたが、これもパケット料金がかかるので「パケホーダイ」に入れという。オイオイ、でかい字でないと読めない者でもわかる書き方をしてちょーだいな。 カメラの撮影枚数も数百枚と書いてあったが、実際は待ち受け画面の大きさでのこと。普通の写真ではわずかに十数枚。なんだコリャ。しょうがないから2GBのマイクロSDカードを買うはめになった。 ところがである。そのマイクロSDの差込口は電池の下ときたもんだ。これじゃ容易に取り出してPCに突っ込むこともできない。しかも防水防塵だからふたが二重である。またまたしょうがないから専用のPC接続ケーブルを買った。これぐらい最初から付属品に入れたらどうか。 つないでみたらまた困った。従来なら携帯端末とPCをつないだとたんカードが認識されるのにこれが認識されない。そこで説明書にしたがって付属CDから 連絡ソフトをやむなくWindowsにインストールする。すると今度は勝手にmoperaで携帯端末を介してのネット接続に導かれていく。他に選択肢がな い形でである。こちらはたんにPCとつなぎたかっただけなのに、これではすでにLAN接続しているPCもろとも有料パケット通信の世界に引きずりこまれて しまう。 説明書をよーく読むと、小さな字でPCとの連絡のみの場合はドコモのサイトから連絡ソフトをダウンロードしろとの一文を発見した。ひどいではないか。これが大きな字しか読めない者に対する仕打ちか。 さらにさらにおかしなことがある。呼び出し音が鳴ったので応じたが相手の声がない。一旦はいんちきな電話かと疑ったが、似たような現象がまたおきた。よ く見ると音声電話ではない。メールを開くと通常のメールフォルダとは別に「メッセージR」と「メッセージF」というフォルダがあって、そこになにやらメッ セージが入っている。内容はポイントがどうの契約がどうのと書かれた宣伝のようなものだ。 これまたよーく調べたらSMSというメールのようなもので、自分としてはまったく使う意思がないものにもかかわらず初期設定で有効になっている。放置す れば迷惑メールのようなものがどんどん入ってくる。PCで調べたら同様なことに困って設定の解除法を求める人が結構いた。もちろん解除法は説明書に書いて ない。だいたいSMSとは何かということすら説明書に書いてなくていきなり使用法だけが書いてある。ドコモとはよくよくおせっかいな会社か、さもなくば悪 意があるとしか思えない。 とにかく調べれば調べるほどパケット通信などで金を使わせようという意図が見えてくる。「端末0円」のインチキ商法となんら変わらない。 着メロも特殊なファイル形式となっていて、最初から入っている曲以外を設定しようとすれば、専用サイトからパケット代を払ってダウンロードしたものでな いと使えないようになっている。だから流行の曲以外の曲を着メロにしようとする人や私のように超マイナーな曲が好きな人は何ともならない。 ところがどっこい、Googleさんに聞いてみたら世の中には奇特で慈悲深い方がいて、手持ちのwavやmp3などの音楽ファイルを簡単に着メロに変えてしまうフリーのツール(たとえば「着もと」)が公開されているとのこと。早速試してみたらなんとワンクリックで着メロに変換できてしまった。ドコモ、ざまーみろだ。 というわけで、商品としての道具や物は多機能になるほど使いやすいわけではないし、最先端の機能がそのまま額面どおりに受け取れないことも多いということがいいたいのだ。 私の娘が第二世代のプリウスに乗っているが、通勤に使っている限りでは燃費はリッターあたり18kmそこそこで少し燃費のいい普通の車とあまり変わらな い。なぜかといえば、冬と夏(あるいはガラスが曇っているとき)にはいきなり暖房や冷房をかけるので最初からエンジンが回っているからであろう(今売って いる第三世代の冷房装置は電動になったようだ)。また短距離通勤で発電時間が少ないのでついエンジンに頼ってしまうのであろう。次世代のプリウスが家庭か ら充電するタイプになった場合、その電気を生み出すのにどれだけの炭酸ガスが出るのだろうか。 「省エネ家電」の一角を担う新型テレビも、報道によると省エネの根拠となる数値はテレビ単体で使った場合の静止画面での数値だという。しかし実際はビデ オ接続したり、予約録画したりするし、第一そういうテレビを買う場合ほとんどがそれまでのものよりも大型を買ってしまう。家電業界は儲かるかもしれない が、それでエコになるのかね。 だいたい温暖化ガスの出所について環境省の発表(「2007年度の温室効果ガス排出量について」4/30)では家庭部門からのものは自家用車由来のもの を含めても全体の1割そこそこであって、多くは発電所や工場、運輸部門に起因するという数値が出ている。つまり家庭で省エネを追求しても高が知れたもの。 本当に省エネすべきは排出の9割を占める産業自体であろう。 だからいくら「省エネ」や「エコ」を掲げた家電や住宅、車などを家庭に導入しても、そのためにそれぞれの産業の数が増えたり肥大化するなら省エネにならないのは明白ではないか。 鳩山氏は温室効果ガスを25%削減するためには新車の90%をエコカーに、新築・既築住宅の100%を断熱住宅に、太陽光発電を55倍しなければなら ず、そのためには一般家庭の負担が年36万円増えると脅すが、この点では前政権の企業依存体質を踏襲している。「省エネ」家電や建物を消費者が買わないか ら温暖化が進むかのようにいうのはとんだいいがかりである。極端に言えば、個々人の生活のところでエネルギーを消費しないでどこで消費するというのだ。 反面エコカーを生産しているトヨタ自動車のお膝元の豊田市街では、相変わらずトヨタ関連の多数の大型のトラックが毎日ひしめいているのは放置されてい る。社員も自動車通勤。私の近くの町ではトヨタ系列の会社ができたおかげで、10分で行けた田舎道がラッシュ時には1時間ほどかかると言う声もでている。 トヨタ本社工場のすぐ横にはかつて「トヨタのために作った」といわれた愛知環状鉄道(旧JR岡崎多治見線)が走っているが、貨物輸送にはまったく使われ ていない。どうしてトヨタは鉄道を使わないのだろうか。鉄道やモノレールで輸送網を作ったっていいではないか。そろそろ在庫を持たない路線から転換したら どうか。頻繁なモデルチェンジも無駄だからやめたらどうか。 そして、こうしたことはそのまま現代の建物にも言えそうである。あれこれの機能・性能は消費者のためというよりハウスメーカーの競争の具であろう。服を 一枚余分に着れば(脱げば)いいものを「省エネ」の全館空調システムに置き換えるのは明らかに「増エネ」ではないのか。大量に使用される断熱材や特殊製品 の生産と将来の廃棄にどれだけエネルギーが消費されるのか。こういうメーカーの論理に無批判だと仮に目先の電気料金などの出費を幾許か抑えることができて も、その分また同じ論理で何か買わされてしまうのである。「らくらくホン」のパケット代と同じである。 2009/9
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