しかし、もぐれる高さがあって、かつ基礎断熱というようなわがままな構造さえなければ、床下はシロアリ対策では重点にならない。 これまでも繰り返し強調して来たことだが、シロアリ対策は家屋と生活全体を対象とするものであって、個々の部材が被害にあうとかあわないといった木材保存とは別の分野なのである。 たとえ天井近くの柱まで薬剤が加圧注入されていたり、床が木材以外の材質であったりしても、玄関のクロスの裏側や家屋内の備品や什器に被害が出れば、シロアリ対策としては失敗である。 近年、ベタ基礎やユニットバスの普及とともに玄関周り(あるいは勝手口)のシロアリ被害が目立つようになった。玄関こそは最後に残された家屋の土間であ り、家屋の内外の土壌をつなぐ掛け橋である。基礎周りに生息するシロアリが、形に沿って回り込んでくると、最後に行き着くのが玄関土間なのである。床下の 乾燥や通風などまったく関係ない。 そもそも玄関の構造は、かつての土台露出型から短い期間で一気に変化したものであり、家屋の種類にかかわりなく被害が多い場所であるにもかかわらず、シロアリ対策上何一つ検討されてこなかったし、現在も検討されていない。 とくに、ログハウスと喫茶店とベルサイユ宮殿がごっちゃになったような下品な家屋(設計士の顔が見たい)では、玄関の構造にはかなり無理がある。接合部だらけ、隙間だらけ、密閉空間だらけである。 また、こういう下品な家にかぎって、「四季を感じさせない」わがまま放題の無責任な基礎構造があり、玄関周りはとくにシロアリが侵入しやすくなる。そのうえ、駆除はいよいよ困難となる。 床下ばかりの説明で「シロアリがつきにくい」と説明された家の玄関にシロアリが侵入した場合、設計者は責任をとるのだろうか。居住者としては一筆とっておく必要はなかろうか。 2002/5
|