ところが、彼らは動きがすばやくてなかなかうまく写真に写ってくれない。森で昆虫を撮影するようにゆっくりと静かに近寄るわけにはいかないのだ。暗闇にライトをつけ、砂埃を上げながら移動せざるを得ないので、どうしても逃げられてしまう。 ある日、シロアリの古い被害部分をいじったら、ジムカデがとび出てきたので、慌ててカメラを構えたがもう遅い。すでに束石と地面の間にもぐりこんでしまった。 やむなく、近くにいたカマドウマあたりを撮影しながら床下での本業を終え、もぐり口のところまで帰ってきた。すると機材運搬用の橇の中で動くものがあることに気づいた。なんとジムカデである。 ジムカデは橇の斜面にへばりつくようにして私に「同行」してきた。そして動かない。写真を撮ってくれと言わんばかりだ。プラスチックの橇の上では写真としてうまくないので、地面の上にそっと置いてみた。すぐに逃げ出すかと思ったが、逃げない。彼は私が好きなのか。 以前にも似たようなことがあった。オーストラリアでのシロアリ調査のとき、仲間の皆はムカシシロアリの羽アリが欲しくてたまらなかったが、どうしても採取できずにいた。夜中に電灯をつけたりいろいろがんばったがだめだった。 朝になって、何気なく私は自分のかばんを開けたら、そのなかに1頭のムカシシロアリの羽アリがモゾモゾ動いているではないか。こうして私だけがその羽アリを手中にし、その羽根はこのホームページを飾ることになったのである。 たぶん、ムカシシロアリもジムカデも私が好きなのだ。「床下にビオトープを」という私の主張に賛同しているに違いない。 2000/12
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