先日、面白いと言おうか、ふざけたと言おうか、シロアリをネタにしたバラエティ番組が放送された。あるいはバラエティを真面目に見た私が馬鹿なのか…。 幸い顧客に聞いてもほとんど見ていなかったようで安心した。かつて、NHKのクローズアップ現代で「高所被害はアメリカカンザイシロアリ」などと騒いだことで混乱が見られたが、今度の番組はさすがに波も風も立たなかった。 少し知識のある視聴者にはすぐにウソがバレてしまう程度のものだから、私が言うほどのことではないが、内容は女優のFさんが自宅(伊豆の国市)のリフォームに際してシロアリが見つかったというもの。しかし、番組には、シロアリも、シロアリ被害も、兆候や痕跡すらも出てこなかった。 ところが、リフォームを請け負った業者の「住宅診断士」なるものは、畳を上げるなり「これがシロアリの食べたカスなんです」「現物と言われるシロアリがいると思います」「多分家全体に広がっていると思います」と神妙な顔つきで語り、ただのホコリを蟻道だ、食べカスだと言い張ってこねくり回していた。(あまり面白いこねくりなので伝染ってしまいそうだ) しかし、実際の床下に潜った調査では「シロアリの形跡」すら発見出来なかったので、ホコリを食べカスと言い張る業者は「今はシロアリはいないというだけで、実際いつ戻ってくるかわからない」といって13万円もの薬剤による予防処理をするのだった。 これはサギと言われてもしようがない行為である。しかもこの行為を助けるように番組では、Fさん宅とは関係のないシロアリや被害の映像(乾材シロアリまで映っていた)を流して「シロアリは自分たちの居住区を変えていく習性がある」「このまま放置すれば地震などで崩壊する危険性がある」と、脅すのである。 こうして、客観的に見ればFさんはまったく必要のない防蟻処理をさせられる事になる。 だがまてよ、これが一般家庭だったら大問題だが、Fさんは女優であって芸能界に身を置く人である。この大手リフォーム業者が事実上提供するバラエティだとすれば、Fさんは必ずしも騙されてはおらず、番組の協力者の可能性もある。「現物と言われる」金銭が動いている可能性もある。 Fさんといえば、彼女がまだ若かった頃の昔、「華岡青洲の妻」だったか「無法松の一生」だったか忘れたが、地元岡崎で観た芝居でヒロインをやっておられた。当時私は勤労者演劇鑑賞会(いわゆる労演)というのの高校生会員だった。会費は毎回300円。300円で、今は釣りバカの専務をやってる加藤武さんの無法松や仲代達也さんのオセロなど数多くの俳優の芝居に接することが出来た。 俳優を役から判断できないのはわかっているが、なんとなく真面目な雰囲気をFさんには抱いていたのだが、もしも現物と言われるものが動いているなら幻滅である。 ただ俳優さんたちも生きていかなければならないので、健康食品やらなにやらのCMに頻繁に出ているので、幻滅には慣れてきた今日この頃である。 最近のテレビ番組でのシロアリには気をつけなければならない。 たとえば、一見真面目に解説されているようなヒカリコメツキムシが寄生するシロアリ塚の場合、番組では宿主のシロアリの羽アリをコメツキムシの幼虫が夜光っておびき寄せて食べると説明される。しかし、宿主のシロアリの羽アリは昼間出るタイプだ。よく見ると、夜に食べられているのは羽根の脈が荒いアリ(いわゆるクロアリ)の羽アリである。 バラエティではとくにひどい。以前の「恐怖のシロアリ」と題する番組では、シロアリはわずかな扱いで、ほとんどがアルゼンチンアリだった。 なんでこんな番組を作るのかといえば、とにかくだぶついているタレントを一人でも多く出すことと一つでも多くスポンサーのCMの場を提供することだということはだいたい誰でもわかっている。 ほとんど芸のないものがちょっと出て馬鹿話をするだけで、普通の若い勤労者の1ヶ月分以上の現物を手にし、そのまま古株になっただけで「大御所」として一言発するだけで勤労者の年収に相当する現物を得るのだから頭にくる。 そもそも貨幣というのは生産物を代表するもので、生産(自然の加工)に携わる所に集まらなければならないのだが、今では物を作らない所にばかり集中するようになった。 先の「住宅診断士」のように、どうも「現物と言われる」ものの使い方がおかしいのではないか。 2014/9
|