愛知県西尾市の市長が賄賂を受け取った容疑で逮捕された。 この市長は固定資産税などの滞納もあったようで、贈賄側企業が肩代わりしていたという。 しかし私の興味は逮捕されたことではなく、市長ですら税金を滞納するほど金に困っていたということである。まして一般庶民なら金に困ることはしょっちゅうだし、とくにこういう不況下では大手企業の社員ですら住宅ローンなどが払えるかどうか不安なところである。 つまり家を建ててもメンテナンスにきちっと定期的にお金をかけられる保証はどこにもないのである。 ところがある種のシロアリ対策では5年ごとの処理を前提としている。基礎断熱の断熱材の下端付近にパイプを通して5年に一度薬剤を土中に注入するというものだ。理屈からいえば完璧だし、ヤマトシロアリ地域ではある程度の効果もあると思われる。 ただ、かりに将来にわたって地面の変化がなく(普通あるが)、注入するごとに均一に薬剤が広がったとして(その保証もないが)、薬剤注入をロハで行うわけではないのだから居住者の事情(失業や転居など)によってはできないことも考えられる。 従来の民家では、たとえばトタンなどの外壁が痛んできても直ちに補修しなくてもよかった。数年がまんして資金ができたとき対処すれば直ってしまう。緊急 性のある雨漏りなどの場合も、とりあえずの応急措置でしのぐことができる。ところが高気密の計画換気やシステム暖房の家ではシステムが壊れたら直ちに直さ なければ理論上1日たりとも住み続けられない。 前述のシロアリ対策もこれとよく似ていて、理屈によって構成されているので、5年ごとの薬剤注入が停止したとたんに理屈の上ではシロアリ対策が崩れてしまう。 たぶん「少しくらいは延ばしてもいいです」といったある程度の柔軟な対応が業者の側から行われるとするなら(いろいろな意味も含めて)直ちに問題にはならないはずである。 「いろいろな意味も含めて」というのは、5年前と比べてシロアリはそれほどすばやく動かないし、もともといないところにはいない、侵入されているならすでに兆候が現れているなどの事情である。 だから新築時に一定の薬剤処理をしたとすれば、その部分に新たにシロアリが生息する可能性はほとんどないのだから、5年後からは何も薬剤でなくても居住者の水道とつないで水を注入すればいいという理屈にもなる。 基礎断熱の現場では、明らかに浸水する部分ではシロアリの浸入がほとんど見られない。シロアリにとって自らがコントロールできる水分以上の水は脅威であるからだ。だから雨の落ちる地面ではなく犬走りやポーチ、あるいは埋設枕木などの下に生息するのである。 もちろんこれは理屈の上のことなのでそのシステムに水を利用したからといって効果があるとは限らない。 しかし、そんなことよりも基礎断熱の一部を切り取って侵入を把握できるようにすることのほうがはるかに単純だし、安上がりで無駄がない。自然を押さえつけようとすればするほど無駄な費用がかかるものである。 基礎断熱のシロアリ被害といえども被害は多様であって、外周全体にヤマトシロアリがいる場合もあれば、一部の方面に限られる場合もある。それならシロア リが侵入しているかどうかわかることのほうが先決であろう。しかもほんの一部を空気にさらすことのヤマトシロアリに与える影響は非常に大きいのである。 実際三河地方のある工務店の建てた基礎外断熱の家では水切りの下に隠れる程度の幅で断熱材を切り取って仕上げてあるが、建物の周囲の木材にシロアリが多 数見られるのに外周からの侵入は一切なく、空気にさらされていない玄関の扉枠にのみ被害が出たのである。しかも居住者の住み心地は「暖かいですよ」とのこ と。それでも「断熱欠損」が気になるなら、切り取った部分を取り外し可能にして定期点検すればよい。 このほかにも断熱材の上に強力な鉄板やらステンレス板などを設置するとか、ステンレスの金網をつけるものもある。これらもちゃんとした施工がなされれば疑いなく効果はあるだろう。 しかし、ヤマトシロアリにはもったいないように思われる。侵入さえ把握できる構造にすればわずかな費用で駆除できるし「手遅れの被害」にはほとんどなら ない。お金が余ってしょうがない人は別としても、一般庶民としてはその分の費用を家に使ったほうが豊かな生活になりはしないだろうか。 2009/2
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