しかしあちこちで「シロアリ対策はマニュファクチャー的であるべきだ」といったのが結構誤解を生んだようだ。 そこでネットで調べてみたら驚いた。世の中に通用しているマニュファクチャーの概念がなんとバラバラであることか。 多くの場合「家内制手工業」やギルド的生産と混同されていたり、あるいは単に小規模生産という意味で言われていたり、ひどいものだと非効率な生産やスローライフ的発想と同義であったりする。 私はあくまで学校で習ったとおりの「工場制手工業」を念頭において話したつもりだった。 つまり、どこでも誰でもいつでも同じオートメーション的大工業的なやり方でなく、会社の中で能力に応じて一定の部門を分け、協働しつつも相対的な独自性を 持った技術者が手工業的に生きた人間として消費者に接するべきだといったのである。個人経営や徒弟的なつながりでシロアリ対策を行うことだけを主張してい るのではないのだ。 シロアリの大量散布に代わるものとしての定期点検方式は、単に仕組みを導入すればいいというものではない。マニュアル的な大量散布、すなわち大工業的な発想からの脱皮を組織的な変化としても実現していかなければ長くは続かない。 アメリカカンザイシロアリの駆除についてある文書で、一部の専門的な技術者がシコシコと手工業的に駆除している現状ではなく誰でも出来る方法が求められているという主旨の文が載っていた。 私はべつにシコシコとやりたくてやっているのではない。その家にとって定期駆除が望ましいと判断したからしているのである。 アメリカカンザイシロアリではとくにそうだが、近所との関係など非常に微妙な問題もあるし、経済的な事情もある。 それらを含めて最良の処方箋を提示するには「誰でもできる」大工業的方法は通用しない。 非現実的な「誰でもできる方法」を模索するよりも、柔軟に判断できる人の育成の方がはるかにたやすいし効率的でもある。 先日訪問した家で居住者からこんな話を聞いた。 すなわち、この付近では数十年前のある時期一斉に家が建ったが、今ではその当時の家はほとんど建て替えられ、「残っているのは我が家だけ」というのだ。 では、住めなくなったから建て替えられたのかといえばそうではない。 実際その家の床下や天井を見ても何の問題もないし、これまで仕事でこのあたりには来ているのである程度の事情もわかっている。 つまり、多くの場合「子供の代になった」ことをきっかけに、より「多機能」で「耐震性」で「省エネ」の家に建て替えられた。 なんのことはない、それはハウスメーカーなどの宣伝に乗せられただけである。こんなことでは「次世代省エネ」のつもりが本当に次世代になったら、また時の風潮に乗って建て替えということになってしまいかねない。 どうやら日本人の住まい方もマニュファクチャーの時代に戻した方がよさそうである。 昨今では「いいもの」や「本物」ではなく「無難なもの」や「それらしいもの」が「いいもの」のように「本物」のように通用している。 NHKの朝ドラでは「じゃん、だら、りん」を無理にくっつけた変てこりんな三河弁が毎日流されているが、今までいろいろなドラマで聞かされてきた他の地域の方言もあの程度のものだと考えるべきか。 無名の新人を主人公にするのだから、いっそのこと全役者を地元から募集したっていいじゃないかん(三河弁になってきた)。なんなら高校演劇出身のワシが出てやってもいいぞん。どうだん、ほぃ。 2006/4
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