ドサクサ紛れの無用な出費
先日テレビで欠陥住宅の特集番組があった。筆者もそういう家に行ったことがあるが、欠陥住宅というものは、どういうわけか欠陥がたくさんある。一つや二つのミスではない。
筆者が訪問した家では、土台が基礎からずれているだけでなく、二階のベランダに流した水が壁の中から出てきたり、床がうねっていたり、下駄箱の寸法違いやコンセントが使えない位置にあったりした。
こんな状況を見ると、欠陥住宅ができる原因は、技術の問題ではなく、作る側の姿勢の問題だと実感した。
ところが、テレビ番組ではそれを検査摘発する側にも何かおかしなものを感じた。
それは規則や法律があるからその基準どおりにいうしかないのかもしれないが、かなりマニュアルチックだった。家屋がバランスによって保たれるものだとするなら、金具があるかどうかですべて判断されたら、地方で伝統的な家屋を作る職人や技術者は困惑するのではないか。
とくに、ひどかったのは、欠陥への対策のなかに「シロアリ防除」が7万円だったか計上されていたことだ。これは、雨漏りという欠陥によって土台が腐ったことへの対応であるが、それなら雨漏りを直せばすむことであって、薬剤処理の必要とは別問題である。
テレビで欠陥住宅を摘発する建築士ですらこんな安易な判断しかできないのかとがっかりした。
2002/5