基礎パッキンは本当に風通しがいいか
今や基礎パッキンなくして床下の通風について論じられないかのような風潮がある。ハウスメーカーのチラシには「全面で風を通す」などといって床下の絵に大きな風通しの矢印がたくさんかかれている。しかし、本当にそうなのか。
もちろん、基礎パッキンと風窓を併用している場合についてはここで述べない。問題は、風窓をなくして基礎パッキンだけで風を通そうというものである。
これまで、何棟か基礎パッキンの家の床下にもぐってみたが、風の動きはほとんど感じられないのが実際である。新築途中のように一部の床がはってない状態だと、たしかに風は通る。しかし、完成後の床下ではあまり風を感じられないのはどうしたことだろう。
設計者は自分の建てた家の完成後に床下にもぐってみたのだろうか。ひよっとしたら、空気の流れは床下の上のほうだけしかないのかもしれない。
しかし、そうした思いは私たちがひいきめに見た場合である。実際本音を言うならあまり空気が動いていないといったほうがやはり正しい。
ある家では床下にもぐって基礎パッキンの部分を見ても、外の光がほとんど見えない。それは、雨よけの板金がかぶさっていたからである。これでは風は通らない。
また、ある家では、クモの巣が多くて、基礎パッキンの部分にゴミがたまっている。部分的には外から飛んできたビニールの紐まで絡み付いている。これも通らない。
太陽光発電の能力をいう場合に、鳥の糞や木の葉などの汚れについてあまり考慮されていないのと同じような問題である。
机の上や研究所の実験システムでのデータだけでなく、設置後の自然との関係でもっと考慮されるべきでないだろうか。
風窓を廃止した家で、水害や水道管の破裂などが起きたときの長期間の「プール状態」についても、あらかじめ説明があってしかるべきではないだろうか。
2001/1