完全なシロアリ対策は当然存在する。まともな技術者のいるところでは、たとえその過程に紆余曲折があったとしても当たり前に完全なシロアリ対策がなされている。駆除でも予防でもそうだ。 私が「完全なものはない」といっているのは、物やシステムに頼った「対策」についてである。あるいは駆除の経験のない人々の聞きかじりの知識が不完全だといっているのだ。 シロアリだけではないが、自然の生き物の側には法則も原則も存在しない。あるのはただ法則性や原則性があるだけで、相反する面が同時に存在する。 たとえば、完璧に基礎の外断熱でシロアリ対策がなされたとしても、場合によってはイエシロアリのみならずヤマトシロアリでも基礎の外周表面に堂々と蟻道を構築することすらある。 今年の羽アリでもそういう現場があった。床下からはまったく原因がつかめないのに戸袋から羽アリが出るというので、調べるとエアコンの室外機の陰になっていた基礎表面にかなり太いヤマトシロアリの蟻道があり戸袋を加害していた。 イエシロアリでも最近見たものでは、庭先の巣から2本の蟻道が基礎外部から壁の中に伸びていた。 だからといって外周に何らかの対策を行うかどうかは一律でない。技術者の判断によるものである。多くの場合外周から侵入することは少ない、これが主な面である。が、そうでないこともある。これも見ておかなければならない。 技術者の判断によって個別の手立てや方策が組み合わされれば、当然にも完全なシロアリ対策となる。 逆に生き物を相手にしているシロアリ対策で物やシステムに頼ることは本質的に不完全で、過剰対応や意味のない方策に導くものである。一部の設計士の文章にはいまだにこうした傾向が目立つ。困ったものだ。 2003/7
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