この点が理解できない人々がいまだに多くいて、豪州ヒノキなら大丈夫だとか、炭の液がシロアリ対策に有効だなどと思い込んでしまう。 古くは「青森ヒバにはヒノキチオールがあるのでシロアリが接触するだけで死滅してしまう」という主張や「炭が湿気を取るからシロアリが生息できない」という主張もある。 問題は、それらの主張が現場から見ればまったくお話にもならないほどばかげていても、一部の研究機関の試験結果が添付されたりすることでいかにも効果があるかのように通用してしまうことである。 たとえば、かつてある研究機関が行ったイエシロアリの樹種選択試験では、巣の上に同時にいくつかの試験木片が並べてある。これではイエシロアリは木材を選 べてしまう。選べてしまえば、ヒノキよりもマツに加害が集中するのは当然である。しかし、この試験によって「シロアリはヒノキを好まない」という神話が根 拠付けられ、間違ったシロアリ対策が横行した。 研究機関の研究にはそれぞれ目的があろうし、試験結果もそれなりの意味があろう。しかし、そのことと現場で有効かどうかとは次元が違うし、実験室での裸のシロアリ個体と蟻道と一体化した自然のシロアリとでは反応はまったく異なる。 研究機関の研究者の皆さんに特に強く要望したいのは、試験結果を自ら駆除現場で検証することなしに、恣意的に結論を出さないでほしいということである。安易に「防蟻資材」メーカーに根拠のない「お墨付き」を与えないでほしいということである。 もしも、たとえば炭の液やヒバ油に駆除効果があるというなら、その液で実際のイエシロアリのコロニーを駆除してから主張していただきたいものである。 2002/11
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