前々項の「"空"の思想と家の建て方」で紹介した池内了氏がまたまた中日新聞(08/1/23)で興味ある発言をされている。 これは再生紙の偽装問題をテーマにした文書だが、そこでエコ商品が氾濫していることについて次のように述べている。 「そもそも、大量生産・大量消費・大量廃棄が環境問題を引き起こしているというのに、"環境にやさしい"をキャッチフレーズにして大量消費させようというのは現代のパラドックスにほかならない」 まさにそのとおりで現代はエコのために無駄な産業が作られ、エコを掲げたエゴが跋扈している。 たとえ当初は純粋にエコロジーのために、あるいは消費者の安全ためにということから出発しても、いったんエコで利益を生み出す資本の自己増殖に身をゆだねてしまうと、もはやエコは看板だけになり、ニセのエコやそこそこのエコのようなものの再生産となってしまう。 池内氏は続けて言う。 「電力消費量が少なくて済むという電気製品だって、その耐用年数が短くなれば生産に要したエネルギーが上回りエコにはならないだろう。エコ住宅だって同じかもしれない。」として、せめて耐用年数ぐらい記載したらどうかという。 これもそのとおりで、エコのはずの家にわずか数年で住めなくなる事態も起きているし、代替わりで建て替える日本人の癖もそのままだ。他人には絶対に受容で きないその場かぎりの間取りやデザインの家も少なくないし、そういう家が「次世代省エネ」などといっても断熱材など大量の石油系廃棄物の処理でむしろエコ に逆行してしまう。 数日前に起きた農薬入り中国製冷凍食品の問題でも同じであって、餃子ぐらいどうして日本のものが使えないのだろうか。消費者にとってさしあたりは農薬が問 題だが、はるか中国から運ぶという無駄がどうしてアピールされず店頭に置かれるのか。ミートホープのときでもそうだ。各地の肉屋さんではなにが不都合なの か。全国一律の基準でレッテルを貼って安全だと証明するより、誰もが生産現場を見られる地元から仕入れる方が安全性が確保しやすいのではないか。 一律というのは提供する側には意味があっても提供される側には意味はない。フードマイレージの考え方が今こそ必要なのに日本ではずいぶん遅れているようだ。 ところで、私が加入しているみかわ市民生協では、ギョーザ問題がマスコミで報じられたその日の夜にはウエブサイトでいち早くこの問題を組合員に説明し、深 夜には「第二報」まで出している。同じ事業連合に属する他の3つの生協のウエブサイトが翌日の朝になっても何一つ説明できなかったことと比べれば実にすば やい対応だった。さすがである。 この際いい機会だから「これからは100パーセント三河産のものしか売りません。高いかもしれません。安いものはスーパーで。」というような宣言でもしたらいいんじゃないかな。 私が昨年から入れてもらっている東三河の生産者グループでタマネギを作れば1年間タマネギを買わずに済む。しかも市販のものより味がよくてアクもほとんど ない。もちろん肥料も含めて完全無農薬。ときおり雑草を掻き分けるように生えている野菜も分けてもらえる。あり方そのものが正しいのだから、安全性の論議 すら必要ない。誰もが見ればわかる。 どこかの県知事は自分のところの農産物をあちこちに宣伝しているが、三河の人間がわざわざあちらの野菜を食べる必要もない。あちらに行ったときに「さすがにうまい」とかなんとかお世辞を言って食べるのがうまいのだ。 近場の産品だけでは売上が少なくて事業が維持できないなら、合併ではなく、ヤマトシロアリに習って小さく分散して生き抜いたらどうか。ウエブサイトでのす ばやい対応も小さい生協だからできたのではないだろうか。そして、新規事業の開発よりも今あるものを深める方がエネルギーを無駄に使わなくて済む。それで 消費者は誰も困らない。 昆虫の世界では小さく生きることや動きを止めるのは生き抜くための常識であって多くの昆虫がこれを採用しているが、万物の霊長の世界では一旦大きくなるとブレーキが利かないらしい。 だいたいJTとかJA、JR、JH、JPなど横文字になるとろくなことがない(ように思える)。たしかにある部分ではよくなっているかもしれない。しかし、こっちを向かずにあっちを向いているような感じである。 以前本欄で書いたように、ダンボールごと野菜ジュースがシロアリ被害にあったということで生協連に送ったら、平気で「イエシロアリです」などとおざなりな回答をしてきたわけで、システムは充実しているかもしれないが親身なところが感じられない。 生協といっても多様で、シロアリ対策では床下産業とくっついて殺虫剤をジャブャブ撒いたり、不要な関連資材を売りつけたりするところもまだあるようだが、 こうしたものの正反対(最近の日本語ではマ逆)として、床下産業的体質ときっぱり決別し、薬剤に頼らず余計なものを売らない、というのがますます重要に なっている。 池内氏は最後に「消費者である私たちはなにがエコであるかを見極める習慣を身につけなければならない」とし「何より大事なのは大量消費から脱するように生活様式を変えること」をすすめている。 安易な冷凍食品やかなたの国の食材の安全性の確認もいいが、生産者の顔がわかる地元の食材を基本に1年の生活を組み立てる意義は大きい。 生協の質を決めるのは組合員代表としての理事さんだと聞いたことがある。是非来年度の理事さんにはより一層賢明な判断をしていただきたいものである。 2008/2 |