最近新しいシロアリが出現したようだ。 ![]() ある家の調査に行ったら、床下にヤマトシロアリなど一般的なシロアリ被害がまったくないのに土台がかじられていた。 これは我が国に広く生息するドリルシロアリ Drilltermes houhanensis による被害である。 基礎コンクリートの通風口部分の土台がえぐられるように数ヶ所かじられており(写真)、その他の土台にも等間隔の穿孔被害も受けていた。 その上、目に見えないが、コンクリート表面には大量の汚染物質が分泌されていたようだ。 居住者に聞けばそのシロアリは「ヨボー、ヨボー」と鳴いていたという。なにかの予防だろうか。 土台というのは床組材と異なり、建物の強度に直接かかわる構造材であって、容易に取り替えや補強ができない部材である。 我が国の木造建築はこうした部材に比較的硬い芯持ち材を使うことで地付きのヤマトシロアリの被害に対処してきた。少々かじられても四角い材が丸く残ることが多く、よほど特殊な被害でなければ、ヤマトシロアリの被害だけで家が倒れるようなことにはならない。 ところがドリルシロアリはこの構造材をかじり、場合によってはコンクリートの基礎まで穴を開けてしまう。 我が国のほとんどの地域に見られるヤマトシロアリというのは地付きのシロアリであって、健全な地面にはもともと生息するものだ。隣からやってくるものでもなければ、湿気に発生するものでもない。 非常に弱い昆虫で飼育となるとかなり難しく、床下に投げ込まれても生きていけない。 彼らは建築過程で分断され、多くが死滅し、ごくごく運の良いものが床下で生き残って繁栄する。 一旦環境に適応出来たものは、温度、水分、微生物とのバランスなどすべてを解決して生きている。こうなると強い。スプレー剤を吹き付けたぐらいでは死滅しない。 つまり、たとえば築20年の家にヤマトシロアリがいたとしたら、それはその家の20年の生物的な結論であって、シロアリにとっては偶然の上に偶然が重なってできたその家独自の生物相の一つである。 したがって、床下でシロアリがいない方面は、とくに環境変化がなければ、これから先も動きがないし、シロアリがいたなら、駆除してしまえばそれまでである。薬剤の効力や効き目などまったく関係はない。 テレビのCMで、新築5年目で薬剤の効果が切れたからシロアリ被害の可能性があるかのようないいかたをしていたが、5年間シロアリがいなければ新たに薬剤散布しなくてもしばらくは心配ないというものである。心配なら見るだけでいい。シロアリがいないのに薬剤を散布するのは予防ではなく汚染である。 ハウスメーカーが保証のために薬剤散布を押し付けるのも汚染である。 また、点検できない床下があっても、ヤマトシロアリの兆候が出てから床に点検口をつけて駆除しても手遅れにはならないし、床下全体に薬剤散布するより安く修繕できてしまうのがほとんど。 しかも、最近の家は一枚板状のベタ基礎だから、その構造自体がシロアリ対策にもなっていて、配管などを除けばヤマトシロアリがベタ基礎の下から侵入することはない。逆に、ベタ基礎の上から薬剤散布しても、地下の生き物には何も影響せず、神社の御札ほどしか効果はない。 ところが、ドリルシロアリとなると隣からやってきて「ヨボー、ヨボー」とか「ホショー、ホショー」と鳴き、湿気があると「カンキセン、カンキセン」と鳴いては基礎を割り、土台に穴を開けるのである。これには5年毎に気をつける必要がある。 2016/6
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